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フランスの可愛い町に素敵な家を買ったダニエルに会いに

パリ、Gare de Lyonリヨン駅から列車に乗って南西の街Béziersベジエへ。夫と二人、久しぶりにパリから遠く離れる小旅行に心高鳴ります。到着までの4時間に選んだ本は『英米女性5人詩集』。流れていく田園の車窓を眺め、エミリー・ブロンテ、クリスティーナ・ロセッティ、エミリー・ディキンスンの頁を捲り、合間にビスケットを摘まむなどしながら、そして、エイミー・ローウェルという詩人を初めて知る。

When I stand under the willow-tree
Above the river,
In my straw-coloured silken garment
Embroidered with purple chrysanthemums,
It is not at the bright water
That I am gazing,
But at your portrait,
Which I have caused to be painted
On my fan.

柳の木の下に 私は立つ
川岸に
着ているのは 麦藁色の絹のドレス
紫色の菊の花の刺繍入り 見つめているのは 光る水ではない
あなたの肖像
描いてもらったの
私の扇に

"Vicarious"(「身代わり」) by Amy Lowell, p117, 『英米女性5人詩集』水崎野里子訳

池に落ちた葡萄の葉の昼と夜、露、白夜、恋人、庭の鯉、繊細かつ鋭敏な眼差しを通して綴られた、日々の暮らしの中の出来事。一人の女性の日記を読んでいるかのようでもあり、とりわけ、俳句に影響を受けた小さな詩編は、私もこのように日々のことを小さく美しく書き留めることができたらと、とても心惹かれました。

車窓が緑色から海色に変わると、ベジエ駅に到着。ダニエルが車で迎えに来てくれていて、「Salut !サリュー」と3人で再会を喜び合う。定年退職して、それまで住んでいたパリ郊外の家を売り、ベジエからほど近い小さな可愛い町で見つけた家を購入したダニエル&エリック夫婦。エリックは、まだパリでの仕事が残っていて、彼が引っ越してくるのは数か月先なのだそう。

駅から車で20分ほどで、ダニエルが住む町に。長閑な時間が流れる、このゆるりとした穏やかな空気感はパリでは味わえないもの。

いつもは固く閉じられている鉄の門が、ある日どういうわけか開いていて、階段を恐る恐る上ると、そこには秘密の通路が・・・などと尽きない妄想。

空色のヴォレー。

蜥蜴の壁飾りをあちこちで見かけた。

そして、こちらが、とっても素敵なダニエル邸。アール・デコ期の有名な建築家によってデザインされた、とってもチャーミングなお家なんです。シンメトリーに植えられた綿菓子のような木も可愛い!

正面玄関前の小さなカフェスペース。

重厚なアントラシット色に金色のドアノッカーが格好良い。

二人が購入する前は、イギリス人母娘がシャンブル・ドットとして居住していた家で、そのためベッドが設えられた部屋が各階に複数あるのですが、「こっち、こっち」とダニエルが案内してくれたのは、そのイギリス人娘が住んでいたらしいサロン・台所・寝室・浴室・バルコニー&裏庭付きの広い客室。ここで一週間とっても快適にお泊りさせてもらったのでした。

庭にある一面だけ残った壁。写真には写っていませんが、壁の横のスペースにはクラシカルなデザインのプールが設えられています。ところが、ダニエルもエリックもプールに興味ないので水を抜いてしまい、小さな野外劇場にするのだとか。

ある日の軽食、魚介のタルト。

午前中はみんなそれぞれに仕事をして、午後から近隣の街を散歩&観光に。もちろん、私の楽しみのアンティークショップにも数件行ってきました。こちらは、広い倉庫のアンティークショップ。パリのディーラーさんたちなど、トラックで仕入れに来るのだろうなあ。

仕入れたお品をちらりと。ベルエポック時代のグローブ・ド・マリエや菫色の食器。他にもアンティークレースや布花ティアラなど上々の仕入れでした。(菫色食器は完売となりまして、誠にありがとうございました!グローブドマリエは、目下、商品撮影用の什器として活躍中です。)

こちらは、ダニエルお気に入りのアイスクリーム&シャーベット屋さん。ピーナッツ味とチーズケーキ味のアイスが、とっても美味しかった!そして、翌日も再訪した3人(笑

二階のバルコニーから、ゆらゆらと夕陽が沈むのを眺めながら。実は、ダニエルと夫は40年来の親友なのですが、ダニエルと私はというと、これまで数回会ったことがあるくらいの仲なので、彼女から「二週間くらい泊まりにおいでよ!」とのお誘いをもらって、ちょっぴり緊張していたのですが、気さくでとっても優しいダニエルのおかげで、素晴らしい一週間でした。日曜日の早朝にパン屋さんにクロワッサンを買いに行って、こっそりとバルコニーのテーブルに置いてくれていたり、至れり尽くせりのダニエルのおもてなしに心から感謝を込めて!


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