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自然の複雑さをそのまま受け入れることを学んだ福岡正信さん

田畑の現象を分析し、バラバラに捉えるのでははく、絶えず変化している複雑な現象を複雑なものとして理解することの大切さを学びました。


福岡正信自然農園を訪問

今から約50年前(1975年)、たまたま福岡正信(故人)さんの自然農園が紹介されていたテレビ番組を見て、急に行きたくなりました。
11月の学校の休みを利用し、知人よりいただいた福岡正信著『無』に掲載された住所を頼りに、大阪南港よりフェリーに乗り愛媛県松山港へ。ヒッチハイクで伊予市の福岡宅にたどり着きました。
福岡さんに快く受け入れていただき、ミカン山の小屋で3日間過ごしました。そこにはすでに先住者が2名。自給自足で農作業を手伝いながら生活していました。
2日目の朝、山小屋で朝食を用意していただく間、私に頼まれた仕事は近くの池に水を汲みに行くことでした。水道水以外の水で食事をしたこと、電気のない夜を過ごしたこと、木から直接自らもいだミカンを食べたこと、などなど。多くのことが初体験でした。

ミカン山では、持参した段ボール箱にもいだミカンを詰めている家族にも出会いました。福岡さんから毎年購入しているとのこと。

不耕起田で稲刈りを体験

朝食後、山を下り不耕起、無肥料、無農薬、無除草田の稲刈りを手伝いました。親指ほどもある太い茎を鎌でかっては、束ねず地面に倒しました。雨の少ない当地ではこのようにして稲を干せるのだ?

福岡さんから学んだこと

福岡さんから不耕起・無肥料栽培などについて聞いたと思いますが、よく覚えていません。
ただ、稲刈りをしているときに、土壌学の専門家が尋ねてこられ、不耕起田の地表面を少し掘って、「土は地表面から肥えていく」と言われて、すぐに立ち去ったときのことは覚えています。
福岡氏が「ここには、田畑を見に土壌学はじめ作物学、昆虫学など多くの学者が来ては、それぞれに自分の専門から感じたことを言って帰る。一つのこと(田畑のできごと)を分けて見ていたのでは、全体は分からないのだが」と言われました。
3日目の午後、ヒッチハイクで道後温泉に行き、夜、松山港より大阪に帰りました。

著者本人より『自然農法・わら一本の革命』を購入。大阪に帰る道中で読み返しました。
有機農業(自然農法)に興味はあったが仕事は別と考えていた私に、この3日間の体験が、有機農業の仕事をしたいとの思いを決定づけたことは間違いありません。

※自然(田畑)に具わる複雑なものを単純化して捉えるのではなく、複雑なものを複雑なものとして理解しようとするヒントとなるのが「農地を生態系として捉える」ことだと思います。


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