見出し画像

INDEPENDENTS 参加店⑫ まわりみち文庫

まわりみち文庫 オーナー・店主 奈良 匠

イラストby sundayseaside

プロフィール

なら たくみ・青森市内の古書店を訪れたのを機に、30代半ばにして本の魅力にのめり込む。13年間従事したホテル業から離れ、2020年かくみ小路に約7坪の書店をオープン。
新刊本と古本を扱う。

イラストby sundayseaside


「何も知らないとただの古いものですが、
知識が増えることで魅力が生まれる。
その実感が楽しいんです。」

小学校から大学時代まで、特別何かに熱中することも偏ることもなく過ごした奈良さん。
大体、セレクト書店の店主というのは、小さい頃から本が好きで、外にも出ず家でひたすら読書してました、みたいな人がなるものだと思っていた。

2020年から弘前市の歓楽街にひっそりと存在する書店の店主はその点、少数派なんじゃないかと思う。13年間のホテルマン時代に染みついたのか、当たり障りのない会話もうまく、しかし深掘りしていくと…どうやら一筋縄ではいかなそうだ。

photo by オオシマアンリ

本への目覚めをたどると、実はそう古くはない。
毎日のように本を読み始めるきっかけが訪れたのは35歳、それも装丁集だというのだからユニーク。

大学時代から年に3〜4冊ほどは読んでいたものののめり込むこともなく、たまに違う本屋に行ってみようかな、と青森市の古書店を訪ねたときだった。


「和田誠の装丁集でした。この絵は見かけたことがあるな、というくらいで買ってみて。それから当時の装丁に興味を持ち始めて平野甲賀の装丁集を買い、そのあとに書店に行って見たことのある装丁を発見すると、嬉しいんですよね。」


それから興味はサブカルチャーの教祖・植草甚一へ…という具合に、読みたい本が数珠つなぎに生まれてくる。
「映画を見た後に作品のウィキペディアを読むのが好きだったんですが、ページ内のリンクをたどって読む癖がありました。その感じに似ているかも。」

街の再開発による勤務先の閉館、大型書店の陳列への食傷、全国的に増えている個性的な本屋との出会い。それらのタイミングが重なり、書店オープンへ繋がる。

「街の魅力のひとつになれればいいなと思ってます、旅行者の方にも、地元の方にも。」


読書の好きなところは〝知識が増えることの実感〟なのだと言う。
「この体験、以前もあった気がする、と思って考えてたんですが…学生時代に古着が好きでした。何も知らないとただの古いものですが、知っていると魅力が生まれる。それに通じる物がある気がします。」

あまり何かに強く感情を持つ様子のない彼が執着する『古着』『本』『弘前』。それらはすべて、歴史があり、時間を費やし知識が増えることで、ぱっと見では気づかないマニアックな楽しみが生まれる、という共通点があって、それはなんだか彼自身と似ている。


装丁集から入り、植草甚一、英国カルチャー史、レゲエ、哲学…彼の興味の矛先はこれからどこに行くのか。
「この辺に並べてるんですけど…最近は文化人類学の本ですね。」

文化人類学の本…ってどんな本?とさらに深まる独特な視界。
セレクト書店の魅力は、やはり店主にある。

photo by オオシマアンリ

(文・オオシマアンリ/ 写真・三上未夢)



まわりみち文庫の応募景品

まわりみち文庫で使える
税込2,000円×2(4,000円)の商品券(50名様)

スタンプラリー参加方法は↓


まわりみち文庫 基本情報

かくみ小路にある7坪ほどのこぢんまりとした本屋さん
ぐるりと囲まれるような本棚に目を通していくと
不思議と興味が湧いてくる本に出会うことができる


この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?