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草刈民代が芸術監督・出演、ダンスの饗宴〈INFINITY〉が出来るまで-リハーサル・レポート&出演者のメッセージ(文/渡部晋也 , 写真/新井秀幸)

20210107INFINITYリハーサル写真

撮影:新井秀幸

「CHAIN OF ∞ INFINITY —DANCING TRANSFORMATION— “ジャンルを超えたダンサーの競演”」が、1月30日(土)にBunkamuraオーチャードホールにて開催が予定されています。草刈民代さんが芸術監督・出演し、自身が舞台にたつのは実に10年振りだそうです。
この公演のもとになった、自宅待機を余儀なくされていた時期に生まれた映像作品があります。画面から飛び出してリアルな舞台となっていく、その途中経過の最新レポートがこちら。後半には出演者からのメッセージもありますので、最後までゆっくりと読んでみてくださいね。

(文/渡部晋也 , 写真/新井秀幸)

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 バレエ、コンテンポラリー、ストリート、タップ、舞踏、新体操。〈ダンス〉という名の下に集められた様々な表現をするダンサー達が一堂に会する舞台、〈CHAIN of INFINITY〉。コロナ感染症の影響で自宅待機を余儀なくされた時期に、草刈民代が中心となって制作された映像作品「Chain of 8 Dancers creation during corona times in Japan」がきっかけとなって実現したことは既報の通りだが、現在それぞれのダンサーによって着々とリハーサルが進められている。そんなある日のスタジオをリポートしよう。

 この日はまず中村恩恵の振付による草刈のソロダンスから。振付はほぼ完成しているようで、徐々に練り上げていく段階のようだ。中村の振りをなぞるように草刈が動いていくのだが、動きが草刈に映った瞬間、明らかに彼女のダンスへと変貌する、非常に興味深い瞬間を目撃することが出来た。草刈は言う。「恩恵さんも私もそれぞれ〈身体の言語〉のようなものを持っています。でも恩恵さんの表現は確立していて、それはそうそう真似が出来ないんだけど、でも私が踊ることで私なりのものも出てくるのかなと思います」。


 2部構成となるこの舞台。ダンサーそれぞれの世界を披露する1部では中村がピアソラを踊り、上野水香は「瀕死の白鳥」でバレエの美しさを魅せつける。山海塾で活躍する石井則仁は度々共演している和太鼓奏者、辻祐の演奏で、空間を切り裂き異界のイメージを組み立てるだろう。そしてソロで登場する熊谷和徳は、タップの概念を越えたパフォーマンスを見せてくれるはずだ。草刈は振付家・宝満直也の作品を踊るが、若手の宝満を起用するところに、ダンスの尽きない未来を願う姿を見ることが出来ないだろうか。


 草刈&中村のリハーサルが終わると平原が2部最後の演目の振付を詰め始めた。今回の2部ではイギリスのシンガーソングライター、ソーン(SOHN)の楽曲がいくつも使われている。シンプルなフレーズに乗せて語りかけるようなヴォーカルが印象的だ。カウントを取りながら徐々にムーヴメントを積み重ねていく平原。数名のスタッフに指示を出して振付を固めていく。ようやく一通りの流れが出来たところで、草刈、中村、石井を交え、この日不在のメンバーにエキストラを入れての振り移しにはいる。バレエやコンテンポラリーの動きを基本にした素早いムーヴメントに、舞踏手の石井が「こんな動きをするのは、滅茶苦茶久しぶりだね」と笑うが、平原は振付のコンセプトとして「もともと画面(映像作品)から始まったプロジェクトだから、そこから飛び出してくるような、そんなイメージを描きました」と話す。ダンサーそれぞれの動きはそれぞれが持っているダンスに依存するから同じような振りでもここの違いが見えて面白い。


 手を振る、身体をひねる、跳ぶ。公演では様々なダンスが舞台を交錯するだろう。劇場で一人の観客として、彼らの真摯なダンスに向かい合いたい。


出演者からのメッセージ

●平原慎太郎
2020年は我々ダンサーにとってまさに緊急事態でした。
人と人同士が集まり成立する舞台芸術において、それを抑制しなければならない事態を受け入れることはそのダンサー生命をも脅かすものだからです。
その事案に対しての一つのアンサー/抵抗として「Chainof8」が出来上がったかのように思います。
各自の家で行なった創作行為と表現の行為は抽象的な踊りを具体的にどうすれば我々の声となり得るのかという一つの「足掻き」だったかのように思います。
無論、まだその緊張した事態が継続しています。
が、その時から自分たちは少しずつではありますが前進をしていました。
その途中経過として今回の機会があると思っています。
踊りが皆さんの生活に活力を与え、身体の尊さを改めて実感できるような舞台になればと思っております。
2021年の新たな年に残るような公演になればと思っています。
何卒よろしくお願いいたします。
●柄本弾
尊敬する草刈民代さんをはじめ、ジャンルは違っても日本の名だたるダンサーの方たちと共演できることになり、興奮しています。
今回は新たな作品を創作するということもあり、僕自身も楽しみにしていますので、皆さん是非見にいらしてください。
●中村恩恵
草刈民代さんのエネルギッシュな挑戦に心を動かされています。コロナは人々を分断しましたが、同時に想像もできなかった様な出会いを齎してくれました。今回の企画を通じての新しい出会いに感謝します。
●熊谷和徳
今年5月にNYでコロナでのロックダウンで全く踊ることができなかった時に草刈さんからご連絡をいただき、動画の中ではありましたが素晴らしいダンサー達と共演させていただいたことは、僕のタップダンサー人生の中でも忘れられない時です。
自由に踊れない、人生の中で初めて経験することのなかで、いかにクリエイティブで表現することが大切なことかを思い出させてくれました。
そして今回そのダンサー達に初めて実際にお会いし、実際に舞台で表現を共有できるということを本当に嬉しく楽しみにしております!
●石井則仁
芸術/ダンスの素晴らしさ、表現の豊かさ、草刈さんの想いを踊りに乗せて、皆々様にお渡しできたらと思っています。
最高の表現者の中に若輩者の私が混ざれること、光栄に思いながらも謙遜してまいりたいと思います。 
●辻本知彦
今こそダンスの力を。映像の世界から飛び出しコロナ禍の中でできる最大限の表現を舞台上で皆様にお届けしたいです。
劇場でお待ちしております。


■intoxicate編集部からのおしらせ
草刈民代へのインタビューを「intoxicate vol.149」(2020年12月10日発行号)およびMikikiに掲載しています。


【夜公演の中止、および出演者変更のお知らせ】
政府の非常事態宣言の発出を受け、お客様の安全を考慮し〈INFINITY〉公演の夜公演は中止とし、昼公演のみ開催いたします。
なお、出演者の一部変更がございます。怪我のために菅原小春が出演を取りやめることになりました。永井直也が出演いたします。
なお、希望者にはチケットの払い戻しを致します。お客様にはご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。
2021年1月8日
NFINITY公演実行委員会

LIVE INFORMATION

CHAIN OF ∞ INFINITY —DANCING TRANSFORMATION— “ジャンルを超えたダンサーの競演”
2021年1月30日(土)東京・渋谷 Bunkamuraオーチャードホール
開演/終演:14:00/16:00(予定)
芸術監督・演出:草刈民代
舞台美術・衣裳:丸山敬太
舞台監督:須加卓己(匠人)
照明:雑賀博文
http://www.classics-festival.com/rc/infinity/
■第I部:ソロ作品及び新作レパートリー(8作品予定)
出演:草刈民代/熊谷和徳/上野水香/辻本和彦/中村恩恵/平原慎太郎/石井則仁/柄本弾/永井直也 他
■第II部:世界初演「CHAIN OF 9」(仮称)オムニバス11作品で構成された新制作(予定)
9人のソリストによるオムニバス11作品で構成された新制作ダンス作品を上演。
出演:草刈民代/熊谷和徳/上野水香/辻本和彦/中村恩恵/平原慎太郎/石井則仁/柄本弾/永井直也 他
音楽:SOHN/Mooryc/Kyson/Antony And The Johnsons(特殊録音音源を使用)
■チケット発売(2021年1月9日~)
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/infinity2021/
イープラス:https://eplus.jp/chainof-infiniti/
ローチケ:https://l-tike.com/chainofinfiniti/
カンフェティ:https://www.confetti-web.com/infiniti
MY Bunkamura:https://my.bunkamura.co.jp
SS席/S席:9,800円/8,800円(税込・全席指定)※お1人様4席まで
※専門家の指導による新型コロナウィルス感染症予防対策を実施
※ソーシャル・ディスタンス対応を実施(通常定員の50%配席)
※来場者全員に特製除菌・消臭携帯用スプレーを配布
■お問い合わせ(ディスクガレージ)
050-5533-0888(平日12:00~15:00)
https://diskgarage.com/
■公演公式サイト
http://www.classics-festival.com/rc/infinity/


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