お題⑧

さあ、白黒つけよう
その想いで踏み出した1歩はぬかるんだ暗闇に沈んでいく。
足掻くほどに遠ざかる光の、どうしようもない美しさが悪い夢であればよかった。
大事に積み上げた宝物だっていつか瓦礫の山と化すのだろう、きっと誰もがわかっていて、それにうっすらと滲ませた諦めが大人の証のようで恐ろしい。
君も僕も子供のままでいられたら沈むこともなかった
理想と仮定にしがみつく僕はもうどこにも行けないから、君だけはせめて陽だまりで笑っていて。

いたずらに雪が降る、踏み締められて汚れた色を覆い隠していく雪、雪、雪
凍りついた地面が融けだすのはきっとまだ先なんだろう、望みの薄い待ちぼうけには慣れてしまった。
思い出の中だけで生きていきたいんだ。本当は僕だけの君であってほしかった。
そんなエゴイズムにもいつか別れを告げるから、届かないとしても伝えたい

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お題
「さぁ、白黒つけよう」で始まり
「届かないとしても伝えたい」で終わる

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