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散文【ヤシの実のように】

半袖では肌寒くなり始めた秋の夕暮れ、僕は茜色に染まった海岸にいた。気が滅入るといつもここへ来る。砂浜の流木に腰掛け水平線を眺めていた。ふと目を落とすと、流れ着いたばかりのヤシの実が砂の上に転がっている。僕はヤシの実が辿った長い旅路に思いを馳せた。あてのない旅に出たくなった。

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