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D&I、先進企業はどうしてる? | 読書ログ#002「女性が共に、より羽ばたくために」

今回は、タイトルにもあるとおり、以前から興味があるジェンダートピックに関連した本をご紹介。

それはこちら!

「女性が共に、より羽ばたくために TOGETHER, SHE SOARS」

👤 この本はこんな人におすすめ 
💭 「女性活躍」「エンパワーメント」のトピックに興味がある
💭 女性としてのキャリア形成についてヒントが欲しい
💭 D&I(Diversity & Inclusion)取り組みの他社事例が知りたい
💡この本を一言でいうと?
女性活躍において日本企業ができる取り組みについて、D&Iを推進している企業13社の事例から学べる本。


この本を手に取った背景


冒頭でも言った通り、私は以前からジェンダーのトピックに興味があった。
その中でも特に、「女性活躍」「女性のエンパワーメント」という切り口のニュースや記事に目を惹かれることが多かったかもしれない。

でも一体、それは何がきっかけだったんだろう?

過去の記憶を辿ってみると、それは私が大学1年生の時に参加した、英語のスピーチコンテストだったかもしれない。

もともとそれまではスピーチした経験も一切なく、ただただ留学したいという気持ちでいっぱいだった私は、「これに参加すれば、留学前の面接で有利になるかも…?」なんて軽い気持ちで、スピーチコンテストに参加することを決めた。

スピーチの題材として渡されたのは、

「HeForShe」
2014年、国連組織であるUN Womenにてエマ・ワトソンが男女平等の重要性について訴えたスピーチ

だった。当時の英語力では1回読んでも全く理解できず、頭に叩き込むためにかなり苦労したのだが、そうやって理解するプロセスの中で、内容にものすごく共感したのを覚えている。

エマ・ワトソンの「HeForShe」の日本語訳付きスピーチはこちら。

大学1年生という多感な時期に、このスピーチと出会えて本当に良かったと思う。

このスピーチを通して私は、

・社会には未だに大きな男女格差が存在すること
・格差は時に潜在的で、無意識なものであること
・格差が存在するのは決して当たり前ではないこと
・フェミニズムは女性のためのものでもなく、女尊男卑でもないこと
・男女平等になることで社会全体が恩恵を得られること
・格差をなくすために、一人一人ができることを探すべきであること

を学ぶことができたし、それによって物事を新しい視点から見ることができるようになった。


それから5年が経った今、私はいち社会人。

ジェンダーのトピックに対する興味はなくなるどころか大きくなって、空き時間に少しずつニュースをキャッチアップするようにしている。

最近話題になったのは、2021年度世界男女平等ランキングにおいて、日本が120位に順位を下げたという少し耳が痛いニュース。

その一方で、少しずつではあるけど、「多様性や女性活躍に向けて取り組みが必要」という理解が日本企業に浸透してきているかも?と思うようなニュースも目にするようになった。


そこで今回は、日本の先進的な企業は女性活躍においてどんな取り組みをしているのか知るために、この本を手に取ってみた。


女性活躍に向けて奔走する女性たち


この本の著者は、ザ・ドリーム・コレクティブという世界的に活動するD&I(Diversity & Inclusion)のコンサルタント企業。女性のリーダーシップを開発することをミッションにしており、多くの企業に対して研修やトレーニング、ブランディングを行なっているらしい。

創設者サラ・リューが本の冒頭で、

「D&I」という言葉は徐々に浸透してきたが、これから多様性(Diversity)、包含性(Inclusion)に加えて、公平性(Equity)も担保していかなきゃいけない。これからは「DEI」が大事になってくる。

と述べていた。

私の解釈では、DEIを重視する=「女性に限らず、障がい者や外国人労働者といったマイノリティーの雇用や職場環境を整える上で、公平性はセットで考えていこうね」ということだと考えている。


小池百合子東京都知事
も、この本に寄稿している。

政治に参画する女性の割合が先進国でも最低レベルな日本で、首都東京の長を務める小池さんは、私が尊敬している女性の中のひとり。彼女の大学時代からキャリア変遷からは先見性や開拓精神を感じるし、女性として学べることが沢山!

本書では、女性が活躍できる環境を作る立場としてさまざまな取り組みを紹介されていた。


■「APT Women」(Acceleration Program in Tokyo for Women)

東京都が起業や経営者としての成長をめざす女性に対して、さまざまな場と機会を提供するプログラム。先輩起業家や支援者とのネットワーク作りにも役立ちそう。


■「NEW Conference」

女性経営者をパネリストに迎え、女性活躍のための取り組みについて議論するカンファレンスを開催。TOKYO女性経営塾などを通して経営ノウハウ・ナレッジも公開されていて、「女性経営者とはどういうものか」をざっくりと掴めそう。


■「びじょねっと」(女性首長によるびじょんネットワーク)

全国自治体の女性首長と経営者が、女性活躍に向けての取り組みを議論する場。「New Conference」が東京・経済面の枠に限定されているとすると、こちらは全国規模・政治経済両面で議論していくというイメージ。

https://www.bijonet.tokyo/


日本企業はどんな取り組みを始めている?


本書には、すでにD&Iなどの取り組みを積極的に始めている13社の企業事例も紹介されている。ここでは私の独断と偏見で、その中でも印象的だった2社の事例をピックアップしてみたい。


アドビ株式会社

アドビ社では、「アドビ・ケイパビリティ」として下記3つの素質

1. Be creative
2. Be focused
3. Be a leader

を定めており、採用から一貫して繰り返し伝えることで、この価値観に共感する人材を集めているんだそう。個人的に価値観の一致は、採用において能力・スキル面と同じくらいか、時にはそれ以上に重要だと思っているので、この取り組みはとても素晴らしいなぁと感じる。

共通の価値観を持った人が集うことで目標達成に向けたベクトルを合わせやすくなるし、組織内の不協和音や不一致のリスクを最小限にできるはず!
ちなみにアドビ社では、価値観を共有した上で一人一人が正しいことに行動することを重視しているからこそ、女性の採用比率などに細かい数字目標を持っていないそう。

だからこそ、明確かつシンプルな価値観を設定して、それを社内外に継続的に発信することがとても重要になってくると思う。
一方で、「そもそも企業としての価値観が明確になっていない」「価値観はあるけど上手く伝わっていない」というケースも少なくないかもしれない。

ここでは、もし自分が企業の価値観を考えるとしたら...という仮定のもとでプロセスを立ててみた。
(※あくまでも個人的な意見です。)

———
1. 会社におけるコアミッションは何か、改めてクリアにする
⇨経営状況や事業フェーズに左右されないものだとgood

2. コアミッションを達成する上で、一緒に働きたい人物のペルソナを設計する
⇨職種・役職を特定せず、アバウトな人物像がgood

3. ペルソナに対して求めることを言語化する
⇨ここでは、絞り込んだりまとめたりせず、思い付くかぎり挙げるのがgood

4. 3で挙げたことをカテゴリ別にグルーピングし、シンプルな言葉にまとめる
⇨ここでは、なるべく覚えやすくキャッチーな一文がgood
⇨価値観として腹落ちするまで、何回も繰り返し言葉にして見直してみる 

5. 4で設定した価値観を、さまざまな場面で社員に伝える
ここでは、全社MTGや人事面談の場などシチュエーションが多いほどgood

6. 価値観が社内に浸透したら、社外に向けて発信する
ここでは、HPや採用時だけでなく、色々なコンテンツに反映できるとgood
———


またアドビ社では、「リーダーシップ・サークル」という女性の育成プログラムを実施しているそう。毎年世界中の女性リーダー候補を集めて開催し、リーダーシップ研修およびコミュニティ形成を支援しているとのこと。

日本ではまだまだリーダー層の女性が少なく、ロールモデルを見つけにくいということが課題だと思う。
海外で活躍する女性リーダーとの出会いを通して、キャリアアップを目指す女性同士がモチベートし合える機会があるのは素敵だと思う。



コカ・コーラ ボトラーズジャパン

コカ・コーラ ボトラーズジャパン社には、アドビ社と際立って異なる点がある。

それは、女性採用の比率に明確な数字目標があること。直近では、新卒の女性社員比率を採用全体の50%に維持しているそう!

コカ・コーラ ボトラーズジャパン社では、採用における数字目標達成を含めて、女性活躍促進を下記3つの側面から進めていると紹介されている。

1. 採用 ー 採用数の拡大
2. 育成 ー パイプラインの強化
3. 意識改革 ー 管理職への啓発

2の育成においては「女性ピープルデベロップメントフォーラム」という、女性に特化して重要なポジションの後継候補者を選抜して育成するプロジェクトを推進しているとのこと。具体的には、自分のレポートラインとは別の役員がスポンサーとなり、中長期的な視点からキャリアに関するアドバイスをくれるというもの。

女性は、結婚・出産・育児というライフイベントから、誰しも少なからずキャリアに不安を持っていると思う。一方で、あらたまって相談する機会を作りづらいことも....。

会社の仕組みとして、普段あまり関わらない役員層からアドバイスが貰える機会があれば、より大局的な視点でキャリアを考えられるし、自分に対する自信もつく。そしてこれは女性社員だけでなく、役員層も現場の声を知って人事戦略に活かせる、とても良いチャンスなのかも!

3の意識改革では、とても面白い視点が得られた。

女性活躍推進でカギを握るのは、女性活躍を支援する立場の管理職にどう働きかけるかいかに協力を得られるか、ということ。女性活躍というと女性社員に対する支援にフォーカスしがちだけど、並行して管理側のマインドも改革しないと、女性活躍の実現は難しいそう。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン社では、管理職を対象にノンバイアスの研修を実施したとのこと。意識改革はすぐに効果が出るとは限らず、地道で継続的な取り組みが大切なんだと学んだ。


最後に、とてもほっこりする事例を一つ。

最近は育児性別に関わらず、育児休暇取得の理解を深めるための取り組みとして、子供が誕生した男性職員にオリジナルデザインの「パパエプロン」をプレゼントしているんだそう!

というのも、男性社員は子供が産まれても周囲に気づかれにくいかもしれない。
実際「パパエプロン」制度を導入することで、男性の育児休暇取得に理解を促したり、男性が参画しやすい雰囲気の醸成に繋がっているとのこと。

ただ単に休暇制度を整えるだけではなくて、男性にとっての心理的安全性を担保する、ユニークで素敵な取り組みだと思う。


この本を読んでみて


ここ最近、自分の中で、
「どうやったらより多くの女性が活躍できる機会を得られるんだろう?」
というテーマを悶々と考えていた。

このnoteで Inspiring Women プロジェクトを始めたのも、そのテーマを通して今自分にできることからやってみよう!と思ったのがきっかけ 。


ただ普段の情報収集では、どうしても断片的なニュースしか追いきれていないなぁという課題感があったので、この本を通して多くの企業例や、日本企業の潮流を知ることができて良かったなと思った。

一方で、この本で紹介されていた企業の大部分(13社中12社)は外資系であることから、女性活躍やD&Iという点では、日本企業がどうしてもビハインドしている印象がある。

まずは、一人一人ができることから始めること。

だからこそ、自分なりに調べたことや考えたことをnoteというプラットフォームを通じて発信していきたい。
あわよくば、読んでくださった1人の考え方や意識が少しでも変わって、それが大小問わず何かアクションに繋がったら、それ以上に嬉しいことはないなぁ。

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