ISHIYA私観「平成ハードコア史」第4章〜#13 FORWARDとEIEFITS

 第1章から第3章まで、昭和や平成に起きたことなどついて触れて来たが、平成という時代も西暦2000年をまたぐ頃になると、ハードコアの世界でも様々な出来事があった。
 あまりにも多くの出来事があるために、遅々として書き進める時代が進んで行かないのだが、この第4章では新たに世界に飛び出していった日本のハードコアや、多くの経験を積んだハードコアの人間たちが、どのような変化を遂げていったのかということも含め書き進めて行きたいと思っている。
 海外との交流が進むに連れて、来日バンドも多くなり、日本のハードコアシーンが国際色豊かになっていった時期でもある。
 世界の中の日本のハードコアという観点も、この第4章には登場するだろう。
 他にもまだ書けていないことや、思い出す話もあると思うので、今しばらくお付き合いを願いたい。
 売文稼業なので有料とさせていただくが、連載の励みにもなるので興味のある方は、この第4章も購入していただけると幸いだ。

 第1章、2章と同様、自分が体験したことでもないことで、馴れ馴れしくバンドに知ったかぶりをして話しかけても自己責任なので気をつけることを忠告しておく。
 昭和のハードコア・パンクの先輩たちがそうであったように、一旦中に入れば信じられないほどの優しさを見せてくれる日本のハードコア・パンクの人間たちだが、その壁は厚く高い場合があることを認識してほしい。そうでなくては、このコラムを続けることができなくなるかもしれない。

「#13 FORWARDとEIEFITS」

 平成23年である2011年に、東日本大震災が起き福島原発が爆発事故を起こして、東日本は放射能汚染による様々な被害に見舞われ、それは現在でも続いている。
 様々な復興支援の妨げになったのも原発事故が大きな要因であることは間違いのない事実だ。
 こうした被害に対し、日本のハードコアパンクバンドたちは次々に声を上げ、作品にも色濃く反映されて行った。
 俺のやっているFORWARDでも原発事故による被害の事実などによって、政府の行う政治のあり方などを見つめ直す機会となり、それまで発売した作品よりも、より政治的メッセージの強い作品を平成23年である2012年に発売することとなる。

 T.TとSOUICHIのツインギターに新加入のDr.秋山、Ba.のYOUとVo.の俺ISHIYAの5人によって録音された唯一のアルバムが「WAR,NUKE and DEATH SENTENCE(戦争、核と死刑 )」である。
 このアルバムを発売するにあたり、アメリカでの発売も同時に行い、アルバム収録曲の中から「DEVIL’S CRADELE」をシングルカットし、B面に「WHATS’ THE MEANING OF LOVE」を収録した7インチシングルもアメリカ生産で発売することとなった。

 そしてFORWARDは、このアルバムとシングルを引っさげ、2012年に3度目となるアメリカツアーを行うこととなった。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!