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インドの女性たちを救った感動の実話!『パッドマン 5億人の女性を救った男』とその実話を追ったドキュメンタリー映画『ピリオドー羽ばたく女性たちー』

今回はkayserが担当します。
現在、私たちが当たり前のように使っている生理用ナプキン。今回は、このナプキンにまつわる映画を紹介します。それが、『パッドマン 5億人の女性を救った男』『ピリオドー羽ばたく女性たちー』です。

この2作品、実は関連作になります。前者の『パッドマン 5億人の女性を救った男』は、インドで女性のために安価に作れるナプキンを開発した「パッドマン」ことアルナーチャラム・ムルガナンダムをモデルとした物語。後者は、ルムガナンダムが発明したナプキン製造機により、インドの女性の意識改革を促す様子を描いたドキュメンタリー映画です。

日本におけるナプキンの歴史や現状も紹介しながら、この2作品について紹介していきます。

インド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』

『パッドマン 5億人の女性を救った男』は、インドで生理用ナプキンの開発、普及に尽力した1人の男を描いた物語です。これだけ聞いても、いまいちピンとこない人も多いでしょう。
日本ではその存在が当たり前となっている生理用ナプキン。しかし、インドでは、女性の12%しか使用できていないのが現実でした。それにはいくつかの理由があります。

まずはインドにおける女性の地位の問題。女性たちは生理の間、家の中で過ごすこともできず、生理が終わるまでじっと外で待つしかありませんでした。なぜなら、生理は穢れだと思われているからです。しかも、一般的に使用するのはナプキンではなく不衛生な布。病気になるだけでなく、時には命を落とすこともある危険な代物です。

そんな女性の生理事情を知った主人公が妻のために、なんとかナプキンを購入します。しかし、あまりに高価すぎて手に入れるのも容易ではありませんでした。しかも、生理という言葉を口にするにも憚れるような社会なのです。

そんな社会に一石を投じたのが、主人公ラクシュミ。買えないのなら作ってしまおうと材料をそろえ自作します。何度もチャレンジするも失敗の連続。挙句の果てに、村の人たちからは変態呼ばわりされ、妻も彼の元を去ってしまいます。ラクシュミ自身も村を追われますが、それでもなお、ナプキン開発に人生をかける姿を描いた物語です。

監督は、R.バールキ。多くのCFを制作してきましたが、2007年に『Cheeni Kum』にて監督デビューを果たしました。、主演には、人気・実力を兼ね備えたアクシャイ・クマール。共演に、ソーナム・カプールラーディカー・アープテーなどのインド版ハリウッドのボリウッドでの豪華キャストが集結しています。

なかなか周囲に理解されないながらも、決して諦めないラクシュミの生き方に涙必至の感動作です。

アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞受賞の『ピリオドー羽ばたく女性たちー』

『ピリオドー羽ばたく女性たちー』は、Netflixオリジナルのドキュメンタリー映画です。先に紹介した映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』のモデルとなった生理用ナプキン開発に人生をかけたアルナーチャラム・ムルガナンダム。彼がもたらたしたインド女性の意識改革を追ったドキュメンタリーです。

2019年、第91回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞しました。タイトルの「ピリオド」とは英語で生理のこと。

インドの片田舎に、ムルガナンダムの開発した生理用ナプキン製造機を導入します。女性たちは生理という言葉を発することも恥ずかしがり、男性はその存在する知らないような村に生理用ナプキン製造機を導入することは非常に画期的なこと。

生理は穢れといったこれまでのイメージを覆していきます。そのことが女性たちの経済的自立や意識を変えていくことに。彼女たちは、これまで自分の存在価値を知らないだけで、ひとたび立ち上がれば、男性よりも強いものです。

ムルガナンダムの望んだ夢が一歩ずつ実現していることを世界中の人々に伝える作品となってます。

日本の生理用ナプキンは?「40年間お待たせしました!」アンネナプキンの登場!

『パッドマン 5億人の女性を救った男』『ピリオドー羽ばたく女性たちー』を観ると、「日本はどのように今の生理用ナプキンが定着したのか」ということが気になる人もいるのではないでしょうか。

実はその昔、生理用ナプキンを普及するために尽力した人物がいました。その人は、当時27歳の主婦、坂井素子。それまで、アメリカ製の生理用品を使っていたと坂井は、日本人の体形に合わせたオリジナルの生理用品が必要だと感じていました。そこで、ナプキン開発をするための会社「アンネ社」を設立します。

お気付きの人もいるかと思いますが、この「アンネ」という名は「アンネの日記」からヒントを得ています。「アンネの日記」アンネ・フランクが生理について前向きに捉えていることに感銘を受けたため命名したのだそう。

アメリカではすでに40年も前から使い捨て生理用品が発売されていました。アメリカに遅れること40年という意味も込めて、発売の際のコピーは「40年間お待たせしました!」に。そして、「アンネナプキン」という名のナプキンが日本で発売されました。その売れ行きは凄まじかったといいます。

今回紹介した作品同様、日本でもそれまでは「生理は穢れ」という考えが定着していました。アンネナプキンの登場は、そんな考え方をも変えていくきっかけとなったのです。

アンネ社の勢いは、生理用品市場にも影響を与え、既存メーカー、後続会社も参戦していきました。そして、紆余曲折ありながら、アンネ社は別会社へ吸収されることとなってしまいます。しかし、アンネ社の登場により女性の社会進出や意識改革を促したことは言うまでもありません。

日本での生理用ナプキンの歴史を知った上で、先の2作品を観ると、また違った感想になるかもしれませんね。

日本の生理用ナプキン事情

2022年現在の日本でも、生理用ナプキンに新しい動きが始まっています。というのも、公共の施設や商業施設で、生理用ナプキンの無料提供が開始されたのです。それは、企業への取り組みとしても見直されています。

昨今、女性の貧困が叫ばれ、生理用ナプキン購入が困難な女性の存在が明らかになってきました。それは、大人だけでなく、10代の少女たちも同様です。そこで、学校でも保健室に行けばもらえる生理用ナプキンをトイレに設置したところ、使用が160倍になったというデータも。

トイレットペーパーと同じように生理用ナプキンも女性にとっては必需品です。そういった男女の意識改革が、日本でもようやく始まり効果を出してきているようです。

女性の生理を描いた作品

ここでまたコンテンツ紹介へ。女性の生理についての関心は、別の形でも垣間見ることができます。ここ数年、生理を扱った漫画、映画、舞台などが登場しています。そのいくつかを紹介します。

手塚治虫文化賞も受賞した話題の漫画『生理ちゃん』

WEBマガジン「オモコロ」にて、『ツキイチ!生理ちゃん』というタイトルで連載された小山健原作の漫画が、『生理ちゃん』とタイトルを改めコミックとして発売されました。1話完結の物語。各話で主人公が異なり、さまざまな世代での生理にまつわるエピソードを扱った短編集です。

この物語の面白さは、生理という現象を「生理ちゃん」というキャラクターとして登場させているところ。月に一度やってくる生理ちゃんと女性たちがどう向き合っているか、女性からは共感を男性からは驚きを誘う作品です。

2019年には二階堂ふみ主演にて映画が公開されました。原作漫画のエピソードをオリジナルでまとめたオムニバス形式の物語です。共演は伊藤沙莉など。

理想の生理用ナプキンを開発する女性たちの物語!舞台『アンネの日』

社会問題や歴史的事件などを巧みに扱う劇作家・詩森ろば。読売演劇大賞など多くの演劇賞を受賞するだけなく、2020年には映画『新聞記者』にて日本アカデミー賞優秀脚本賞も受賞しました。

そんな詩森ろばが描く舞台『アンネの日』は、2017年に三鷹市芸術文化センターにて初演。8人の女優たちからなる生理にまつわる物語です。

新しい生理用ナプキンを開発するために集まったアネモコーポレーションの女性社員たち。自身の初潮や閉経、ナプキンに関するエピソードなどを語りながら、理想の生理用ナプキンを追求していく姿を描いています。

女性が生理を語るということは、その人の人生をも語ること。各々の抱える悩み、苦しみ、喜び、ナプキン開発に秘めた思いなどに心揺さぶられる物語です。

女性だけでなく男性も含めた多くの観客から好評を博した珠玉の作品。いつかは再演し、さらに多くの人たちに観てほしい作品です。

まとめ

今回はインドの生理用ナプキンに関する劇映画やドキュメンタリー映画を紹介しました。そこから、日本での女性の生理や生理用ナプキンに関する現状なども併せて紹介。ここ数年、その流れは大きく変わろうとしています。

時に映画は、これまで自分が知らなかったこと、気付かなかったことを教えてくれることがあります。今回紹介した2作品はまさに、そんな映画。

映画には、さまざまなジャンルがあります。エンターテインメント作品も魅力的ですが、世界で起こっている問題に向き合うことも、時に必要かもしれませんね。ぜひ、興味のある方は一度鑑賞してみてください。

kayser

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