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UCHU NO KAIWA

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少しずつ小説を更新します。
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記事一覧

衝撃で死ぬと思った。
しかし意外にも、私はふかふかの床で目を覚ました。
どこなのかよくわからない。だけど多分、さっき落ちた箪笥の中だと思う。
今ならなんでもできる気がした。
だけど歩こうとすればするほど、足が取られてとても疲れていく。
だって床が、ふかふかなんだもん。
そしてとても可愛いペイズリー柄の、ピンクの床。
ペイズリー柄は縦横無尽に動き回って、時々私の様子を伺っている。
がむしゃらに動くの

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2.

視界がショッキングピンクに染まっている。
これはパーティではない。ただの1人遊び。
私はどうにかチカチカする視界を元に戻そうと、目をぱちくりさせたり眼球を360°回してみたり、途轍もなく目を細めてから見開いたりした。
しかしそれが始まってしばらく、視界は文字通りショッキングな激しいピンクに全て支配されていた。
輪郭が見えてきたのは10分ほど経ってからであろうか。
今まで部屋のカーテンの柄だと思って

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1.

3/28、今日死んだのは啓蟄に目覚めたばかりの小さな虫だった。

私はたまに、心というのはもともと引っかかりのない球体だったように感じる。
様々なものに触れて、揉まれ、ぶつかり、削られ、撫でられるうちに、その球体はどんどんざらついてゆく。
今の部屋の中の散らかりはそのまま私の心のざらつきの原因のように思う。視界に机の上の散乱した細かい薬やサプリメント、カサカサしたレシート、筆記用具等が入る度、それ

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