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組織デザインと「生物学」「物理学」

ペンギンってかわいいですよね。
唐突にすみません… 昔からペンギンが好きなもで。

わざわざ理由を書くまでもありませんが、二足歩行でヨタヨタ歩いている姿はもちろんです。いつも集団行動している様子なども、人間社会にも似たドラマがあるような気がして、見ていて想像が尽きることがありません。
鳥類とか動物とか、生物としてのカテゴライズなんてどうでもいい。愛らしさ、神秘的、哀愁すら感じてしまう、そんな存在です。

先週は、以前から気になっていた海洋生物学者の渡辺佑基さんの著書ペンギンが教えてくれた物理のはなしという本を読みました。
この本のタイトルって、ちょっと引っかかりがありますよね。ペンギンだけでも生物学的に謎が多そうなのに、物理の話をしようと言うのですから。
本筋は “生物と物理“ の話なのですが、めっちゃ気になったので読んでみたわけです。
※ あとペンギンだけだなく様々な生物が登場します。

著者の渡辺さんは、国立極地研究所で働く研究者です。聞いただけでも過酷そうな仕事を想像することができます。実際に南極での滞在はもちろん、必要とあらば世界中の生物たちに会いに飛び回っています。
主な研究は、バイオロギングといった手法で生物の観察を行います。
バイオロギングとは、生物に位置情報をトラッキングするための装置を取り付けて、定量的な行動パターンを分析するための手法となります。
文章で説明するのは容易いですが、現地におもむいて鳥や海洋生物を捕獲し、装置をとりつけ、また回収するのですから… それはそれは骨の折れる作業でしょう。(せっかく取り付けた装置が故障したり紛失することも少なくないようです。)

そこからわかったことは、

・アホウドリは48日間で地球を一周する
・クロマグロは太平洋の端から端まで横断し、また戻ってくる
・グンカンドリは三日三晩着地せずにふわふわ飛んでいられる

え!?(本にもこのリアクションが書かれています)
嘘でしょ、と思ってしまう様な生物の不思議が、バイオロギングによって解明されて来たのです。
これだけでも大発見なのですが、渡辺さんが凄いところは、この様なデータを計測するだけではありません。物理学の視点でも計算式と想像力を駆使して、生物学という学問を深めているのです。
例えば冷静になって考えてみると、アホウドリの運動能力だけで地球を一周しているわけではありませんよね。その背景には重力やエネルギー保存則などの物理学も加わることで、信じられないくらいの行動パターンが生まれるのです。
このように「えっ」驚くような事象を、事象のままで終わらせずに、その原理を解明しているのです。

そんな渡辺さんは、生物学と物理学を次のように捉えているようです。

生物学は多様性を重んじる学問で、多種多様な植物や動物が環境の中に同居していることが自然の本質であり、むやみに単純化してはならない。
いっぽう物理学は普遍性を重んじる学問であるということ、一見とりとめなく多様にみえる事象の中から、できるだけシンプルで、できるだけ応用範囲の広い法則を導き出すことがゴールである。

僕はこの2つの視点に、物事の理において普遍性の高い秘密があるのではないかと考えずに要られませんでした。

特に仕事場でマネジメントをする際などには、この逆を行ってしまうケースがあるのではと思います。
例えば自分も恥ずかしいことに、コーチングをする際など、相手を勝手にタイプに当てはめてしまったり、問題を過去の事象に照らし合わせて単純化したりなど、多様な個人をパターン化して考えてしまったりします。
またチームの課題においては、個別な事象に囚われてしまい、結果的に振り返りづらいアクションになってしまうケースがあるわけです。

何が言いたいかというと、これを組織に置き換えて考えてみると「個人」のことはどこまでもユニークさがあり、「チーム」は個人が積極的に関わり、または利用して使ってもらえるようなシンプルな仕組みで考えること。

どこまでも性善説な考え方ですが、この二つが合わさることで、想像もつかないくらいの結果が生み出されはしないかと、夢見たいことことを妄想せずにはいられないのです。

自然界のような生物と物理を、人がつくるのは難しいでしょう。しかし心に留めておきたいと思った次第です。

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