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『リーン・スタートアップ』トヨタ製品開発(TPDS)とトヨタ生産管理(TPS)を混同している(リーンスタートアップ)

 この本はややこしい。以下の流れで頭が混乱してしまう。

・リーンスタートアップのベースになったリーン生産管理は生産管理であって、製品開発ではない。しかし、この本ではそこがごちゃごちゃになっている。

・トヨタ自動車でいうと、製品企画(設計、原価企画)と生産は明確に違う。

・トヨタ自動車の製品企画(設計、原価企画)は、アーリーアダプター向けのMVP(実用最小限の製品)とは違う。豊田喜一郎のAA型も、中村健也のクラウンもいきなり売り物だ。

・iPhoneでは1,500ほどの改善バッチとして顧客にリリースしているが、バッチサイズは継続的デプロイメントすべき。この考えはトヨタ生産管理の1個流しと同じ。

 この本は、ソフトウェア開発がターゲット、という前提条件があって、そこでの試作的なフェーズでトヨタ生産管理を参考にしているのだ。つまり、著者の頭の中には以下があるのだろう。

「ソフトウェアの製品開発のバグなどの改善フェーズ=生産」

 本来は、以下の図式になる。

「ソフトウェアの製品開発(MVP含む)=トヨタ自動車の製品企画(原価企画)」
「ソフトウェアのダウンロード=トヨタ自動車の生産」

 MVP(実用最小限の製品)を作るまでのプロセスは、明らかに製品開発だが、それを改善バッチでバグFIXするプロセスを生産と捉えている。(途中、トヨタ自動車のシエナの主査の製品開発の話などもあるので、混乱してしまう)

 米国の読者が、製品開発と生産の違いが分からないとは思えないが、特に「ピボット」が重点的に解説されていることに対し共感を与えたのではないだろうか。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。