M.S.

技術系サラリーマンとして働いてます。理学博士(高分子科学)。自分のために、まずは no…

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技術系サラリーマンとして働いてます。理学博士(高分子科学)。自分のために、まずは note を活用して、積読本の消化から。

最近の記事

積読本物語(3)ーH.R.F.・キーティング『ミステリの書き方』を読んで、「ミステリ」含めた文字表現をちょっとだけ想う!

今回の積読本H.R.F.・キーティング『ミステリの書き方』(1989、早川書房) 読書のエントリー領域としての「ミステリ」一般的かは自信はないので、自分事として綴るのだが、わたしがさまざまな作家を手に取る習慣を身につけたのは、間違いなく「ミステリ」というジャンルである。昔話をして恐縮だが、わたしの青春時代、島田荘司とその若い追随者たちにより「本格ミステリー」の復権が声高に叫ばれており、本屋にはそれら作家たちのハードカバーや文庫本が平積みにされていた。その現象に付随し、海外ミ

    • 積読本物語(2)ーフレデリック・ベグベデ『¥999』は、現実と妄想が倒錯した、禍々しい私小説だった!

      今回の積読本フレデリック・ベグベデ『¥999』(2002、角川書店) 書いてはいけないことを書く、それは文学なのだろうか?読み終わって、本書の問いかけるテーマを考える。タブー。あるいはシステム。そこに、ミレニアルの退廃的な雰囲気が重なり、ザラザラとした感情が励起される。とにかく、マネー、ドラッグ、セックスである。主人公のオクターヴは広告マン。コカインをやり、娼婦を買い漁っては、斜に構えてCM制作に携わる。仕事は嫌い、妊娠した恋人を「責任持ちたくない」と捨て、捨てたことを病ん

      • 積読本物語(1)-牧太郎『新聞記者で死にたい』は、時代を映す、読みごたえ満点のサラリーマン履歴書だった!

        積読トホホ本を買って、そのままなん年も放置する。その魅惑の行為を、ひとは「積読」と呼ぶ。そして、ひとは言う、つぎからつぎへと読みたい本が出る。買う、溜まる、積む、足蹴にする、そして、いつの間にか部分破損する…。わたしは、明確に記憶するかぎり、小学3年生から本を読んでいる。洗礼は司馬遼太郎だった。それこそ、最初に読んだのは『項羽と劉邦』だったはずだ。爾来35年間ほど、活字中毒を患い、読めないほど本を買い込んでは、ちまちまと読み捨てている(だいたい年間100冊くらい)。そんななか

      積読本物語(3)ーH.R.F.・キーティング『ミステリの書き方』を読んで、「ミステリ」含めた文字表現をちょっとだけ想う!

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