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自殺未遂の女の子

首吊りをしないように、と結束バンドで縛られたコードたち。
よくあるんだろうね。

「いやいや、そんなことしなくていいのに」と思っていたが、気が狂ってカバンの紐で首を絞めた時もあったので、正解だったのかもしれない。

老人ばかりの病棟に、飛び降りを失敗したという同年代くらいの女の子が入院してきた、という話を聞いた。

孤独で寂しかった私はとても嬉しくて、友達になりたい、話したい、と思ったが
その女の子は今の現状を受け入れられていないようで
リハビリにも非協力的だった。

息抜きに、と看護師が提案したのか、防音の部屋でカラオケをしているのが聞こえて
チャンスだと思って出てくるのを部屋の前で待っていた。

夜明けと蛍を歌っていた。
とても歌が上手な子だった。

部屋から出てきた時、声をかけようとしたが
看護師さんが逃げるように私からその子を遠ざけた。
人と関わりたくなかったのかもしれない。
そうだよね
早とちりしてしまった
勘違いしていた
同じ飛び降りをした同士として、分かり合えると思っていた
仲良くなれると思ったのが間違いだった

結局、目を合わせることもなく
気づいた頃には、その子がいた病室からその子の名札が消えていた。

閉鎖病棟へ移動したのかもしれない。

こんなことなら、ずっと1人の方が良かったな。

1人、大浴場でシャワーを浴びながら
夜明けの蛍を歌った
少し泣いた

高校2年生 TABIPPO2020大阪支部🐣 発展途上国や貧困、ボランティアについて興味があります。いろんな国に行きたい 🇯🇵→🇰🇭🇰🇪