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熱せん妄

毎朝、毎昼、毎晩

石川県の地震の被害が報道される度に亡くなられた方の数が増えていくのが言葉にならない。

まだ息がある家族を残して津波から逃げなければならなかった方の言葉が頭に耳に残ります。

数日前の深夜2時。
娘が突然、寒気を訴えてガタガタ震え出した。
その直後40度を超える発熱。
そして長く続く熱せん妄。

意識はある。私や夫や自分の事もわかっていた。

でも急に笑い出したりわけのわからない事を言って悲鳴をあげて泣き出し体を反らせて暴れた。

すぐに治ると思ったけど治らない。

長時間の熱せん妄は経験が無い。
髄膜炎や脳に後遺症が残らないか不安になった。

私が娘に声をかけ続けて抱っこをしていたから夫に電話をかけさせた。
♯8000に何度かけても繋がらない。
24時間電話対応の小児科に電話したら
「インフルエンザだろうから解熱剤を使って」と言われたという夫。

違う!
インフルエンザじゃない!!
だって娘は12月中旬くらいから副鼻腔炎のような症状が出てた。
かかりつけ医もそういって抗生剤を出していたし冬休みに入る前から熱が上がったり下がったりしていたから幼稚園も休んで小児科以外は外出もしていない。

私も夫も元気だし有り得ない!!
診察もしていないのにインフルエンザと決めつける医師なんか信じられない!!と私はブチキレた。
(すみません。)

毎日24時間。
娘と5年間を共にした母の勘。
それだけです。

深夜3時救急外来を受診。

1時間以上続いた熱せん妄。
私達親は処置室の外に出された。

娘の泣き叫ぶ声だけが聞こえてくる。
キャー
ギャー
かーちゃーん!
かーちゃーん!

その声で私は涙が止まらない。

娘の手の血管が細く針が入らないから両手に4箇所の針の痕。

看護師さんが出てきて
「血管が細くて…でも◯ちゃん頑張ってくれました。点滴が出来たらかーちゃんととーちゃんを呼んできてと言われたので呼びにきました。」

「抱っこしてあげてください」

娘は私の顔を見るなり涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら両手を伸ばして抱っこポーズ。

熱せん妄の症状が出ていた時、早く家から逃げたい!!と言い出した。

私もぐしゃぐしゃな顔で抱きしめた。

採血の結果は炎症反応が高いものの
入院とはならず副鼻腔炎を治療する為の新たな抗生剤と解熱剤の処方で自宅に帰った。

熱が下がり落ちついた後、娘が何を見たか話しだした。


青いシャボン玉を吹く女
オレンジ色の無数の足跡
落ちそうな穴が部屋中にある
壁がガタガタと崩れだし家が壊れかけている

まるで地震を見たかのような娘の話に私も恐くなった。

しかし、その数日後この家も揺れる事に。

娘を抱きしめて揺れがおさまるのを待った。

夫はまだ病み上がりの娘と数週間の看病疲れの私を放って友人と遊びに行っていた。

正直、怒り狂っていた私だけど

家族が無事でいた事に感謝を忘れてはいけない日になった。

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