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弓道経験者が団体に加入せず10年ぶりに弓道を再開した話

私は学生時代弓道部だったのだが、卒業以来弓道とは疎遠になってしまった。再開したいと思ったタイミングは何度かあったものの、どこでできるのか、団体に入らなければならないのか、道具はどこまで準備すべきか…といった疑問の数々を解消するのが面倒で放置してしまっていた。そんな私が今年から突然弓道を再開し、初日に行射したエピソードを紹介したい。


弓道を再開した理由

生涯楽しめる趣味が欲しかった

「趣味は何ですか?」と聞かれてはっきりと答えられる人はどのくらいいるのだろう。私自身映画は好きなのだが、映画鑑賞を趣味といえるほどの数を観ているわけではない。読書も好きだがジャンルに偏りがある。20~30代の女性がはまるようなヨガやピラティス、御朱印巡りは興味がないし、ボルダリングや山登りもハードルがある。ただ、「これが趣味です!」と堂々といえるものが欲しいな、できればハードルが低く、おばあちゃんになっても続けられるものが良いな…と思い続け、たどり着いたのが学生時代に経験していた弓道だった。

海外赴任が決まり、武道への関心が高まった

弓道に対してはぼんやり再開意欲はあったのだが、重い腰を上げるきっかけとなったのは海外赴任だった。赴任先に友達はいない。時間を持て余してしまいそうなのが懸念。それを解決する手段として選んだのが弓道だ。加えて、現地の企業と交流する際のつかみとしてもばっちり。幸い現地にも弓道場はあると知り、渡航までの数か月で腕慣らしのために近所の弓道場に駆け込んだ。

弓道具の準備

メルカリで一式を購入

まずは弓道具一式をメルカリで購入した。買ったものはこちら。

  • 弓道着(上衣・袴)

  • 足袋

  • カケ

  • 胸当て

  • ゴム弓 

正規で購入すると3万円以上かかるが、メルカリで全てセットで1万円で購入。ありがたや…。

買い忘れたもの

  • 下掛け
    すっかり忘れており弓道再開初日に気づいたが、道場の方が貸してくれた。Amazonですぐに購入。

買ったけど使っていないもの

  • 弦、弦巻き
    事前調査で弓は道場から借りられるという情報を入手していたのだが、弦も含まれるのかどうか分からず弓具店で購入。結果的に弦込みで道場から借りられる。メンテナンスは道場の弓道連盟の方がされているそう。ありがたや…(2度目)

これから購入したいもの

  • 矢・矢筒

  • 弓・弓袋
    再開した直後は筋力的に軽い弓しかひけない。いろんなところに矢が飛ぶのでジュラ矢で十分。学生時代に使っていた重さの弓とカーボン矢はもう少し慣れてから購入したい。

  • 弓道教本
    再開して気づいたが、弓道の専門用語と細かい所作を全て忘れてしまっている。射法八節は学生時代の動きが身についており自然に思い出せたものの、弓のパーツ名や自分が苦手とする動きの説明ができないので苦労した。YouTubeでも情報は手に入れられるが、弓道の神髄を学ぶのならあの黄色い本が一番だと思う。会の伸びとか気の流れとか、武道としての弓道を思い出させてくれる。

弓道場へ突撃するまでの流れ

(1)事前調査

まずはネットで在住都道府県+弓道場で検索。意外と近所に道場があることを知る。弓具を貸出している道場が多くて安心した。連盟やクラブに加入しなければ弓道場の利用ができないのでは、と懸念していたが杞憂だった。各道場個人利用開放日なるものがあり、団体に所属していなくても単独で弓道場を利用できるのだ。ただ、弓道経験のない人は講習を受ける必要があったり、団体に加入するにしても初心者は受け付けていないものが多かったりとハードルが高そう。
ちなみに経験者であることを証明するものが必要かと思っていたが、私の通う道場では必要なかった。おそらく実際に弓を引かせてみれば経験者かどうかはすぐにばれる。

(2)近所の弓道場へ突撃

事前調査を経て一番近い道場に道着一式をもって突撃。ただ、当時の私は個人開放日を認識しておらず突撃初日に弓道場に入ることはできずとんぼ返りとなった。その日に受付の方に話をきき、個人開放日は曜日固定・時間限定で設定されていること、道場の使い方はそのときに教えてもらえること、弓具の無料レンタルができること、白靴下が必須であることを教えてもらった。

日を改めて道場へ再突撃。最初は緊張したが、道場の方に10年のブランクがあることや道場を利用するのは初めてなことを伝えるといろいろレクチャーしてくれた。団体非加入のため正直何も期待していなかったが、なんと当日指導員の方もつけてくれた。ありがたや…(3度目)。
ちなみに個人開放日は週1回のため、もっと高頻度で通いたい場合は連盟に加入せよとのことだった。当時は初心者の加入は認められていなかったが、経験者だと伝えれば加入を認めてくれた(しかし海外赴任まで日が間近のため、結局加入はしなかった)。
また、私が突撃したのは連盟のサイトに「事前に電話しても良いし直接来ても良い」と書いてあったからだ。ただ、そう書いてあっても突撃した日は割と驚かれてしまったので、事前連絡がベターだと思う。

(3)道場のルールを知る

道場ごとにルールがあるのだと思う。知らず知らずのうちに数々のルール違反をしてしまっていたが、初心者ということで優しく免除してくれた。ちなみに私が当日違反したルールは以下。

  • ストッキングで道場に入る(白靴下は道場に入る前から着衣すべし)

  • コートや荷物を持ったまま挨拶(コートと荷物は置いて、元気よく挨拶すべし)

  • 髪を結ばず素引き(最初から最後まで結ぶべし)

有段者なのにこんなことも知らないの?と驚かれることも多かったが、10年前のことなので許してくれ…

また、ルールではないものの、袴の着方と弓掛のむすび方が特に記憶からすっかり抜け落ちてしまっていたため、隣の人に何度か教えてもらった。

再開初日にやったこと

再開初日はせいぜいゴム弓で肩慣らし程度だろうと思っていたが、結果立ちまで入ることができた。全然中らなかったが。

①ゴム弓

まずはゴム弓。私の道場はなぜかゴム弓をする人がおらず道場のどのスペースでやっていいのか迷子になった。(ゴム弓って学生特有なのだろうか…)

②素引き

ゴム弓で温まってきたところで弓を持ち素引きをした。重さは6㎏。現役時代は12㎏前後だったと思うが、体力の落ちた今6㎏でさえ全く引けなかった。

③巻き藁

素引きである程度弓の使い方を思い出しつつ、巻き藁へ。弓を使った巻き藁との距離感の測り方、懐かしい。抜けが大変悪かったが、まあこんなもんだろう。巻き藁矢もレンタル可。指導員から「もう立ち入っちゃえば?」とアドバイスを受けて行射へ…

④行射

なんと初日から!矢も自分の腕の長さにあったものを選んでもらった。肝心の結果はというと…まったく的中しない。というか矢が飛ばない。現役時代の感覚で的を狙うと手前で矢が落ちてしまうのは弓の重さの差から当然なのだが、とにかく安土にも届かない。藤きわきわで的を狙い、ようやく安土に届いた。

弓道を趣味に

弓道再開から数週間経ったが、週1のペースで通っている。的に中ったのは3回目の練習で、6㎏の弓から7㎏の弓に変えた日だった。これからどんどん筋力も付いてくるだろうし、的中率が上がるのが楽しみ。学生の頃のように毎日弓道ができるわけではないが、生涯スポーツとして細く長く続けていきたい。この記事が弓道経験者の再開のきっかけになりますように。