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10代が「自分だけの問い」を探究する!My Inspire High Award 2023 全国大会レポート

Inspire High が誕生して3年目となる2023年、Inspire Highを通じた学びの成果をアウトプットするイベント、「My Inspire High Award 2023 全国大会」を初開催いたしました。

「My Inspire High Award 2023」では、自分自身の問いを設定し、そのきっかけとなる「My Story」を考え、問いについてのリサーチやロールモデルの選定などを通して、新たに考えたいアウトプットのテーマやアイデアまでをまとめた探究活動を、全国の10代から公募しました。

審査の評価基準は、「オーナーシップ」「オリジナリティ」「ディープネス」「クリエイティビティ」「インスパイアリング」の5つ。たくさんの問いの中から選ばれた12名11組が、2月18日(土)に開催された全国大会に集結し、オンラインでプレゼンを行いました。

全国から集まった発表者の10代。

全国大会の司会を務めたのは、Inspire Highのナビゲーターとしておなじみの、清水イアンさん。さらに、これまでInspire Highにガイドとして登場した、資生堂クリエイティブディレクターの三浦遊さん、ダンボールアーティストの島津冬樹さん、平和活動家のメアリー・ポピオさんの3名も参加し、プレゼンへのフィードバックを直接行ったほか、それぞれがもっともインスピレーションを受けたプレゼンを「ガイド賞」として表彰しました。

今回、全国大会に選ばれたのは、12名11組の10代。
「農業」や「ボーカロイド」、「死」といった多様なテーマを「自分だけの問い」に落とし込み、素晴らしいアウトプットを披露してくれました。このレポートでは、出場者全員のプレゼンを紹介いたします。

今回のアワードでは全国からたくさんの「自分だけの問い」が集まりました

■10代が本気で考えた11の問いとアウトプット

「“No Rule”は存在するのか?」
―林さん(高校2年生)

トップバッターとなった林さんは落ち着いた口調で、堂々としたプレゼンのスタートを切りました。

「ノールールの日」という学校行事にも関わらず、ルールが多いことに疑問を持ったことがきっかけで、「No Ruleは存在するのか」という問いに至ったと言います。「自分の問いに向き合ってみて、ひとつのことを見るには多角的な方向から見ることが大切なのだということに改めて気付くことができた」と、今回の探究活動での気付きを語ってくれました。



「緊張することって悪いこと?」
―太田陽貴さん(静岡聖光学院・中学2年生)

「緊張して、小学校の児童会選挙や、中学受験も大変だった」という悩みから、「緊張することは悪いことなのか、良いことなのか」という問いを選んだ太田さん。

自分をよく知る友人に緊張についてリサーチするなど、他者からの視点や考えを知ることで緊張についてのイメージが変わっていったそうです。アウトプットでは、「同じ悩みを持つ人に共有する機会をつくる」といったアイデアを提案しました。



「貧困を解決するには?」
―湯本優衣さん(順天高校・高校2年生)
―藤野杏さん(桜蔭高等学校・高校2年生)

高校2年生の2人チーム、湯本さんと藤野さんは、夏休みのスタディツアーでフィリピンの貧困問題を目の当たりにし、「貧困を解決するとはどういうことか」「支援のやり方とはどんなものか」という2つの問いについて、答えを探すことにしました。

日本の食品を参考にした現地の特産品を売るというアイデアを出しつつも、「実現可能か」「需要があるか」など、物事を多角的に見る気付きを得て、現地での体験と結びつく深い学びとなりました。



「想像力で世界は変えられる?」
―菅村美月さん(市立浦和高等学校・高校2年生)

小説や映画が大好きという菅村さんは、「物語を見ている時のときめきには何か力がある」と考えたところからスタート。

「想像」と「創造」、ふたつの言葉の違いを考え、社会問題の改善にも役立つというところまで深めていきました。その上で、「人間関係や部活動、関心事、いろいろな場面で想像力は働いています。客観的に自分の想像力と向き合うことで、その力の大きさや可能性に気づくことができます」と、話してくれました。



「死とどう向き合う?」
―草埜心さん(School of the Arts・高校1年生)

「死」という難しいテーマを問いにしたシンガポール在住の草埜さんは、学校の先輩が自ら命を絶ったことがきっかけとなり、死について考えるようになったそうです。

死についてリサーチを行い、デジタル技術の発展により死との向き合い方が変化してきたことにも着目しました。さらに、「自分と死生観が違う」研究者をあえてロールモデルとして挙げるなど、様々な視点を持ちながら、死について深く探究を行っていました。



「どうしたら自分のことを好きになれる?」
―重城絹さん(クラーク記念国際高等学校・高校2年生)

重城さんはリアルタイムでのオンライン参加ができなかったため、録画映像での参加でした。

「自分が好きになれず、どん底にいた」という自身の体験に真摯に向き合い、「この問いを通じて、看護師という将来につなげていきたい」と話します。

参考にしたいロールモデルの一人に「将来の自分」を挙げ、「将来の自分に希望を持ち、もしかしたら今とは違う自分になっているかもしれない」という期待を抱いたそうです。そして、自分が救われた音楽で、今度は人を救いたいという抱負を語ってくれました。



「どうしてプリンセスは王子様が必要なのか」
―古屋凜歩さん(聖ドミニコ学園中学校・中学3年生)

印象的なタイトルのプレゼンを行ったのは、中学3年生の古屋さんです。

新旧のディズニー映画を対象にリサーチを行い、時代とともに女性像のイメージが変わりつつあることを発見しました。さらに、「男尊女卑」といった固定観念などの課題を取り上げ、学びを深めていった結果、「女性が男性と“協力し合いながら”、自らの活動の場を広げていける社会を創る」という解決策を導き出しました。



「農業はなぜ人気がないのか?」
―筒井大貴さん(高知県立嶺北高校・高校3年生)

高知県から参加した筒井さんは、将来自分が目指す農業について、問いを立てました。

SNSでアンケート調査を行い、農業が人気のない理由を探った結果、「農業に対してネガティブなイメージを持っている人が多い」ことが明らかになったそうです。

そこで、筒井さんは農業のイメージを変えるために大学で農業を学び、将来的にはITや機械を農業に活用することを目指しています。さらに、多くの人に農業を身近に感じてもらうアイデアとして、「地元の食材を使う」ことを提案しました。



「Empathyから取り組む社会問題」
―上田万葉さん(高校1年生)

授業をきっかけに、海外には劣悪な環境で働く人がいることを知った上田さんは、社会問題をテーマにしました。

その際、「異なる価値観の他者に自分を投影し、その人の考え方や感じ方を読み取って、効果的かつ適切な方法で対応する」エンパシーが重要だと考えました。実際に、エンパシーを生かした問題啓発を行い、学校のフードウェイスト削減にも役立てています。「私たちは問題の傍観者ではない」と呼びかけ、課題の解決に重要な「当事者意識」をもつことの大事さを伝えました。



「日本の難民認定率はなぜ低いのか?」
―網岡万祐さん(広尾学園高等学校・高校2年生)

幼少期をドイツで過ごし、実際に難民キャンプに避難した方に話を聞いたという網岡さんは、日本ではほとんど難民がいないことに驚き、今回の問いにたどり着きました。

現在、日本の難民問題に関わっている人々に話を聞いたり、自分でリサーチを行ったりし、日本における難民の問題点を具体的に挙げています。さらに、自身が弁護士となって、将来的にこの問いに取り組んでいくという強い決意を語りました。



「人はなぜボカロに感動するのか?」
―安川愛理さん(立命館宇治中学高等学校・中学2年生)

プレゼンのラストを飾ったのは、大好きなボカロ(ボーカロイド)への愛を伝えた安川さんです。

小学生の頃からボカロが大好きだったという安川さんは、その魅力の秘密を解明するため、この問いに挑みました。アウトプットは「自分の好きなものを嫌いな人への対応を考える」とし、「お互いに主張するのではなく、好き嫌いの理由を述べて、お互いにその考えを理解し合う」ことを提案しました。


■ガイドがインスパイアされた3つの「ガイド賞」を発表

全員のプレゼン終了後、ガイドがもっともインスパイアされた賞が発表されました。なお、「My Inspire High Award 2023」は個々のアウトプットの優劣を決めるものではなく、10代の皆さんが「自分だけの問い」を探究し、学びの成果をアウトプットし、さらに共有し合うことを目的としています。

ガイドからは「どのプレゼンも素晴らしく、ガイド賞を決めかねた」という言葉があったように、清水イアンさんからも「今回のプレゼンはすべて貴重で、かけがえのない唯一無二のもの。」という言葉が全員に贈られました。

●ガイド賞:三浦遊さん

「農業はなぜ人気がないのか?」筒井大貴さん
三浦さんは、「個人的な視点として、『未来志向』という軸で考えた。今後、農業革命が必ず起きると考えており、それにいち早く気付き、行動を起こしている筒井さんがとてもクールで引き付けられました」と、選定理由を語ってくれました。

「賞をもらえてびっくりして、鳥肌が立った」と話す筒井さんは、「これから、三浦さんの言う通りクールな仕事になると思うので、みなさんも、農業というものに視点あてて見ていってください」と、アピールしました。

●ガイド賞:島津冬樹さん

「どうしてプリンセスは王子様が必要なのか」古屋凜歩さん
「男女問題をエンターテイメントからわかりやすく深掘りしていったのが面白い」「発表資料の中でも一番すっと入ってきたのは、キャッチコピーも良かったから」と、古屋さんのプレゼンを評した島津さん。

コメントを聞いた古屋さんは、「嬉しくって言葉が出ないです」と感激していました。その後、「プレゼンの準備の段階から、すごく楽しくやってきたので、いい研究になった」と、感想を話しました。

●ガイド賞:メアリー・ポピオさん

「想像力で世界は変えられる?」菅村美月さん
「すごく悩んだ」というメアリーさんか選んだのは、もっとも共感したという菅村さんのプレゼンです。「私も好きなゲームや小説からインスピレーションやクリエイティビティを得て活動している。想像力を得て、現実世界でアクションをインスパイアする。最高だと思いました。応援したい」と、熱い思いを伝えました。

■みんなの問いから、新たなセッションが生まれる!?

今回の「My Inspire High Award 2023」はオンラインで行われたため、参加者がリアルで顔を合わせることはありませんでしたが、一人ひとりの発表が終わるたびに熱いコメントや感想がチャット欄に寄せられ、Inspire Highの活動を通じて、自然にフィードバックをし合う文化が育まれていることを実感できました。

プレゼンを行った11組のアウトプットはいずれも素晴らしいものでしたが、惜しくも選考に至らなかった素晴らしい問いや学びの成果も沢山ありました。そこで、いただいたすべての問いは、今後Inspire High の公式サイトやSNSで紹介していきます。

また、エントリーされた問いの中から、来年度以降のセッションに採用するものも検討中です。どんな問いが選ばれるのか、ぜひ楽しみにしていてください。

「My Inspire High Award 2023」全国大会

またInspire Highでは本アワードの授業での活用もご支援しておりますので、学校関係者の方々はお気軽にお問い合わせください。来年の開催もぜひお楽しみにしてください。