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台湾GLドラマ「最初の花の香り」(第一次遇見花香的那刻)

主演:ザイザイ・リン(林辰唏)、ルゥルゥ・チェン(程予希)、リー・イー(李易) 
2021年 全6話(1話20分)
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
(写真=GagaOOLala公式サイトより)

忙しくてちょっとチェックしない間に、サブスク登録している台湾のLGBTコンテンツ専門動画サービスのGagaOOLalaの、“2021年度Queer Up The Volume (同志音乐爱情故事)”シリーズの新作が続々と出ていた。

もう何度か書いているが、これは台湾の文化省より公式にサポートを受けて制作される10人の監督による10本の作品シリーズで、既に記事にあげた「Papa & Daddy(酷蓋爸爸)」「Call it what you want」(タイドラマ)、「Best Sisters Forever(親親壞姊妹)」「LIGHT(小光)」「Innocent(無邪)」も同シリーズである。

華流ドラマの情報がもっとほしくて、最近豆瓣ドウバンに登録してみたのだが、毎週話題のドラマの一本がこれだった。評価も高いので(現時点で中国語ドラマでは第一位)、早速観てみることにした。ちなみに本作は”映画”として2021年東京国際映画祭でも上映されたようなので、ご覧になった方も多いかもしれない。私はオリジナルのドラマ版として視聴。

友人の結婚式で再会する二人

ザイザイ・リン演じる主婦イーミンは、夫が単身赴任中のため息子と2人で暮らしている。ある日、友人の結婚式で、ルゥルゥ・チェン演じる高校時代の後輩ティンティンと再会。
二人はバレーボール部での先輩後輩であったが、部活の後、一緒に帰るうちに仲良くなった。そして少し友達以上の感情も持つようになる。

しかしイーミンは、「女の子同士が好きになるのはおかしい」と思っており、いずれは男性と結婚して、子供を作るのが普通だと思っていた。ティンティンにもそう言い、やがて卒業して二人は疎遠になっていた。
そして再会した二人、昔お互いに感じていた感情を思い出し、時々会うようになる。。。

同性婚は認められている台湾でも

二人が再会した友人の結婚式であるが、隣のホールでももう一組の結婚式があり、そちらは女性二人の同性婚の披露宴であった。イーミンがその光景を見ていると、
「こういうのも、もうすぐ日常になるわよね」
と話しかけてくるティンティン。

本作では、再会したティンティンに惹かれている自分に気がつくも、夫と子供がいるのにおかしいと、彼女への想いを否定しようとするイーミンの葛藤が描かれている。
ティンティンは若い頃から自分は女性が好き、同性愛者だと自覚しているが、イーミンはそうではない。恋愛は同性もありうるが、結婚するのは異性という呪文に縛られているのではないだろうか。

これは同性婚が認められている台湾においても、まだまだ普通の感情なのかもしれない。男のお父さんと女のお母さんと子供で構成される”伝統的な家族の形”というのは、そう簡単に拭い去られるものではないのかもしれない。
特にイーミンはそう信じて結婚して、子供も産んだわけだから、今更後戻りはできない、という彼女の揺らぐ思いがよく表れていたと言えるだろう。

今ちょうど、2019年のドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る。」と最新の映画「彼女が好きなものは」の原作である小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」を読んだところであるが、この中にコウモリの話が出てくる。結婚して子供がいるが、ゲイである”マコトさん”が自分たちのような人間のことをコウモリに例えているのだ。彼は割り切っているが、本作のイーミンは割り切ることができない。コウモリにはなりきれない、あるいはなってしまっていいのか?バイセクシャルの悩みというのも本作では含まれているのかもしれない。

これは一応「シーズン1」となっているので、続編が作られる予定なんだと思うが、同シリーズの「Papa & Daddy(酷蓋爸爸)」もシーズン2制作が頓挫しているようなので、期待していいものかどうか正直迷う。どうでもいいタイドラマより、こっちの2本の続編を作って欲しいな。。。

こちらがエンノ・チェン(鄭宜農)が歌う同名の主題歌♪このシリーズは主題歌も重要で、きちんと歌詞を読んだわけではないが、ドラマの内容にリンクしているものと認識した。

なお、本作は現時点では「アジアBL&LGBT映画レビュー」のマガジンに入れておく。GL作品はこれが初めての記事だし、まだ視聴本数も少ないため、独立したマガジンにするかは未定。


Queer Up The Volume (同志音乐爱情故事)の公式サイト(英語・中国語)はこちら↓ここから全ての作品、歌の紹介が見られる。



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