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葉隠



気づいた日から
気づかないふりを続けてきた
離れ離れの空を、一片ずつ集めて
貼り合わせた葉っぱが
光っていた、
どこかで滲んで、枯れて行くときも
葉脈を挟んだ隣り合わせの
空に
広げた言葉は、
瑞々しく過ぎて行く心をここに
映していてください、と
見え隠れして、開く一瞬、
一瞬の顔が重なる、きのうの誰か、
あしたの 君がポツリ
ポツリと木の下に ゆれる
影の中で見せる、春のことを
少しだけ想う顔、
温度を保つためだという、
開かなかった片方の扉が開いて、終わる季節、
静かに燃える
返事を僕は見えない両手で
受け取っていた






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眠れない夜に

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