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台湾映画「幸福都市」(幸福城市)

主演:リー・ホンチー(李鴻其)、カオ・ジエ(高捷)、ストーン(石頭、五月天)、ディン・ニン(丁寧)、ルイーズ・グリンベルク、シェ・チャンイン(謝章穎)
2018年
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★☆☆
(写真=Netflix公式サイトより)

ビルから飛び降りて自殺する男性。
なかなか強烈なオープニングであるが、そこから遡ってジャン・ドンリン(張冬陵)という男性の一生を描いた物語である(冒頭で自殺する人ではない)。3つの時期に分けられ、またそれぞれ異なる作風となっている。

(1)SF風未来の60歳ごろ

時は2049年。舞台はテクノロジーが超発達した未来都市、住民は皆手首に埋め込まれたチップで色々なことが自由にできるが、監視社会でもある。ジャン(カオ・ジエ演)は生活に疲れたのか、ピストルを手に入れ、30年前に自分の人生を狂わせた人物を殺すことにした。ついでに、衝動的に妻、その愛人も殺してしまい、自分も命を絶つ。しかし、先ほど売春宿で会った西洋人の女の子が昔知っていた子に似ていたため、そこから過去へ思いを馳せる。

(2)ノワール仕立ての警察官時代(30歳ごろ)

夜勤の晩、一緒に巡回している同僚が、「奥さんにケーキでも買って持って行ってやれ」とジャン(リー・ホンチー演)に30分くれる。ケーキを買って帰ると、寝室ではなんと妻が上司の警部補ズーウェイ(志偉、ストーン演)と情事中であった。
やけになったジャン、万引きで捕まえたことのある顔見知りの西洋人の女の子アラ(ルイーズ・グリンベルク演)と夜の街を二人で彷徨うのであった。

(3)メロドラマ風高校生時代(17歳)

時代はさらに遡り、高校生のジャン(シェ・チャンイン演)はバイクを盗もうとし、お巡りさんに見つかってしまって逃げる。同時にディン・ニン演じるヤクザの女ボス、ワンジェ(王姐)も警察官たちから追いかけられ逃げている。二人は結局捕まり、警察署に連れて行かれるのだが、なんとワンジェは死んだと聞かされていたジャンの母親だった。

わかりにくいストーリーの進み方

またしてもあらすじも読まないで観始めたこの映画、中国映画だとばかり思ってたら、出てくる俳優達が台湾のおなじみさんばかりなので、台湾映画と気付く次第(汗)。SFの世界の部分はなんだか成り行きがよくわかってなかったが、若い警察官時代になって物語の筋がわかるようになってからはとても面白かった。
しかし、3つの異なる年齢の主人公ジャンは、彼の首筋のアザによって同一人物ということがわかるようになっているが、あらすじに関するある程度の予備知識がないとストーリーを追うのが難しい。アメリカ映画「アイリッシュマン」のように年取った俳優が全部若い頃までの役をなんとか頑張ってメイクしてやるのも無理があるが、全く別の俳優を使って3つの世代に分かれていると、これもこれで厳しいものがあると感じてしまった。

幸福都市とは結局何だったのか?

結局このタイトルは何を意味していたのか?あまりにもわからなかったため、色々な方のレビューも読ませていただいたが、みなさん???となっていたようであった。一人の方が書いていた(あまりにも色々読んだので、どこで読んだか忘れてしまった)「結局テクノロジーが発展して便利な生活になっても、人間の本質というのは変わらず、恨みというのはずっと残る」というようなことだったのだろうか?
ただ、そう考えると、高校生時代は必ずしも当てはまらないので、違うか。まあ、どの時代のジャンも、決して幸福ではないので、それを皮肉ったタイトルだったのかもしれない。

好き嫌いが分かれると思うが、警察官時代のジャンを演じたリー・ホンチー、母親のワンジェを演じたディン・ニンの演技はとても良かったので、この二人を見るだけでも価値はある。

こちらは予告編。トロント国際映画祭では賞もとっている。


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