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民間企業から公務員への面接対策(私見)

はじめに

公務員から民間企業に転職し、また公務員に戻ってを繰り返してきた私。
今回は民→公の面接のエッセンスを書きたいと思います。

以下は方法論ではなく、主に「気持ちの持ち方」について記したものです。自分の気持ちをどう持っていくかで態度に出るものと思っています。
これから公務員の面接を考えている方の参考になればうれしく思います。

自治体にもよりますが、私が民間企業から公務員への出戻りしたときの試験は以下の感じでした。 

 ●1次試験 
  ペーパー審査 or  筆記試験(SPIのようなもの)
 ●2次試験
  面接(2回)
  1回目 若手職員(10年目くらい?30歳前後か)
  2回目 幹部職員(課長級 40~50代)
 ■その他 論文

1次試験と論文対策はここでは置いておいて、
2次試験の面接対策について振り返って分析してみたいと思います。
(面接が1回のみの幹部面接で終わりというところもありましたが、今回は2回面接があるところにフォーカスします。)

県庁2件、基礎自治体2件、政令指定都市1件の経験から述べます。私の経験から言うと、多くの自治体は面接が2回ありますが、それぞれに異なった態度が求められます。

面接1回目 対 若手職員

まずは1回目の若手職員の面接です。
おそらく同年代くらい(28歳~35歳くらい)の人に面接されます。
ここで見られているのは「同じ仲間として働きたいか」だと思います。

もちろん、若手職員にも面接における色々な指示が来ており、それに基づいて質問されます。
しかし、まだ部下も持ったことのないような職員が組織の方向性など大局的な視野から判断できるでしょうか。結果的には、繰り返しになりますが「同じ仲間として働きたいか」という眼鏡でバイアスがかかると思います。

質問は思い返せばこういうものがありました。
 ・なぜ公務員を辞めて民間企業に?
 ・また公務員に戻ろうとする理由は?
 ・今までで成果を出した経験
 ・自分の得意、不得意なところは?それを仕事でどう生かすか。
 ・どういう部署で持ち味が行かせると思いますか
 ・また辞めたいと思ったらどうしますか。
 ・なぜこの自治体に応募したのですか。

質問はありきたりな感じです。私は、ともかく明るく丁寧に返答しました。
面接官は私の返答を聞いて一生懸命何かを書いていますが、きっとそこまで深いインサイトには到達できていないと思います。多分、答えたことをそのまま記しています。面接態度も採点されていると思いますが、民間企業まで転職・就職した人ならアドバイス不要でしょう。

ここで特に気をつけなきゃいけないことは「偉そうにしないこと」です。
民間企業に行って経験したこと自体を話すのは問題ないと思います。
ただ、たとえば「役所のこういうところを変えなきゃいけない」だとか「役所はこうあるべきだ」みたいなべき論を話したとしましょう。
これは相手からしたら「こんなめんどくさい奴と働きたくないな」と思われる可能性があります。
そもそも10年目の職員では事業の予算の組み立てはできるかもしれませんが、多くは課長や係長からの指示で編成したもので、自分の思いを反映させるところまで至っていない人が多いと思います。そこに、こうあるべき論を持ちかけられてもあまり共感を得られないのではないでしょうか。
私自身、役所で通算10年以上働いていますが、そういう人は面倒だと思ってしまいます。
ここはやはりマインドとして「一緒に働きたいです」という意識で臨んで聞かれた質問に楽しそうに答えるに徹した方がいいと思います。

また、若手10年目くらいなので基本的に「真面目」です。
その自治体の政策や観光資源など聞かれる可能性があります。真面目さゆえに、こういう質問に答えられないと杓子定規な採点表にて減点されるので事前に準備してください。
観光・子育て・SDGs・DX・農業・税収あたりでざっとその自治体が何をしているのかを勉強しておくとよいと思います。
質問された際は、現在の政策を批判するというのは避けてください。むしろ、こういう分野に興味がある、こういうところで自分の強みを生かしたい。みなさんイキイキ働いているのでもし採用されたらとてもうれしい。のような未来志向の話をするときっと好印象です。

あと、私が意外に重要だと思うのが「身だしなみ」です。「一緒に働きたいか」の大きな基準になると思っています。面接時に何人かスーツのサイズが合っていないような人がいましたが、合格者には残っていませんでした。私の民間企業出身の同期を見ていると基本的にみんな清潔ですし、服のセンスも悪くありません。細かなところですが、派手過ぎず、しかしセンスの良いスーツを纏ってください。スーツはネイビーか黒、靴はもちろん黒がベストです。

面接2回目 対 幹部職員

課長級3人くらいが出ています(政令市は5人くらいいました)
おそらく、人事委員会事務局と人事課の課長だったかと思います。
原課(事業課)の幹部もまぎれていたかもしれません。

ここで見られているのは「ポテンシャルと部下として一緒に働きたいか」です。
繰り返しますが「部下として一緒に働きたいか」の視点から来るのを忘れないでください。課長級となれば広い政策課題や役所の未来を見据えた大局観を持っている人もいるかもしれません。
しかし、普段からマネジメント業務を行っている課長からすれば、伸びしろも十分見られますが、むしろ、例えば自分の組織のカラーに合うかな?のような視点でバイアスがかかると思います。

ですから、政策について意見するときは注意する必要があります。
相手は、政策立案のプロなわけです。若手職員のときはこういうことをしたい!という思いで共感を生むことができる可能性がありますが、課長級になると、こうしたい!というと予算のことやステークホルダーのことなど幅広い視点で分析されます。「こいつ実態をわかってないな」と思われる危険性もありますので、基本的には聞かれた質問にのみ丁寧に答えることと、変にあれやこれやアイデアを付け足さないことです。

また、ここで必要な態度は「もうやめません」という強い意志表示です。
役所にどういう期待を持ってきているのか、それが叶わないとどうせ退職するんじゃないのか。
そういう疑問を強く持っているはずです。

なぜそう思うのか。

面接官自体が20年以上も我慢して役所に奉仕してきたからです。
民間企業から入ってくる人には新しい風を期待しますが、それと同時に継承していってほしい風土もあります。そういうことを想像しながら質問を聞くとすこし違って聞こえるはずです。

いくつか質問されたことを思い出してみます。
 ・県には〇〇という遺産があるが、現状何も整備されていない。
  あなたならどういうふうにして人を呼び込むか?
 ・どうしてまた公務員に戻ろうと思ったのか?
 ・また辞めたくなったらどうするか?
 ・給料が下がってもいいのか?
 ・あなたが職場にどう貢献しますか。
 ・挫折の経験と乗り越えた方法。

また辞めたくなったらどうするのか?は同じ面接で3回くらい聞かれました。
3人面接官が輪番で質問してきますが、それぞれ聞いてきました。
とにかくブレずに「やめません、これが最後という気持ちです」を貫いてください。

また、恥ずかしいかもしれませんが、入室の際は新卒に戻った気持ちで大きな声で「失礼します」と入ってください。たいていの民間企業経験者というのは少し落ち着いていて、仕事できる風を装っています。しかし、おそらく採用したいのは新しい気持ちで一緒に働いてくれる仲間だと思うのです。

以上が、面接の振り返りでした。
すこしでもみなさまの参考になれば幸いです。

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