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疲れが吹き飛ぶ舞台

 タグをつけるなら、#戦争、#ジェンダー、#古代ギリシア、#寺山修司などが入るのかな。
大好きな音楽劇とはいえ、このワードが続いたら興味を持たなかったかもしれません。

「不思議の国のエロス」@新国立劇場。

セカイサンポで大変、お世話になった方や、
旧知の女優が関わっていたこともあり、どうしても拝見しておきたく……と恩義せがましく綴ったのですが、予想以上の面白さに大興奮でした。

積み上がったパイプ椅子が崩れるところから物語は始まります。
ギリシア統一をめぐり、アテナイとスパルタとの戦争が長期に渡り、
兵士の妻たちも疲弊し、我慢の限界へ。
そこで女性たちが立ち上がり、セックスストライキで、平和を掴み取っていこうとするお話です。

60年ほど前、
劇団四季の創設者浅利慶太から依頼を受けた寺山修司が、
古代ギリシアの作家(アリストパネス)の「女の平和」をベースに書き下ろした戯曲ですが、
当時、上演されることはありませんでした。

頻繁に使用されるパイプ椅子を使った舞台美術、
曲から振付、照明や音響にいたるまで、どれも素晴らしく、
ジャージ素材の衣装なんて、もし、ロビーで売っていたら買っていただろうと思うほど気に入りました。

寺山修司のセリフの言い回しやキャラクター設定は、
60年代のアングラ劇団の要素が強い部分もあり、
僕の頭ではついていけないことが多い。

しかし、演出によって、こんなにも爆発的に面白くなるのかと、改めて教えていただき、終始、前のめりでした。

ロシアとウクライナ、
イスラエルとパレスチナ
ジェンダーなど、
まさに今、重なる部分も多く、
本当に60年前に書かれたのかと疑いたくなるほど、
一つ一つのセリフが刺さってくることも多かったなぁ。

疲れ気味で、寝ることを覚悟していたのですが、客席が明るくなった時には元気になっていました。

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