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混色指導は「トレーニング」でなく、とっておきのこの題材で!

混色の指導をするのに、「トレーニング」的な方法を取る場合を見掛けることがある。
画用紙に、抽象的または具象的な線画が印刷してあって、その一つ一つの枠を、混ぜて作った色で塗り分けるといったものである。
確かに、混ぜる絵の具の色やその量、また水の量を変えることで、グラデーションが出来上がり、混色の技能が伸びるように思える。

しかし、私はこの指導方法が好きではない。
特に4年生以下ではやらせたくないと思っていた。

昔に比べ、図工の指導時間数は減っている。一時間一時間を大切にしたい。
「練習」ではなく、「本番」で子供を育てたいと思うのだ。

図工における「習得・活用・探求」の「習得」とは、トレーニングではなくて、子供の想いを膨らませることのできる題材による作品製作を通して、楽しく育んでいった方がよいと思うのである。

子供たちが、様々なきれいな色を作って塗りたい、描きたいと思うような題材を与えればいいのではないかと考える。

例えば、その題材とは、3年生向きなら、次のものだ。どちらも、仲間の教師から学んだことをヒントにして自分でオリジナルな題材・展開へと改めた、とっておきである。

「ふしぎなつぼ」

「〇〇」が出てくる不思議な壺の絵である。クレヨン、絵の具のハイブリッドになっている点で、2年生から3年生への橋渡しとして格好の題材だと考えている(この「ヒント帳50」参照)。
<展開過程>
①壺の形や模様を、クレヨンを使って線描する。(八切または九切画用紙)
②壺の形で切り取り、四切画用紙を縦置きにして貼る。壺から出てくる「もの」を描く場所やその動きを表すことを想定して、どこにどんな向きで貼るのか、画面を構成させる。
壺の面の部分を、絵の具で混色によっていろいろな色を作って塗る。
④壺から出てきている「ふしぎなけむり」や「ふしぎな〇〇」の「跡形」を、③の時とは、違う色作りをして線で描く。
⑤壺から出てきている「ふしぎな〇〇」を画用紙に水性ペンなどを用いてこぶしサイズより二周りくらい小さい大きさで描き、切り抜いて、場所を工夫して貼る。

「自動販売機の中はどんなかな」

自動販売機には「きれい」な飲料水の缶やペットボトルがたくさん。見て描くことで子供たちは自然にたくさんの色を作って使う
学校の近くに自動販売機が数種類あればベスト。子供と見に行く。観察して描かせたこともあったが、安全面への配慮から、写真に撮り、教室で描かせた場合が多かった。
<展開過程>
①縦置きにした四切画用紙に大きく自動販売機を油性ペンで描く。
絵の具で着彩する。本物と全く同じである必要はない。「きれいな」容器を「創造」させるとよい。子供たちの混色が進む
③ここまでは、ただの「観察画」。3年生くらいの子供は「よく見て描く」ことが好きだが、ここで、終わっては楽しくない。そこで、自動販売機の「お腹」の部分を観音開きになるようにカッターで切り開く(これは、私が切った。子供に切らせて絵を台無しにさせたくなかった。安全面への配慮もある。「横、横、縦」と3回カッターを動かすだけなので、子供全員分を切ってもそれほど時間は掛からない。)。裏から別の画用紙を当てて貼る。そこに、「自動販売機の中」を想像させて描かせる。これは水性ペンなどを使わせるとよい。想像といっても、「機械」を描くのではない。ある子は、「小人のジュース工場」を描く。また、「森の動物たちが果物をしぼってジュースを作っている様子」を描く子もいる。
④完成したら、「扉」を開けたり閉じたりして、絵を使って楽しめる。
 
トレーニングもいいが、こんな題材にもぜひ取り組ませてみたらどうか。
ちなみに、ネット上で見ることができる「ふしぎなつぼ」という同じ名前の題材による絵と、私の指導した絵とは大きく異なる。
著作権保護から、子供の作品をお見せできないのが残念である。
どなたか、こういう場合に、子供の著作権を侵害することなく、作品を公開する方法をご存知だったら教えていただきたい。例えば、二分の一以下の面積の画像公開ならセーフだとか…。無理でしょうか。