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スタジオリネン旗揚げ公演千秋楽見に行ったよ


おはようございます。堂ノ本です。
今日は、先日観劇した舞台公演の話を少しだけしようと思います。
備忘録程度になりますが、、、

スタジオリネンという大阪芸術大学の学生10数名が立ち上げた劇団があるのですが、その旗揚げ公演『LINE 線についての短編集』という舞台の千秋楽が、大阪シアターOMさんで行われました。

毎週遅くまで残って練習したり、色んな人を巻き込んで、準備に奔走していたのを、陰ながら見ていたので、非常に楽しみにしておりましたが、やはり、青春キラキラの最高の舞台だったので、ここに記録しようと思います。

彼らのこと、是非応援してください。

スタジオリネン公式Twitterより

スタジオリネンに注目セヨ

この団体?劇団?なかなか代名詞が難しいのですが、舞台公演の冒頭で「まずは演劇をやることにしました」と、代表の三代くんが話していたので、きっと劇団という代名詞は、意図とは異なるのでしょう。

とにかく現在大阪芸大の3年生を中心に結成されたこの団体は、分野横断的に、演劇や映画、アニメーション、音楽、色々なものを複合させて表現するクールな集団です。

何を隠そう、私はこの団体の副顧問的立ち位置として、勝手に見守っておりました。毎週水曜、木曜と、他の学生や先生が帰ってもせっせと準備に励む彼らを見て、少しでも長く活動できるように、研究室に残っていました。中心的に活動を見守っていたのは、金田敬監督と、同僚の重田くんですが、私も彼らの活動を見て、何度か付き添わせていただきました。

てことで、勝手に副顧問でございます。

私はこの代表の三代くんとの出会いは、彼が一年生の頃です。ちょうど卒業制作のDVDが発売される時期で、お世話になった方に献上しに大学へ参った時、出会いました。その後に控えていた京都国際学生映画祭でご一緒することが決まっていたので、こちらから挨拶させてもらって、連絡先を交換しました。

その映画祭では、私は特に何もなかったのですが(泣)。三代くんは、何かの賞をもらっていました。おー、よかったよかった、と思いながら、彼の受賞のスピーチを聞いていたのですが、これがなんとも素晴らしいもので、彼への好感度がうなぎ上りでした。

彼は父を亡くしており、その父の影を追うように映画を作ったと話し、それはそれは美しい涙を流しながら、感謝の言葉を発していました。私は、「あぁ、この人は映画を作らなきゃ生きられなかった人なんだ」と感じたのを覚えています。私はそういう生き方の人間が好きです。

そして、時を経て、私が研究室勤務を始めて束の間、このスタジオリネンの相談にやってきました。みるみるうちに、仲間が集い、ホンが出来上がり、我々の協力など必要もないままに、舞台公演の準備を始めていきました。

映画はやらないの?と少し寂しく思うことをもありましたが、きっと今の彼は、舞台をやらなきゃ生きていけなかったのでしょう。

舞台公演についての感想

一つ一つの演目を振り返って書くと、その場で舞台を観劇したものだけの特権が損なわれてしまうので、抜粋とします。どの演目も創意があって、楽しみました。ただ、強いてあげるのであれば、プロジェクターへの投影やスピーカーからの説明、舞台奥・脇での演出など、よくいえば創意工夫、悪くいえば全部乗せ、という舞台の方針の影響から、「壇上への意識」が散漫な印象がありました。是非次回は、どっぷり壇上に集中できる演目があってもいいと思いました。というか、ある程度長尺の演目を見てみたいです。

世界線エレベーター

いやぁ、驚きました。”ボンバー”と勝手に愛称をつけて呼んでいた矢田くんが、あれほど芝居のできる男だとは思っていませんでした。外見的特徴をうまく捉えたギャグも光り、かなり熱を込めて稽古したんだろうな、と伺える演目でした。私は、矢田くんの一挙手一投足、並びに、毛根の一本一本を凝視してしまいました。そうです、虜になったのです。魅力的な俳優だと思います。

境界線

この後に演じられた「傀儡」「見えない犬」と言ったように、この公演の劇作家は、ブッラキーなセンスが好きなんでしょう。謎めいた、というよりは、やや恐怖が混じるような、それでいて、ユーモアを含んだ設定で、「壇上と客席」という本来繋がらない前提で進む意識を、ここでザクっと切り離しました。「舞台を見に来た女の子が、無理やり舞台上に出される」という設定で出た道嶋さんと山本さんは、なかなかに堂々とした芝居でした。驚いたのは、山本さんのスマホをいじり始めた時の表情。まじで電車にいるよねという気だるい感じで、動と静のメリハリがよかったです。

戦線

これは、ほとんどアニメーションの独壇場でした。鉛筆で描かれたアニメーション映像が、これだけで就職できちゃうじゃんってくらい気合の入ったもので、数秒とかではなく、数分という尺に耐えうるバリエーションや演出が施されていて、楽しかったです。これを舞台公演で書かせた三代くんは、なかなかの鬼畜だと思います。山本さん、お見事。

傀儡

いやぁ、面白い発想だと思いました。人形を操る傀儡師に着目するのではなく、言うなれば傀儡喫茶的な、「傀儡師込みで、人形と話すためにお金を払って男がやってくるお店」という設定は、一体どこから着想を得たのでしょうか。嫉妬ものです。私は、この演目の矢田くんが一番好みで、気持ち悪いのも、汚いのも、馬鹿なのも、全部できるのか、と感心したものです。できないのは、二枚目設定だけです(笑)それから、この傀儡師も、顔を隠して演じる難しい芝居だと思いますが、女性ならではの声色を駆使した可愛らしい芝居をされていて、よかったです。顔を見せずに姉妹の設定を演じるというのは、なかなか難しかったと思います。お見事。

公演後

無事に全演目が終了し、最後にスタジオリネンソングに酔いしれながら、幕引き。千秋楽を迎えた彼らは、どこか誇らしい顔と、寂しげな顔と、これまでの大変だった日々、楽しかった日々を思い返し、それはそれは複雑な顔面を纏いながら、「ありがとうございました!」と頭を下げていました。

シアターOM関係者らしき人からは、「またやってね〜!」と聞こえるなど、温かい空気に包まれていました。私は、学生時代ならではの不可侵の青春に、憧れと後悔を抱きながら、会場を出ました。公演後は、再三宣伝のあったサウンドトラックと公式ガイドブックを購入。「明日も大学ちゃんとくるよね?」と確認してから、足早に劇場を去りました。

金田監督と同僚の重田さん、それから観劇していた他の同僚と先生と合流し、台湾居酒屋へ。

せっかくなら、今年も舞台をやるのなら、それをドキュメントしたり、記録したり、それこそ劇シネにしてしまえばいいのに、そうすれば、金田さんはじめ、我々ももっと関われるのに。なんて、我々目線の与太話をしながら、ビールで乾杯。

誰それの芝居が良かった。どの演目がお気に入りだ。逆に、こういうのがみてみたい、こうしたほうがいい、ああでもないこうでもないと、この公演のことを大いに語り、新学期に向けた憂鬱な話題も語り、早めに解散。

彼らはまだ、小さな一歩を踏んだに過ぎない、ほんの取るに足らない存在に違いないでしょう。けれど、見たものの口から、何かを語られる、それだけで世界に風穴を開けたのではないでしょうか。

それは、このnoteを書いている私に対しても同じで、少なくとも、スタジオリネンは、この舞台によって、私と舞台をつなげ、私と社会をつなげ、世界に風穴を開けたのです。

小さな穴、されど。

一層の挑戦を期待して、次回公演のいち早くの情報を待っています。


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