Isao

気候変動のことをやっています。 ポストヒューマニズム、微生物、脱植民地主義、思想、ケア…

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気候変動のことをやっています。 ポストヒューマニズム、微生物、脱植民地主義、思想、ケアを掘り下げています。 アクティビズムと大学での学びを発信していきます。

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  • インド・チベット仏教留学

  • 私のエコロジー思想の発酵プロセス

    「気候変動」という課題を解決したいという思いから自然との関係性、自分自身の脱構築、ポストヒューマニズムへと思想が移っています。その流れを自分のためにも記録していきます。

最近の記事

Isaoから見えたチベット仏教|インド・チベット仏教留学(3)

北インド・ダラムサラへの4ヶ月間の留学について振り返り記事をこの頃書いていますが、書き出してみると想像以上に書きたいこと・補足したいことが溢れてきて、自分は色々と学んでいたんだなと感じます。 インドにいた時には現実が日常になってしまって、特に何かを学んでいるような感覚にならなかったけど、振り返ることは大事なのだなと改めて思います。 今回の記事はチベット仏教について、僕の視点から学んだことについて書いていきたいと思います。 チベット仏教哲学を学ぶ インドにいる間に受けて

    • 二項対立を超えた論理を学ぶためにインドへ。|インド・チベット仏教留学(2)

      思いついて書いてすぐに載せた1つ目のNoteが想像以上に多くの人に読んでもらえたので、次の記事を書くモチベーションも爆発しました。読んでくれた方ありがとうございます。 そもそもなぜ北インドにチベット仏教を学ぶために留学したのか?ということを書きたいと思います。 環境危機に必要な哲学を求めて仏教思想へ 簡潔に書くと、自分が今まで深めてきた環境危機を思想・哲学的なアプローチから解決することを考えていた先に、仏教哲学に関心を持ったことがとても大きなきっかけでした。 あちらこ

      • チベット仏教を学びにインド留学してきた。

        気づいたらインド留学を終えてから4ヶ月も経ってしまいました。 時間が経つとともにだんだんと過ごしていた時間が消化されて、今アメリカの寮の部屋で振り返ると、本当にあの時間は本当だったんだろうかということが不思議に思える。 今後の自分自身のためにも、今まで説明をしていなかった知り合いの人々に向けても、なぜインドに留学したのか、どんな時間を過ごしたのか、何がTakeawayだったのかをある程度まとめておきたいと思います。かなり散文的になりますが、ご容赦ください。 目標はいくつか

        • 微生物、アニミズム、脱植民地化、気候変動フィクション:発酵休学の振り返り

          この8ヶ月、本当に発酵した日々を過ごすことができました。 どんどん微生物やアニミズム、脱植民地化に対する探求を深めながら、アウトプットをし続ける中で沢山の発見をしました。 今日から大学に復学し、学びを再開する前に、この休学期間の自分自身の振り返りをしたいと思います。 予想外の学び・微生物とアニミズムを深掘りたくて休学 去年の春学期、ずっと楽しみにしていたインドでのチベット・スタディの留学がコロナの影響で中止になりました。アメリカの大学も通い始めてちょうど2年が経ち、折り返

        Isaoから見えたチベット仏教|インド・チベット仏教留学(3)

        • 二項対立を超えた論理を学ぶためにインドへ。|インド・チベット仏教留学(2)

        • チベット仏教を学びにインド留学してきた。

        • 微生物、アニミズム、脱植民地化、気候変動フィクション:発酵休学の振り返り

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        • インド・チベット仏教留学
          3本
        • 私のエコロジー思想の発酵プロセス
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        記事

          都市空間とヒップホップの出現

          そろそろアメリカに戻る時期が近づいてきて、大学で書いたエッセイなどを振り返っていました。その中でふと目に止まったのが、去年に『ヒップホップの文化と宗教』という宗教学の授業で書いた、「ヒップホップと都市空間」についてのエッセイです。 この授業は、アフリカ系アメリカ人で自身もヒップホップのアーティストである大学のJames Logan教授のもと、ヒップホップという音楽・グラフィティ・ブレイクダンスを含む総合芸術の文化が、どのような歴史的・社会的な背景のもとで生まれ、人々にとってど

          都市空間とヒップホップの出現

          「社会課題に取り組む人へ。気候変動アクティビストのメンタルヘルスとの向き合い方」

          社会課題とか環境問題に取り組んでいる中で、「もう何もやる気力が湧かない」とか「頭ではもっと動きたいと思っているのに、体が受け付けない」みたいな燃え尽きた状態を経験されたことはあるでしょうか。 今まで3年間くらい気候変動運動に関わってくる中で、僕も何度もメンタルの危機に直面したし、バーンアウト(燃え尽き症候群)を何度も経験しました。 今回の記事では、3年間くらい気候危機に対する活動をしてきた僕が経験してきたバーンアウトやメンタルヘルスに関する学びを共有したいと思います。

          「社会課題に取り組む人へ。気候変動アクティビストのメンタルヘルスとの向き合い方」

          古武術とセオリーオブチェンジ

          今日、親のつながりで古武術を教えられている林久仁則さんの教室にお邪魔してレッスンを受け、その後お弟子さんの井平さんからも体の使い方を教えてもらった。武術というものを生まれてからほとんど経験したことがなかった自分としては、古武術的な体の使い方がどんなものなんだろうかということを一切知らずに行ったが、予想もしていない面白い発見が多くあった。 結果学んだことは、「自分の力を抜き相手の力を受け入れることにより、相手と一体になり自由に動くことが出来る」ということだった。どうしても字面

          古武術とセオリーオブチェンジ

          地政学的に気候変動を考えると何が見えるのか?

          ちょっと気になったテーマがあったので、調べてメモ的にまとめてみました。 それは「気候変動の地政学」です。 気候変動の問題について発信していたり、海外のアクティビストたちと話していると、「これだけ危機が大きいのだから、世界の国々は国益を超えて一致団結し気温上昇を抑えるために協力するはずだ」という視点に無意識になっていることが多いと最近気づきました。 自分自身、世界中の人々による協力のもとに気温上昇を抑えるというビジョンに変わりはありません。ただ、世界中の国々が一致団結するはずだ

          地政学的に気候変動を考えると何が見えるのか?

          脱植民地主義を考える。カリブ哲学協会サマースクール体験記

          6月25日から1週間、テネシー州メンフィスで行われたCaribbean Philosophical Association(カリブ哲学協会)のサマースクールに参加してきました!今度はなぜカリブ哲学??と思うかもしれませんが、裏テーマとしてはDecolonization(脱植民地主義を実現する哲学)を考えるということであり、主にラテン系やアフリカ系の支配された歴史を持つルーツのある学者の人々が始めたサマースクールでした。日本ではあまり有名ではないですが、Decolonial s

          脱植民地主義を考える。カリブ哲学協会サマースクール体験記

          死者が生きる体としての自分

          前学期にプールで泳いでいたら偶然横のレーンから「あんたどこから来たの?」とアジア系のおばあさんに言われて、「日本です」というと「あら私もよ」と。 もともと僕が通う大学で教えられていた指導員の方で、縁あって彼女の持っている大量の日本語の本をもらいました。 その中で偶然見つけた高村光太郎の「智恵子抄」を読んでいて面食らった詩があります。 高村光太郎の「亡き人に」という詩です。 ==== 雀はあなたのやうに夜明けにおきて窓を叩く 枕頭のグロキシニヤはあなたのやうに黙って咲

          死者が生きる体としての自分

          「私」はずっと「私たち」だった。

          参加していたWeのがっこうが12/11で最終回を迎えました。本当に自分の感覚や思想、気づきを共有出来る素晴らしい仲間に出会えた最高なプログラムだったなとつくづく思います。 ちょっと時間が経ってしまいましたが、最終回までに発酵して(もう少し発酵できそうな感じはあるけれど)、気づきとして発現してきた言葉たちをポロポロと書き連ねていきたと思います。 もともと、気候危機を引き起こした「人間と自然の関係性の歪み」に問題意識を抱いて、じゃあ私たちはどんな自然との関係性を構築したら良い

          「私」はずっと「私たち」だった。

          気候変動について講演をする全ての人へ。自分的講演マニュアルを作ってみた。

          こんにちは、Isaoです。今までありがたいことに、気候変動についての講演をする依頼を何度もいただきました。その際に自分が気をつけていたことをFridays For Futureのメンバーに頼まれてまとめてみたところ、想像以上に「使える!!」と言ってもらえたので、公開してシェアしたいと思います。 講演をしている人が抱いている悩みや、何かの役に立てば良いなと思っています。 事前準備のプロセスプレゼン準備はただ闇雲に、「気候変動のこと何を伝えようかな〜?」で始めないようにしてい

          気候変動について講演をする全ての人へ。自分的講演マニュアルを作ってみた。

          絡まり合い、自然の中に溶けていくこととは。

          こないだのWeのがっこうは、アーティストの大小島真木さんとの対話を行う時間でした。 大切に扱いたい気付きをいただいた時間だったので、色褪せないうちに文字という形に残しておきたいと思います。 言語化を上手くできないが、話を聞いている中で自然に涙が出そうになったり、心がだんだんと躍るような感覚もあったし、温かい感情が湧き上がって満たされていくような時間でした。 心の中にある潜在意識レベルの部分に共鳴する話だったんだと思います。 この話を受けるにあたって最初に抱いていた問い

          絡まり合い、自然の中に溶けていくこととは。

          微生物とサバルタン

          私たちと、私たちの周りに住んでいる、存在している生物、植物、動物。彼ら「おとなりさん」たちのことをケアすることができているだろうか。「私たち」という言葉の中に、Non-human(人間ではない存在)は含まれているんだろうか。 私たちの身体は微生物の生態系だと言われています。腸内細菌をはじめとする何億という細菌や微生物が私たちの体の中に棲み、私たちが生き延びるために必要なはたらきを行なっています。今まで彼らが気持ちよく生きることができているか、ケアの視点から考えたことは正直あ

          微生物とサバルタン

          1000万年後のプラスチックになる自分

          「アイヌ、仏教、アート、哲学」の4文字を見て、即決で応募した、Deep Care Labが主催するWeのがっこうの第1回目に参加しました。Noteでも読んでいた通り、とても優しさに溢れる人々が沢山いて、オリエンテーションから凄く嬉しさでいっぱいになりました。 Deep Care Labとは?「Weのがっこう」とは? (もう超惚れてしまった文章なので、よければ是非読んで見てください。) 今日のテーマは「私たちのWell Beingを考える」。このプログラム

          1000万年後のプラスチックになる自分

          類縁関係から自然と世界を考え直す。

          久しぶりに書きました。大学の講義を受講している中で出会った”Kincentric Worldview” (類縁関係を中心とした世界観)と言う言葉にとても強く共鳴をしたのでその心象を書き表わしたいと思います。 すべての存在は関係性の網でつながっており、世界はシステムの参加者ではなく、システムの関係性そのものを中心として動いている。Kincentricと言う言葉はそう考えるきっかけを与えてくれました。以前Noteで3つの世界観(人間中心(Anthropocentric)・生物中

          類縁関係から自然と世界を考え直す。