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『騙されないための中東入門』2点は参考になった(環境研究)

 朝日新聞を敵対視するほど批判する飯山陽氏と、産経新聞の元イラン支局長の対談。この組み合わせだと、極端に右に触れてしまうので、引いてとらえた方がいい。

 日本人、もしくは日本のメディアは、中東をスンニ派 VS シーア派でとらえている。しかし、トランプのアブラハム合意で示されたように、イラン VS イスラエルを含むスンニ派諸国ととらえないと、現在の中東は見えてこない。

 原因はイランの脅威とパレスチナ問題のとらえ方にある。1948年のイスラエルの建国によって、アラブ人であるパレスチナ人は困っている。パレスチナ国家ができるまでイスラエルを国家を認めないというアラブの大義となった。しかし、サウジやUAEは、毎年数百万ドルと、どんなに支援しても、自治政府の懐に消え、パレスチナには産業も起こらず、経済政策もない。
 したがって、イスラエルと経済的に、軍事的、外交的な関係を構築することで、みんなが納得するかたちで、パレスチナ国家の樹立を目指すことになった。

 2021年イランと中国は25カ年におよぶ包括契約を結んだ。イランが市価より大幅に値引いた価格で中国に石油を売る。中国はイランに4000億ドルもの投資をする。これによって、イランの経済状態はぐんぐん改善した。
 また、ウクライナとの戦争により、EUから追い出されたロシア企業は、トルコを拠点にビジネスを行っている。エルドアンは中国を訪問し、犯罪人引渡しに関する二国間協定を結び、トルコは同じチュクル系のウイグル人を中国に売り渡した。トルコは八方美人のコウモリ国家だ。

 この本のなかで参考になったことは次の2点だ。
 一つは、ビジネスの取引で、同じイスラムの規範に基づいてやると、決裁から何から話がスムーズに進む。イスラムは西方では武力制圧という手段を使っているが、東方は商号貿易ルート沿いの商談を通じて拡大していったという。
 もう一つは、エルサレムにある岩のドーム(アルアクサーモスク)が建設されたのは、西暦688年から691年にかけてだ。ムハンマドはそれより50年前の632年に死去している。したがって、アルアクサーモスクからムハンマドは昇天したことにはならない。しかし、クルアーン17章1節には、最果てのモスク(アルアクサモスク)で昇天したと書いてある。ウマイヤ王朝は、エルサレムのモスクをアルアクサーモスク(最果てのムスク)と名づけた。そのため、エルサレムが聖地となった。

 なんでもそうだと思うが、両端の見方をする人の意見も頭に入れ、自分なりに判断するのが正しい理解なのだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。