インロー

長らく読み専門でしたが、思うところあり、2021年1月より文章を書くことにしました。自…

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長らく読み専門でしたが、思うところあり、2021年1月より文章を書くことにしました。自己満足日記なので気楽にお付き合いいただければ幸いです。自転車とサウナとカレーが好きです。 https://instagram.com/inandlow?r=nametag

最近の記事

日々是レファレンス 美術館喫茶室ニホ(とその閉店)とゲルハルト・リヒター

 福井県立美術館の隣に「美術館喫茶室ニホ」という喫茶店があった。2024年3月24日に惜しまれつつ閉店。美術館の隣(というより棟続き)にありながら、いわゆるミュージアムカフェとは少し雰囲気を異にする。たくさんの本や雑誌(とくに季刊誌『銀花』のバックナンバーは貴重なものではないかと思っている)や画集や図録が置いてあって、最初は美術館の帰りに寄ることが多かったが、そのうち美術館に関係なく訪れるようになった。他の常連客もどうやらそんな感じのようだ。  ある日訪れた時、帰り際にゲル

    • この記事を書いた直後に川勝知事辞職のニュースが流れて驚く。 静岡県の知事じゃなくて静岡県の恥だなこりゃ。 https://note.com/inlow76/n/n481588b2663b?sub_rt=share_pw

      • 北陸新幹線と敦賀の発展について

         ふと思ったのだが、敦賀の今後の発展のためには、敦賀駅が北陸新幹線の終着駅であり続けることが重要なのではないか。今回の北陸新幹線敦賀延伸で「どこそれ?」と思われていた敦賀の認知度は多少高まったと思うが、敦賀以西に北陸新幹線が延伸してしまうと敦賀はただの通過駅になってしまうしそうなったらわざわざ敦賀で降りてくれる人がいるとはとても思えない(福井駅にも同様のことが言えるかもしれない)。そのためには敦賀以西の延伸をあらゆる手段で阻止しなければならない。 1.予定ルートの環境問題

        • 日々是レファレンス ガンダムとボルヘス

           福井の足羽山のふもと、毛矢黒龍神社や藤島神社の近くに毛矢珈琲という喫茶店がある。  毛矢珈琲さんは本がたくさん置いてあって、中でも僕の大好きな南米の作家が多くて(ボルヘスとかガルシア・マルケスとか)嬉しい。なぜ南米の作家が多いのか店主に尋ねてみたらもともとそっち系の専攻なのだそうだ。すごいな。  今日はボルヘス『幻獣辞典』をお供にコーヒーをのんびりいただく。この『幻獣辞典』は古今東西の空想上の怪物を集めたものであるが「辞典」の名のとおり読み物としては決して面白いものでは

        日々是レファレンス 美術館喫茶室ニホ(とその閉店)とゲルハルト・リヒター

        • この記事を書いた直後に川勝知事辞職のニュースが流れて驚く。 静岡県の知事じゃなくて静岡県の恥だなこりゃ。 https://note.com/inlow76/n/n481588b2663b?sub_rt=share_pw

        • 北陸新幹線と敦賀の発展について

        • 日々是レファレンス ガンダムとボルヘス

          ひとり旅をしていると、旅程の最後の方は誰かに会いたくてさみしくなる。 でもこのさみしくなる感覚が好きだ。

          ひとり旅をしていると、旅程の最後の方は誰かに会いたくてさみしくなる。 でもこのさみしくなる感覚が好きだ。

          2/11に『PERFECT DAYS』を観た。 とても良くてすぐにインスタとnoteに感想を書いた。 翌々週2/20に『哀れなるものたち』を観た。 めっちゃ良すぎていまだに感想が言葉にならない。

          2/11に『PERFECT DAYS』を観た。 とても良くてすぐにインスタとnoteに感想を書いた。 翌々週2/20に『哀れなるものたち』を観た。 めっちゃ良すぎていまだに感想が言葉にならない。

          一口ちょうだいリフレイン

           以前(といってももう2年以上前だが)にnoteに、「一口ちょうだい」と食べ物のシェアを迫ることについてこんな記事を書いた。  自分の書いた記事の中では好きな方なのだが、その一方で周囲からはケチだの偏屈だの、かなりの言われようだった。  それが今日、同じようなトピックスの記事がYahoo!ニュースに掲載されており、へえぇとなったと同時に、ちょっと気を強くしたりもした。嫌だと思ってたのは僕だけじゃなかったんだ。令和、いい時代じゃないか。  もう「ケチ」だなどと誰にも言わせな

          一口ちょうだいリフレイン

          日々是レファレンス 「八百屋批評」という言葉

          「八百屋批評」という言葉がある。おそらくは筒井康隆の造語で、初出は『文学部唯野教授のサブ・テキスト』だ。  筒井康隆の小説『文学部唯野教授』は、テリー・イーグルトンの『文学とは何か』を下敷きに章立てされており、さまざまな文学理論がそのタイトルとなっている。各章の前半は、大学内部のいざこざに主人公が巻き込まれていく様子がスラップスティックコメディのように描かれ、後半はタイトルについての講義というスタイルになっている。  その第一講:印象批評の講義部分で「規範批評」という言葉が

          日々是レファレンス 「八百屋批評」という言葉

          「マルハラ」という言葉があると知って驚愕した。 マルハラに苦しむあなたには筒井康隆の「句点と読点」という短編をお勧めします。『串刺し教授』という短編集に入っています。 本当はガルシア=マルケスの『族長の秋』のつもりだったのだけれども、再読したら思ったより句点が多かったのです。

          「マルハラ」という言葉があると知って驚愕した。 マルハラに苦しむあなたには筒井康隆の「句点と読点」という短編をお勧めします。『串刺し教授』という短編集に入っています。 本当はガルシア=マルケスの『族長の秋』のつもりだったのだけれども、再読したら思ったより句点が多かったのです。

          日々是レファレンス『PERFECT DAYS』

           ひさしぶりに観た映画は、やっぱり映画っていいなと思える映画だった。  この映画を観て、ある人のことを思い出した。友人や知り合いとかではない。話をしたこともない、見かけただけの人だ。  京都に住んでいたことがある。大学が京都にあったのだが、学生時代を含めて8年くらい住んでいた。京都では春夏秋と年3回大規模な古本市がある。春はみやこメッセ、夏は下鴨神社の糺の森、秋は百万遍知恩寺(そして今回はじめて知ったのだが、今は冬も古書会館というところで2月に古本市をやっているらしい)。学

          日々是レファレンス『PERFECT DAYS』

          日々是レファレンス COTETRA

           ストローと花びらのようなパーツで、正三角形を組み合わせて立体の構造物をつくる「COTETRA」。僕の飲み友達の清水センセ(実は福井工大の建築の先生だ)がときどきワークショップを開催している。昨年One Park Festivalに登場したので目撃された方もおられるかもしれない。それが今回福井工大近くのカフェ、Marvin Cornerにお目見えした。  あらかじめざっくりした設計がありミニチュアをつくったりして現場に臨んでいるようではあるが、あくまでその場で組み上げていく

          日々是レファレンス COTETRA

          日々是レファレンス 借りパクされた本棚

           何かの折に「そういやアレまた読みたいな」と思うことがある。読書そのものに飢えているときは「バベルの図書館」が入ったボルヘスの『伝奇集』を、ガルシア=マルケスが死んだときには『族長の秋』を(『百年の孤独』ではないのだ)、クンデラが死んだときには『存在の耐えられない軽さ』を、戦争もしくは戦争に近いものが頻発して血なまぐさい世界になりつつある昨今は伊藤計劃の『虐殺器官』を、本棚に探す。  しかし、ない。ないのだ。なぜか。  ない理由はほぼわかっている。貸したまま返してもらえて

          日々是レファレンス 借りパクされた本棚

          前略、道の駅より

          令和5年10月9日(月・祝)  最近めっきりトイレが近くなり、長時間の車の運転にはトイレ休憩が必須となってしまった。  この日は、三国にあるお気に入りのハンバーガー屋さんに行ってから、国道305号線を越前海岸沿いに走って帰敦(きとん:敦賀に帰ること)した。途中、道の駅越前(越前がにミュージアムのあるところだ)でトイレ休憩とした。車を止めて建物に入り小便器で用を足していると、背後の個室から「うえっ」とか「ぐおっ」とか、なにかをリバースしようとしているような声が聞こえた。おいお

          前略、道の駅より

          日々是レファレンス「おふゆさんの鯖」

           ある夏の暑い日の朝、朝ゴローで朝食を食べコーヒーを飲み終わってもまだだらだらしていた10時過ぎ、だしまきさんがやたら発泡スチロールの箱をたくさん持って入ってきたのでどうしたのか尋ねると冷蔵庫が壊れたのだという。とりあえず発泡スチロールの箱に避難させて持ってきたとのことで「今日にも冷蔵庫を買いに行かなきゃ」と言っている。11時に予約のお客さんがいるらしいが、それ以外はもうお休みにするという。  大変だなぁと思いながらさらにだらだらしているとクマゴローカフェの店主が「私ときど

          日々是レファレンス「おふゆさんの鯖」

          思いやりということ

           小学生(3年生か4年生くらいだったと思う)の通知表に担任から「思いやりがない」と書かれたことがある。正直自分にはあまりピンと来なかったが、母親からは「ほら!通知表にこんなこと書かれて!やっぱりアンタは思いやりがないんだ」と言われた。学校の先生が言って、母親が言うんだからきっと間違いないんだろう。どうやら自分には「思いやり」がないらしく、そしてそれはとてもまずいことらしい。それからはことあるごとに母親に「あんたには思いやりの心がないから人を思いやりなさい」と言われた。自分に思

          思いやりということ

          無駄に読み応えのある記事の後編はこちら https://www.reallocal.jp/106350

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