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偏向と均衡

↑前回のつづき

誰も悪くない。人はただ自由に生きているだけだ。結果としてそれが世界に流れを作り出し、空気を醸成して、たまに火柱が上がったりする。

その中で流されず、空気を読まず、炎上も無視できる人はそう多くないと思われる。和を重んじる国民性が影響しているのだろう。多くの日本人は自分より世界を優先することがままある(ように見える)。

それもまた自由な選択ではあるが、本当にやりたかったことは胸の内に隠されたまま、世界は正しかったという既成事実だけが積み上がる。結果として世界の流れは一方向に加速する。

ちょんと押されて傾き始めた棒がやがて自重で倒れていく様に似ている。最初と同じくらいの力を反対向きに加えても止められない。そういう危うさが現代社会にはある。現代社会とはネット社会のことだ。

従来はテレビ、新聞、雑誌といったマスメディアが主な情報源であり、それが世界を形作っていた。陰謀論みたいな意図的な情報操作があったかは知らないが、少なくとも可能ではあった。これなら棒は倒れにくい。

それでも少数のメディアに支配される社会よりは個人が自由に発信できる社会のほうがいい。現状はそうなっていないと思う。僕はもっと人々の胸の内が見たい。

↓つづく