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難解な『箱男』に8人で挑んだ回

2024年4月28日、安部公房の『箱男』を課題本とした読書会を開催しました。参加者は8名。初参加の方は2名でした。

やっぱり読書会って良いなあ〜と、しみじみと思った回でした。

読書会とはなんぞや?という方に説明しますと、読書会とは「本が好きな方々が集まっておしゃべりをする会」のことです。

読書会には主に2種類の形式がありまして、事前にみんなで同じ本を読んできておいて感想や意見を共有する「課題本読書会」と、おすすめの本を持ち寄って紹介する「紹介型読書会」があります。紹介型のほうは彩ふ読書会では「推し本披露会」という名称で行っています。

今回書くのは課題本読書会のほうです。

参加者の全員が『箱男』を読んできていますので、当日はあらすじなどの説明は必要なく、最初から作品についてお話することが出来ます。「どこどこのシーンが〜」という話をしても、この場においては通じるわけです。全員既に読んできている前提ですので、ネタバレを気にする必要もありません。

こちらの記事も参考にしてみてください。

通常の回であれば、上の記事に書いたようなことで大体いけるんですが、今回の『箱男』はなかなか難解でした。事実として書かれている内容が「あ〜こういうことね」と思った矢先にクルッと反転するような感じだったからです。起承転結の型どおりに進むことはなく、伏線っぽいところが回収されたかどうかも分からないという事態に陥りました。読み方を間違っていたのではないかと思いながら、何とか読み終えました。解説まで読んだけど、何が分かって何が分かってないのか、この作品は面白いのか面白くないのか、一部を読めば面白いシーンもあったりするけど、全体としては結局何だったのか。考えれば考えるほど難解で、多分課題本でなければ挫折していた気がします。読み終わりはしたけど当日何喋ろ〜とも悩みました。

しかしながら、読書会当日がとてもとても待ち遠しい回でもありました。

みんなはどう読んだんだろう?(というか、読み切れたのか?!)

皆さんの意見を聞くことが一際楽しみでなりませんでした。

さて、当日。

私を含む参加者は8名。安部公房の作品がお好きな方もおられれば、初めて読んだ方、他の作品をいくつか読んでたけど『箱男』は初めて読んだ方、安部公房の作品には挫折経験があるけど課題本ということで挑まれた方、様々な方がおられました。職業もばらばらですし、読書量などもばらばらです。

誰の読み方が正しいとか、誰の意見が間違っているということはありません。ということを、読書会を始める前には毎回お伝えしています。

当日は様々な意見がありましたが、一人ではスルーしていたところに着目されている方もおられたり、あの意見からこの意見から出たりと非常に有意義な時間を過ごせました。

課題本読書会のレポートは、出た意見を箇条書きにしてもなかなか面白さは伝わりません。読書会中の意見のキャッチボールが面白いんですよね。こういう流れがあってこういう話に発展した、みたいなライブ感を文章で説明したところで、実際その場にいなければ残念ながら分からないかと思います。ぜひ、ご自身で体験していただけたら幸いです。

読書会が面白いものになるかは、どういった方が集まるかによるところも大きいなと感じます。

まず全員が「読書会を楽しもう」という姿勢であること。自分以外の人の意見も聞こうという姿勢でいること。この二つは大前提です。

「オレの持論でお前ら全員論破してやるぜ!」という方が一人でもおられたら、それだけで読書会は破綻します(あまりにもひどいときは止めますけどね)

あとは参加経験のバランス。顔なじみの方ばかりだと相手の意見が予測できてしまうので新たな発見は少なく、適度な緊張もありません。初参加の方ばかりだと、進行役が怒涛のように喋って振って何とか繋いでとしなければなりません。読書会参加経験のある方と初参加の方、双方が揃ってこそ、誰にとっても面白い回になるのかなと思います。

彩ふ読書会の場合は複数のグループに分かれることが多いので、分けれるときにはこのバランスを考えてグループ分けをしています。今回は一グループでの実施でしたが、この参加経験も非常にバランスが良かったです。

年齢や性別、職業がバラバラだったのも良かったと思います。

そして何より課題本の難解さ。といっても読めないほどではなく、ちょうど良い難しさ。かつ、読んでおきたいなと思いつつ読めてない作品。上にも書きましたが、この課題本のおかげで、安部公房の作品がお好きな方や今回初読みだった方、他の作品は読んでたけど『箱男』は初めての方、安部公房の作品に挫折経験があった方、様々な方が集まることが出来、8人で挑むような姿勢で読書会を行うことが出来ました。

難しすぎる本だと、そもそも参加者が集まりません。固定メンバーでやっていれば逆にメンバー間で相談して挑むことが出来ると思いますので、ここらへんは彩ふ読書会の弱みですね。私自身は難しい作品にも触れていきたい気持ちはありますが、「彩ふ読書会の課題本になったから読む」という方が増えていかなければ、現実的ではないかなと思います。まだまだ彩ふ読書会自体が成長していく必要がありますね。

最近はアンケートで課題本を決めているので、私自身も読んだことのない本が選ばれることが増えています。今回の『箱男』も確かどなたかがアンケートの自由欄に書き込ん出くださっていた本です(うろ覚え)たまたまですが、今年は安部公房生誕100年にあたり、しかも映画も公開されるということで、ちょうど良いタイミングでした。

ちなみに映画のほうも渋い俳優陣が揃っていて面白そうです。

以上です。

来月は久しぶりに東京でも開催します。やっぱり一ヶ月に一回じゃ足りないぜ……。

来月も楽しみです!





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