CASEに関わる最新海外動向 (2021年7月)

2021年7月6日~8月6日

この期間の重要な動向

■ EV化政策には、排出規制の数値化 (新車におけるEVの比率)、充電インフラ整備計画、再生可能エネルギー導入数値目標、それらに対する投資支援計画を総合的パッケージとして取りまとめる必要がある。

✔ 米国は2026年までにフリート全体の車両走行距離を1ガロンあたり52マイル(83.7 km)とする事を義務付けたのに対し、自動車メーカーと目標を達成するために充電インフラ拡大のための補助金や投資など政府支援を調整している。
✔ 欧州は2030年までに55%、2035年までに100%の新車で排出量をゼロにする法案を提出。同時に主要高速道路で充電ステーションを60km毎、水素燃料補給所を少なくともに150km毎に設置することを計画。再生可能エネルギー比率は2030年までに40%が目標。

■ 主要OEM各社は欧米中政府の方向性と一致した、数千億円の投資計画を発表。(EVへの切り替え時期、EVプラットフォーム開発、バッテリー戦略、ニッケル・リチュウム等の資源確保計画等)。主要バッテリー企業も莫大な市場拡大を見込み2030年頃までに数百GWhクラスを目標として設定。

✔ VW: 2030年売上の約50%、2040年には100% EV。グループ統一アーキテクチャ、共通バッテリーセル、車両OSの開発。
✔ Mercedes-Benz: 2030年までに全EV化。2025年に3種のプラットフォーム立ち上げ。2030年までに200GWhのバッテリー確保。1000km走行。
✔ Stellantis: 2030年までに欧州の売上高の70%以上、米国の40%以上を低排出ガス車(LEV)にする。高速充電機能と高エネルギー密度バッテリ。2024年までニッケルコバルトフリー、2026年に全固体電池技術を導入。500-800 km走行。
✔ ホンダ: 2040年までに全EV化するために、特にソフトウエア開発では独自路線に拘らない。

■ 米国政府の充電インフラ投資に関連し、Teslaが年末に向けスーパーチャージャーネットワークを開放する可能性がある。

✔ Tesla以外のEV販売拡大の起爆剤になり得る一方、急速充電ステーション自体がTesla拡販のマーケティングツールにもなり得る。

■ 半導体不足:終息する気配は無く、自動車業界の急速なEV化や車のスマート化へのニーズ拡大で、終息は更に遠のいている可能性がある。

✔ 逆に、半導体不足がEVの市場拡大を遅らせる可能性もある。

■ EV向け鉱物資源の価格高騰の要因として、需要増の他にパンデミックによる労働力不足(賃金高)と輸送費高騰がある。

■ 中国の自動車輸出国化: 欧州へのEV出荷が増え始めている。

✔ 中国でのTeslaの生産と販売が拡大している一方、Model Yの生産を目論んでいたベルリン工場の立ち上がりが遅く、Model Yを上海工場から欧州に出荷開始。
✔ Nioが欧州での出荷を開始。
✔ SAICが再建を支援した元英国のMG車が欧州での販売を伸ばしている。

■ インド市場の課題: Amazonや地元のe-Commerce企業が配送車両のEV化を模索し、Teslaも市場参入に興味を示し、インド政府もEV普及率を目標を2030年までに30%としているが、現政権はMake in India政策に拘り、高い関税と政府支援やインセンティブの欠如がEV市場の拡大を阻んでいる。

✔ $40,000を超える完成車輸入で100%、それ以下の価格の車は60%、二輪車は50%の関税がかかる。
✔ Teslaが中国上海に工場建設を決めた段階で、輸入関税は25%と比較的低く、その上で中国は同社の主要市場になっていた。

以下詳細です。

◎◎◎ 米国の動向 ◎◎◎

バイデン政権は期待より強力な排出規制を提案

◇ 2026年までにフリート全体の車両走行距離を1ガロンあたり52マイル(83.7 km)とする事を義務付ける。(現在の目標値は40マイル/ガロン)
◇ 新しい基準と米国で販売される新車の半分はバッテリーまたはその他の無排出技術を搭載する。
◇ 自動車メーカーは目標を達成するために、充電インフラ拡大のための補助金や投資など、政府からの支援を求めている。(上院議員の超党派のワーキンググループによって検討されたインフラストラクチャに対するEV充電支出は$7.5B)。

バイデン政権は上記発表イベントでTesla等を呼ばなかった

◇ ホワイトハウスに呼ばれた自動車会社は、GM、Ford、Stellantisで、労働組合UAW (United Auto Workers)のRay Curryプレジデントも参加した。
◇ UAWは、2020年初頭の大統領選挙でバイデンを支持した。バイデン大統領は労働組合が製造するEVを重視している一方、外資系自動車メーカーのいくつかやTeslaは一般的に労働権法のある州で工場を建設し、組合の組織化を阻止することに成功している。

◎◎◎ 欧州の動向 ◎◎◎

欧州は2035年までにガソリン車の新車を禁止する考え

◇ EUは「Fit for 55」と呼ぶ気候提案のパッケージで、2030年までにCO2を55%削減し、2050年までに完全な気候中立性を目標としている。この目標を達成するために、欧州は2030年までに55%、2035年までに100%の新車で排出量をゼロにすることを計画。
◇ 主要高速道路で充電ポイントは60km毎、水素燃料補給所は少なくともに150km毎に設置する必要がある。
◇ 2030年までに40%の再生可能エネルギー発電を目標とし、公共建築物の改修を強制し、炭素国境調整関税を追加し、他国に炭素排出量をオフロードされる事はできなくなる。

◎◎◎ 日本の動向 ◎◎◎

排出ターゲットを満たす為、再生可能エネルギーを拡大する

◇ 再生可能エネルギーを現在の2030年の目標である電力供給の22〜24%から36〜38%に増加し、化石燃料の使用量を56%から41%に削減する。
◇ 草案は今年後半内閣によって承認される予定。
◇ 日本は原子力への依存を可能な限り減らすことを目指しているが、それは重要なエネルギー源であり続けるだろうと述べて、新しい原子炉の可能性については言及していない。

◎◎◎ インドの動向 ◎◎◎

AmazonやFlipkartがインドのEV化に苦闘している

◇ ランニングコストが安く、インドの汚染された騒々しい都市で環境に配慮したEVは配送車両として、Amazon、Flipkart、BigBasket等の魅力的な選択肢になっているが、最大の問題はインドに車両が無いこと。
◇ 国内最大の自動車メーカーであるMuruti Suzuki IndiaはまだEVを販売しておらず、インド最大の二輪車メーカーであるHero MotoCorpは、2022年3月頃まで電動スクーターを市場投入する予定がなく、NexonでEV自家用車のリーダーであるTaTa Motorsはラストマイル配達向けの小型商用車を持っていない。
◇ インド政府からの支援とインセンティブの欠如も、フリートのEV化を妨げている。

Teslaは直ぐにはインドに参入しない

◇ Elon Muskはインドで自動車を作りたいと思っていたが、「輸入関税はどの大国よりもはるかに高い」とツイートした。
◇ インド政府は、EV普及率を目標を2030年までに30%としているが、Narendra Modi首相政権はMake in India政策に拘っており、$40,000を超える完成車輸入で100%、それ以下の価格の車は60%、二輪車は50%の関税がかかり、市場拡大を阻んでいる。
◇ Teslaが中国での製造を決定する前の2017年は、当時の輸入税率が25%と比較的低く、中国でのTeslaの販売は早くも同社の収益の大部分を占め始めていた。インド政府にも同様の戦略でまず市場を拡大する事が必要。

◎◎◎ EVと自動運転の動向 (Tesla) ◎◎◎

Tesla Visionはもうすぐ方向指示器、ハザードランプ、パトカーのライト、更に手のジェスチャも理解する様になる

◇ 既に早期アクセスプログラムでアップデートを受け取ったTeslaオーナーはテストし始めており、テールランプの検出などの改善に気付いた人もいる。
◇ サイレンや警報を聞くことにも取り組んでいる。

莫大な利益にもかかわらず、半導体不足、バッテリー開発遅延の懸念からTeslaの株価が下がった

◇ $1Bの純利益を発表した後、Elon Muskは、半導体供給の予測不可能性と、今年後半にオースティンとベルリンの2つの新しい工場で生産を増やす際に予想されるハードルを強調し、4680バッテリーセルがいつ準備できるかについての確固たるスケジュールを示すことを拒否し、株価が下がった。
◇ 今回のTeslaの利益拡大は、価格の値下げを上回り製造コストを下げたので可能になった。一方、規制クレジットの販売による収益は、今年の最初の3か月の$518から、$354Mに減少した。

4680バッテリー生産の状況をアップデートし、まだ作業が残っていることを示した

◇ 4680バッテリーセルは、テキサス州ギガファクトリーとベルリンで生産されるTeslaセミやModel Yなど、Teslaの今後の新しい車両プログラムのいくつかに搭載されることが期待されている。
◇ 現在、生産のボトルネックとなっている製造プロセスの最後の10%を改善することに重点を置いている。

中国製Teslaの売上が記録的に伸びている

◇ Teslaの上海工場で製造されたModel 3とModel Yの登録数は、6月に合計28,508台で、5月から29%増加し、4月の2倍以上になった。
◇ 中国乗用車協会のデータによると、NEVの小売売上高は、上半期で約百万台でTeslaの登録台数は、輸入された一握りの輸入Tesla車を含み同期間に合計132,228台だった。

9月出荷分から中国製Model Yを欧州各国で受付開始

◇ 当初の計画とは異なり、欧州で納入された最初のModel Yは、Teslaの上海ギガファクトリーで生産される。
◇ ベルリンのギガファクトリーから欧州のModel Yを納入すると計画していたが、生産が遅れており、2021年半ばの目標を達成できない。

◎◎◎ EVの動向 (VW/Audi) ◎◎◎

VWの‘New Auto’戦略で2040年には100% EVとなる

◇ EVは2030年までに売上高の約50%を占め、今後10年間はBEVとICE車の組み合わせのバランスをどのように取るかに焦点を当てる。
◇ VWグループのすべてのEVが1つのアーキテクチャSSPに移行し、2030年までにバッテリーのコストを50%削減し、すべての車両に共通な1種のバッテリーセルフォーマットを導入する。
◇ 2025年までに新しい車両オペレーティングシステムを開発し、これは全車両に共通であり、レベル4の自動運転をサポートする。

VWのEV出荷の量が拡大してきた

◇ 第1四半期に59,948台のBEVが顧客に納入された後(前年比+ 78.4%)、第2四半期の納入台数は計画どおり110,991台(前年比+ 259.7%)と大幅に増加した。
◇ PHEVも多い。今年の上半期には、前年同期の3倍以上(+ 204.2%)の合計171,300台のPHEVが納入された。
◇ 今年後半に米国でVW ID.4の生産が開始されることで、この増加に大きく貢献するはず。

VWはバッテリーとソフトウエアの売上が伸びるとし、利益目標を上げた

◇ 2025年に8%~9%の営業利益率を目標としており、以前の7%~8%から上昇。
◇ 世界のモビリティ市場全体が現在の€2Tから、2030年までに€5Tに拡大すると見込み、ソフトウェア化した売上高として€1.2T($1.42T)を獲得する計画。
◇「次の根本的な変化は、はるかに安全で、よりスマートで、最終的に自動運転車への移行だ」(Diess CEO)

VWは中国でID.6の出荷を開始した、欧州向けの計画はない

◇ ID.6は、中国市場向けとしてSAIC-VWのID.6Xと、FAW-VWのID.6 CROZZ 2つの異なるバージョンで構成されている。
◇ 今回、FAW-VW ID.6 CROZZの出荷が開始された。CROZZは海外への輸出も計画している。(欧州への出荷はないが、米国向けは決定していない)

AudiはArtemisプロジェクトによるTesla競合のEVをIAAで公開する予定

◇ Audiは昨年、「2024年までに市場に投入される最初のモデルで効率的なEVプラットフォームを開発する」ためにArtemisと呼ばれる新しいグループを創設。
◇ 最初に実際のArtemis車両が市場に出るのはさらに2〜3年かかると予測される。

◎◎◎ EVの動向 (Mercedes-Benz) ◎◎◎

2030年までに全電気化する新しい計画を発表

◇ 10年間で€40B($47B)以上を費やしてラインナップを強化し、歴史的な業界変革を通じて世界をリードする高級車メーカーとしての地位を守る。
◇ 2025年に3つの新しい全EVプラットフォーム(MB.EA、AMG.EA、VAN.EA)を立ち上げ、アジアと欧州のパートナーと8つのバッテリー工場を設立し、2030年までに200GWh以上のバッテリーセルを必要と確認。
◇ 同時に、VISION EQXX という1,000 km以上の「実世界」航続距離を持つと主張する次世代の超効率EVを紹介。

IAAでEQEや最初のAMG EVを含む新しい数車種のEVを発表

◇ Mercedes-EQは、EQEはEVがビジネスサルーンとしていかにスポーティで快適になり得るかを示す。
◇ Mercedes-Benz AMGは最初のBEV高級サルーンで、BEVとAMG DNAを融合させるというブランドの明確な取り組み。
◇ Mercedes-Maybachのコンセプトカーは、100年の伝統を持つ究極の自動車の贅沢がどのように新しい時代に引き継がれるのかについての最初の明確な印象を伝える。

◎◎◎ EVの動向 (BMW) ◎◎◎

より上手い半導体へのアクセスで米国高級車市場をリードした

◇ BMWはサプライチェーン戦略の詳細を明らかにしていないが、調査会社のデータによると、サウスカロライナ州とメキシコのサンルイスポトシにあるBMWの工場は、現在チップ不足の影響を受けていない。

◎◎◎ EVの動向 (GM) ◎◎◎

12件のBolt EVの火災の後リコールを発表

◇ 過去1年強で12件の火災が報告され、今月の少なくとも2回の火災は「最終的な」ソフトウェア修正後であり、今回更に新しいリコールを発表した。
◇ Chevy Bolt EVは火災の懸念から、車両は90%で充電制限を行い、一晩充電したままにせず、充電後すぐにBoltを屋外に駐車し、引火の可能性のある構造物から離し、可能な限り約70マイル未満のバッテリー残容量で運転しない様に顧客に要請。
◇ 火災は、韓国のOhanにあるLG工場で製造されたセルを利用した車両で起こっており、欠陥のあるバッテリーセルでは2つのまれな製造上の欠陥が同時に存在することが判っている。

◎◎◎ EVの動向 (Ford) ◎◎◎

入手困難になったモデルの価格高騰で米国で驚きの利益を上げた

◇ Fordは本日、利息と税金を差し引く前の調整後利益の通年予測を$9Bから$10Bに引き上げた。前回の予測から約$3.5Bの増加であり、昨年の予測の少なくとも3倍になる。
◇ 一方、売上台数は下がり、米国市場でのFordのシェアは前年の14.7%から6年ぶりの最低10.7%に急落。また、欧州、中国、南アメリカを含む他の主要な地域市場のほとんどで損失を出し続けている。

希望退職で米国の従業員1000人を削減

◇ EV化に向け、採用や離職などの人員配置の調整で、ビジネスの優先順位と必要なスキルと一致させる。
◇ 20年以上勤務のスタッフは6か月分の退職金と福利厚生、再雇用支援などインセンティブを受け取る。今回の米国での予想外の利益が原資になっているのか?

Teslaに追従し、F-150を(在庫販売ではなく)受注販売にする

◇ オンライン注文はFordに実際の需要をより明確に見させ、それによってその生産ラインのより鋭い管理の機会を提供する。
◇ 指数関数的に成長するTeslaとは異なり、FordはEVに費やしている$数Bの投資が確実な利益を生み出すことを証明しなければならない。したがって、Teslaと別な意味で、受注生産するという一見日常的な作業から固める管理能力が重要だ。

◎◎◎ EVの動向 (Stellantis) ◎◎◎

€30Bの新規投資を含む「包括的なEV化戦略」としてすべてのブランドのEV化計画を発表

◇ 2030年までに欧州の売上高の70%以上、米国の40%以上を低排出ガス車(LEV)にすることを目標とする。
◇ 500-800 km (300-500マイル)の範囲と、毎分32 km (20マイル)のクラス最高の高速充電機能を備え、高エネルギー密度バッテリと2024年までニッケルコバルトフリーの代替品、2026年に全固体電池技術を導入。
◇ 2022年初頭までに10年間の戦略計画をリリースする予定。

◎◎◎ EVの動向 (トヨタ) ◎◎◎

記録的な売上にもかかわらず、年間の利益予測を変えず株式市場を失望させた

◇ アナリストの利益予測平均が2.95兆円であったのに対して、トヨタは来年3月までの会計年度で2.5兆円との以前からの予測を維持した。
◇ 日産自動車と三菱自動車が四半期決算予想を上回り、先週の通年の利益見通しを引き上げたため、トヨタへの期待も高まっていた。

トヨタはこれまでクリーンカーを推進してきたが、現在はそれを遅らせようとしている

◇ ここ数ヶ月トヨタは、気候変動と戦うために重要であると支持者が指摘しているEVへの全面的な移行に反対する業界最強の声になった。
◇ トヨタの政治献金が精査されており、2020年の大統領選挙の結果に異議を唱えた共和党議員への今年の最大の企業寄付者はトヨタであったことがわかった。

◎◎◎ EVの動向 (ホンダ) ◎◎◎

EV化を安全に進める為に、独自戦略を捨てた

◇ 「私たちのビジネスを持続可能にするためには、提携を形成し、大量生産し、コストを削減することは意味がある」、「ホンダが単独で動きを推し進めることは非常に危険だ」 (三部CEO)
◇ 特に、EVで使用されるソフトウェアの開発に関しては、さまざまな業界の他の企業と協力する用意がある。

◎◎◎ EVの動向 (その他) ◎◎◎

NIOはバッテリー交換ステーションを他社にも開放すると発表

◇ NIOは昨年50万回のバッテリー交換を完了し、NIOは本日上海でのPower Dayで、「290万回を超えるスワップ」を完了したと発表。
◇ NIOは年末までに設置するバッテリー交換ステーションのターゲットを500箇所から700台以上に目標を引き上げた。
◇ 「2025年の終わりまでに、NIOは世界中に4,000を超えるNIOバッテリー交換ステーションを持ち、その内中国以外は約1,000箇所となる」

XPengがP5セダンのアグレッシブな価格を公表、Tesla Model 3より$14k安い

◇ 今年9月に生産を開始し、中国での出荷は10月に開始される予定。
◇ 6つの構成のうち500Pと600Pのみが、XPILOT 3.5ハードウェアの一部として2つのLiDARセンサーを備えている。
◇ P5のすべてのバージョンにXPILOT 2.5が標準であり、追加のソフトウェアサービスを購入し、より高度なレベルのXPILOT ADASにアップグレード可能。

Bentleyは2026年までにp-HEVまたはEVを提供し、2030年までにEVのみを提供する 

◇ VWがEVプラットフォームを標準化した後、Audi、Bentley、Lamborghini、Porscheなどの12のブランドの複数のモデルに適用し、Bentleyは2026年までにp-HEVやEVを提供。
◇ Bentleyの2021年前半の利益は、既に過去のどの年間利益をも超えている。

◎◎◎ EVの動向 (全般) ◎◎◎

自動車メーカーのEVへの投資は本気だ 

◇ 米国とヨーロッパの大手自動車メーカー5社はすべて、EVとデジタルイニシアチブに$数十Bの設備投資を行っている。

◇ 設備投資は、メーカーの数年にわたる未来の探求の集大成であり、それはあらゆる企業戦略から始まり、研究部門に流れ込み、容易には変更できない資本投資になる。

研究の結果、汚れた電力の為、EVと内燃機関の車の汚染は変わらないという神話は払拭された 

◇ 国際クリーン輸送評議会(ICCT: International Council on Clean Transportation)による新しい研究で、「燃焼機関の車とEVのライフサイクル温室効果ガス排出量の世界的な比較」で、EVはガソリン車よりも二酸化炭素排出量がはるかに少ないと明らかになった。
◇ 今日の米国でさえ、EVはガソリン車の生涯排出量の3分の1から半分しか排出していない。
◇ 今後、再生可能エネルギー比率が増える事で更に差が拡大する。

次に買う車は中国製EVかもしれない

◇ 既に12を超える中国の自動車メーカーが、プラグインモデルを欧州と米国に輸出しているか、あるいはまもなく輸出する予定だ。
◇ 中国SAICの支援で復活した英国のMGのEVは競争力ある価格で、英国、スカンジナビア、および大陸の他の地域でよく売れている。6月、MGは、2021年の最初の4か月で欧州での売上が79%増加したと発表した。
◇ 日本の自動車メーカーも米国で受け入れられるには数十年かかったが、車が経済的価値が高く安全であれば、人々は製造地にかかわらず買うだろう。

◎◎◎ EVバッテリー工場の動向 ◎◎◎

CATLは第一世代のNaイオンバッテリーと、AB Li-Naバックを発表

◇ CATLは「Tech Zone」オンラインローンチイベントで、第1世代のナトリウムイオン電池と、ナトリウムイオン電池とリチウムイオン電池の両方を1つのパックに統合するABソリューションを発表。
◇ ナトリウムイオンはリチウムイオンよりも大きく、材料の構造的安定性と動的特性の両方に対してより多くの利点をもつ。
◇ ABパックが両方のセルタイプの利点を活用でき、より強力なリチウムイオンセルがナトリウムイオンバッテリーのエネルギー密度不足を補い、同時にナトリウムイオン電池セルが低温で高電力と性能を維持するのに役立つ。

LG Chemはバッテリー事業を拡大するために$8.7Bを投資 

◇ 2025年までに10兆ウォン($8.7B)を費やし、電池材料事業やその他の事業分野の「持続可能な成長」を加速。
◇ LGのバッテリー材料事業への巨額の投資は、EVの需要急増への対応で、材料市場は、2021年の39兆ウォンから2026年には約100兆ウォンに成長すると予測。

SK InnovationはEV需要の拡大に合わせバッテリー事業を分社化

◇ 9月16日に株主の承認を求めた後、10月にSK Batteryを設立する計画。
◇ SK Innovationは、2025年までに$26Bを投資し、バッテリー容量を現在の約40GWhから2025年までに200GWhに引き上げる。更に2030年の終わりまでに500GWhの生産を目指している。
◇ SK Innovationのバッテリー事業はまだ赤字だが、既にEV電池の注文書が1000GWhで約130兆ウォンに上ると述べ、来年初の年間営業利益黒字化を目指しており、売上高は6兆ウォン以上と爆発的な成長を見込んでいる。

日産とAESCは$460Mで日本にバッテリー工場を建設

◇ 日産は、EVの需要が追加投資を正当化すると確信し、数ヶ月以内に第2のバッテリー工場を建設する計画を発表。年間生産能力は2023年6GWh、約5年後に18GWhに生産能力を上げる予定。
◇ 日産が20%を所有するEnvision AESCは、先月英国に£1B($1.4B)のEV製造ハブを建設する計画を発表。
◇ Envisionグループはまた、Renaultが製造するEV用バッテリーの為に、フランス北部の工場に最大€2B($2.4B)を費やす計画を発表している。

QuantumScapeの第2四半期の報告書で、個体電池の10層化と商用化時期が明らかになった

◇ 今回初期の容量保持とサイクリング動作を単層および4層セルで示したことで、10層セルを作成できることが示され、予定より進んでいることが判明した。
◇ 2022年にプロトタイプサンプル、2023年にはEV用のテストセルを開発する予定。

 ◎◎◎ EVバッテリー資源確保の動向 ◎◎◎

HyundaiとLGは共同で(ニッケル資源の豊富な)インドネシアのバッテリー工場に$1.1B投資

◇ Hyundaiグループは、Hyundai、Kia、Genesis、および今後のEVのIoniqラインなどのブランドを傘下に持っており、多くの車が専用のElectric-Global Modular Platform(E-GMP)に移行し、リチウムイオンバッテリーセルの安定供給を確保することを目指している。
◇ バッテリー工場は2023年前半に完成し、1年後に量産開始でHyundaiは10GWh相当のバッテリーセルの年間容量を予測している。

Teslaはバッテリー製造の為、世界最大のニッケル鉱業企業BHPと資源確保の契約を締結

◇ 2030年までに、EVニッケル需要はニッケルの需要は、主に世界のEVの需要の高まりにより、今後10年間で500%以上増加すると推定され、EV向けにはニッケル供給量は全体の5%から59%に跳ね上がると予想されている。
◇ BHPは、世界で最も持続可能で二酸化炭素排出が少ないニッケル生産者の1つである西オーストラリアのニッケル資産からTeslaにニッケルを供給する。
◇ 供給契約に加えて、BHPとTeslaは、ブロックチェーンを使用した原材料のトレーサビリティ、電池原料生産のための技術交流、資源セクターにおける持続可能性の促進、パートナーの選定などに重点を置き、バッテリーサプライチェーンをより持続可能にする方法について協力する。

Teslaのノースカロライナのプロジェクト遅延により、Teslaのリチュウムサプライは遅れている

◇ Teslaは、新しいサプライヤーからのノースカロライナ州の採掘プロジェクトが予定より遅れているため、来年のリチウム供給が遅れると見ている。
◇ Teslaは来年末までに100GWhの新しい年間バッテリーセル生産を確保することを目指していると語っている。

リチウムのトップ生産者は人件費と供給コストの上昇がリチウム採掘の拡大、さらには供給拡大を遅らせる可能性があると見ている

◇ パンデミック前と比較して2倍以上の料金を支払い労働者を留めておく必要があり、更に輸送費も世界的に30%から40%上昇している。
◇ リチウム需要は2030年までに今年のレベルの5倍になると予想している。

◎◎◎ 充電インフラの動向 ◎◎◎

米国でTeslaがスーパーチャージャーネットワークを他社にも開放すれば、$7.5Bの政府EV資金を利用可能となる

◇ Elon Muskは、他社に対して優位性のある自社の広大なスーパーチャージャーネットワークを「今年後半」他のEVに開放するとツイート。
◇ 現在、立法過程の最終段階を通過しつつある法案によると、「1社以上の自動車メーカー」に門戸を開くことが充電ステーション資金を利用できる要件になっている。
◇ 北米でTeslaは独自コネクタを使用しているため、Tesla車以外ではアダプタが必要になり、利用可能性は他の自動車メーカー次第となる。
◇ 充電ステーションでのサービスが良ければ、TeslaはChevy BoltやVW ID4のユーザを獲得できる可能性もある。
◇ Musk氏は「スーパーチャージャーでの最大の制約は時間である」ため、EVがTeslaよりも遅いレートで充電される場合、Teslaは価格を引き上げるダイナミックプライシングを選ぶかもしれないと言った。
◇ スーパーチャージャーネットワーク自体がEV購入者獲得の最終的なマーケティングツールになる可能性がある。

VW CEOがイタリア旅行の後にEVチャージべンチャーを一喝

◇ Diess CEOはID.3で夏休暇のドライブした際のIonityの充電ポイントの状況を「トイレもコーヒーも無く、充電ポイントはサービス停止中あるいは故障中で惨憺たる状況だった」とソーシャルメディアで叱った。充電インフラが依然として弱いというドイツの自動車メーカーの見解を反映している。
◇ 現在各社は充電ポイントの不足や不備により、充電に長蛇の列が出来た場合、潜在的な購入者が購入を先送りにする可能性があるとを恐れている。

GAC Aionは8分で充電できる技術を公開

◇ 新開発のグラフェンバッテリーにより、GAC Aionの次期Aion V EVは、バッテリーを劣化させることなく、超高速で充電し1000Km走れると言う。
◇ 今年9月にAion Vで2つのバージョンでデビューすると繰り返した。グラフェンバッテリーは次世代の技術であり、9月に再チェックする。

◎◎◎ 車用半導体の不足 ◎◎◎

主要電子部品のサプライヤーは、半導体不足の問題が終息する気配は無く、自動車業界の急速なEV化で終息は更に遠のいている可能性があると考えている

◇ 自動車販売店の在庫は減少し、自動車メーカーはCovid後の需要増を売上に結び付けられていない。自動車メーカーは今年少なくとも$110Bの損失を被る可能性がある。
◇ 半導体不足はEVへの移行を遅らせる恐れがある。EVを制御するバッテリー、電気モーター、およびシステムは、半導体をベースにしている。新しいエンターテインメント、安全性、および運転支援機能も半導体に依存している。

◎◎◎ 自動運転の動向 ◎◎◎

年末までにLyftの顧客は、マイアミとオースティンで、FordとVWが支援するAVスタートアップであるArgoAIベースのロボタクシーを呼ぶことができるようになる

◇ フリートの規模は来年までに両都市合計で「100台未満」で、今後5年間で、複数の市場に1,000台の自動運転車を導入するための「基礎を築く」。
◇ 運転席と助手席に2人の安全ドライバーが引き続き乗る。

Intel/Mobileyeはニューヨーク市でロボタクシーのテストを開始

◇ Mobileyeは、ニューヨークのテストの許可を受け取った。このテストでは、車に人間の安全ドライバーが乗車する。
◇ Mobileyeは、先進運転支援ビジョンシステムの世界市場の約80%を占めており、今後レーダーやLIDARを含む、自動運転センサーの完全なセンサー群を追加して、カメラベースの自動車技術における優位性を拡大しようとしている。

SAICの副社長兼チーフエンジニアであるZu Sijie氏が、今年の世界人工知能会議中に2021年末までに上海と蘇州でレベル4の自動運転が可能な40〜60台のロボタクシーを市場投入すると発言

◇ 中国のフォーラムShineによると、SAIC Motorは2025年にロボタクシーの量産を開始する予定。
◇ しかし、これまでのところ、SAICはL4自動運転技術に関する設計計画や画像などを共有していない。12月にもう一度進捗を確認する。

以上

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