オフィス・イッサンセイ

Human Factors & User Experienceリサーチャー|人…

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Human Factors & User Experienceリサーチャー|人間中心設計専門家|医療機器を中心に医師・患者調査の実績多数|インバウンド・アウトバウンドの国際ユーザー調査の実績多数|「ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用」に関する知見あり

最近の記事

2023年1月1日独立開業予定

現職の会社に退職届を提出し、2023年1月1日にフリーランスリサーチャーとしての開業が決まりました。 専門は、下記の3つのカテゴリーのマーケティング調査/ユーザー調査です。 医療機器分野の定性マーケティング調査 その他の分野を含む人間工学&ユーザーエクスペリエンス調査(ハードウェア製品のユーザビリティテスト等、特に医療機器のHuman Factors Validation Testing) インバウンド/アウトバウンドの国際ユーザー調査 それぞれがどのようなものなの

    • UXリサーチを支える思想

      ■インタビューの捉えかた UXリサーチではインタビューも行いますが、調査参加者の答えを一つひとつ情報として収集・集積することよりも、さまざまな発言や態度から調査参加者の経験・価値観・コンテキストを読み取ることのほうが重要で、そこにこそインサイトの源泉があると考えます。 マーケティングリサーチは前者の考えかたを取り、モデレーターは調査参加者から知りたい情報を引き出すための刺激 stimuli として質問を投げかけます。つまり、心理学のS-R (stimulus-respon

      • バリデーションテストとリサーチャーの関与範囲

        ■バリデーションテストは退屈? 言葉を憚らずに言ってよければ、医療機器の人間工学設計バリデーションテストは、正直なところリサーチャーにとって退屈な調査とも言えます。製品上市のための重要性はもちろん理解していますが、①調査や報告の形式が決まっている、②評価すべきポイントがクライアント側のリスク分析・FMEA分析によって決まる、③UI改善を提言する余地が極めて限られている、といったことにより、通常のユーザビリティテストに比べるとリサーチャーの裁量の余地が少ないのです。 クライ

        • 医療機器のユーザーエクスペリエンスとは

          ■医療機器のユーザー 医療機器については現状、Human Factors Engineeringによる安全性と効果の確保・検証がもっぱらのトピックですが、もちろんユーザーエクスペリエンスについても論じられるべきだと思っています。 コンシューマープロダクトのUXでは、ユーザーにとっての楽しさや便利さが焦点となります。医療機器では、関与者として医療従事者と患者の2種類のユーザーグループがあるのが特徴です。医療従事者には医師・技師・看護師が含まれ、患者には患者本人と、自由の利か

        2023年1月1日独立開業予定

          HはヒューマンのH - リプライ記事

          フォローさせていただいているsacicoloriさんの「医療機器 ユーザビリティ or ヒューマンファクターズ」という記事にとても共感したので、リプライ記事を書いてみました。 私が特に共感したのはここのところです。 「安全で効果的な使用」をゴールとする医療機器のHuman Factors Engineeringが、Usability EngineeringやUser Experience Designと異なる方向性と内容を持つことを示したくて、私も私のやっていることをHu

          HはヒューマンのH - リプライ記事

          「製品の使用感についてのインタビュー」とは

          製品の使用感を調べるということ クライアントから「新製品の試作品を使って、使用感や満足点・不満点を調べたい」という問合せをもらい、こちらはユーザビリティ評価の案件かと思っていたら、クライアントはちょっと触ってみてもらって感想を聞きたい程度だったというすれ違いが時折あります。 この二者の違いは意外と奥が深く、ユーザビリティ評価の本当の意味を明らかにするのに良い材料になります。 マーケティングリサーチ畑の人(委託側も受託側も)や、もっと素朴に当事者から感想や意見を聴取するこ

          「製品の使用感についてのインタビュー」とは

          スマホ連携するハードウェアのUI/UX評価

          どう評価するか? 最近、ハードウェア製品であってもスマホ連携する機能が当たり前になってきました。例えば家庭用医療機器の場合、腕時計型のウェアラブル機器で測定できる脈拍や心電図がそのまま機器で確認できるのはもちろん、体組成計や血圧計などからも測定データを専用アプリに取り込み、継時的な変化が分かるようになっています。生活習慣病などの慢性疾患では、測定値の一定期間のトレンドを患者も把握して自己管理することが重要なので、医師の立場や疾病予防(未病)の観点からも望ましいと言えるでしょ

          スマホ連携するハードウェアのUI/UX評価

          人間中心設計は人間のエゴか?

          ▪️どこがエゴ?最近たまに、「脱人間中心設計」とか「Planet-Centric Design」という言葉を見かけることがあります。ユーザーのニーズを優先するデザインは、ひたすら利便性を追求して環境負荷などのネガティブな面を無視している、つまり人間のエゴを助長しているとして反省する動きのようです。 しかし、人間中心設計が人間のエゴを満たすためのデザインであったことなど、そもそもあったでしょうか? そういうことを主張する人は、人間中心設計という言葉の上っ面だけを捉えて誤解して

          人間中心設計は人間のエゴか?

          リモートでハードウェアのユーザビリティテストができるか?

          ▪️リモート調査の普及最近、ユーザー調査でもリモートインタビューが増えてきました。国土の広いアメリカではもともと一定程度普及していたようですが、日本ではコロナで一気に普及した感があります。初めはオンライン会議システムが、安定した環境で確実に実査を行うためには不安要因に思えたものですが、現場で調査参加者に応対しなくて済むなど、調査会社側の負担は全体で見れば軽くなったとも言え、また日本全国から調査参加者を募集できるといったクライアント側のメリットもあることから、ポストコロナにおい

          リモートでハードウェアのユーザビリティテストができるか?

          ユーザー調査を外注するメリット

          ▪️ユーザー調査の外注で得られるメリットハードウェアの製品開発において、業務上の関係者数人に意見を聞くことで「ユーザー調査」としているメーカーもあると思います。しかし、調査会社にユーザー調査を依頼することには、いくつかのメリットがあります。 調査結果に、ある程度の統計的な妥当性が得られるだけの人数の調査対象者を集められる。 専門的な調査と分析の手法を用いた、説得力のある結果が得られる。 依頼元を対象者に開示しないことで、バイアスやリップサービスのない、ありのままの話を聞

          ユーザー調査を外注するメリット

          医療機器の人間工学設計バリデーションテストの特殊性②:分析編

          ▪️Don’t blame userの原則前回の記事からの続きです。米国FDAのガイダンスにもとづく医療機器のHuman Factors Engineering / Usability Engineeringの妥当性確認テスト(バリデーションテスト、総括的評価)の分析・報告上の注意点をまとめます。 まず、「ユーザーのせいにしない」原則についてです。Use errorが起きると、つい「ユーザーが勘違いした」「ユーザーが見つけられなかった」と分析したくなるものですが(行為の自然

          医療機器の人間工学設計バリデーションテストの特殊性②:分析編

          医療機器の人間工学設計バリデーションテストの特殊性①:実査編

          ▪️人間工学原理主義FDAがガイダンスを発行して米国市場への上市製品に適用し、世界標準となりつつある医療機器のHuman Factors Engineering / Usability Engineeringの妥当性確認テスト(バリデーションテスト、総括的評価)には、かなり特殊なところがあって、通常のユーザビリティテストに慣れたリサーチャーでも(というか、むしろ慣れたリサーチャーだからこそ)実査や分析のやりかたが難しいので、2つの記事に渡ってまとめておきます。 まずは、人間

          医療機器の人間工学設計バリデーションテストの特殊性①:実査編

          UXリサーチャーは、必然的にリベラルなのではないか

          ▪️UXリサーチャーの政治主張は控えめちょっと変わった記事を書こうと思います。UXリサーチャー(以下UXデザイナーも含めます)の政治的態度は必然的にリベラルなのではないか、ということについてです。こういう見解を私は今まで見聞きしたことがないので、この記事が初めてなのかもしれません。 そもそも、UXリサーチャーはあまり政治的見解を明らかにしないようです。それは奥ゆかしさというか、いろいろなステークホルダーと付き合ううえで賢明ではないかもしれないし、相手の考えを尊重する職務上の

          UXリサーチャーは、必然的にリベラルなのではないか

          International UX Researcherはどこにいる?

          ▪️インバウンドとアウトバウンド以前から気になっているのですが、英語を使って国際調査に対応できるUXリサーチャーは、いま日本にどのぐらいいるのでしょうか? UXデザインの一つの特徴はグローバルな原理・規範・手法の共通性ですから、国際交流から外れると日本のUXデザインが悪い意味で特殊化・内向き化する懸念があります。たいていの国にあるUXPA (User Experience Professionals Association) の支部が日本にないのはやっぱり妙な話ですし、カンフ

          International UX Researcherはどこにいる?

          ユーザビリティエンジニアリングが重要な業界

          ▪️なぜ今さらユーザビリティエンジニアリング?私は、ユーザビリティエンジニアリングという言葉を積極的に使っています。流行ったのはけっこう前で、やや廃れつつある言葉ではあるのですが、ユーザビリティテストとUIデザインを往復するユーザビリティ改善の工程であることと、同じ「エンジニアリング」としてハードウェアの製品開発プロセスと共存できる感じを表現したいからです。 ▪️まず医療機器業界実際、医療機器の開発においては、ヒューマンエラーを起こさないためのユーザーインターフェイスづくり

          ユーザビリティエンジニアリングが重要な業界

          自己紹介

          ▪️名前一山青と申します。もちろんペンネームです。画面上では、当面匿名にしたいと思っています。 由来は禅語の「一山行き尽くせば一山青し」で、一つの山を越えたと思っても、まだ青々とした別の山の中、つまり物事を究めるのに終わりはないという意味です。 ▪️現在の仕事会社員です。転職を重ねて4社目になりました。リサーチ会社で医療機器を専門にマーケティングリサーチとUXリサーチに携わっています。 ▪️noteを始めた意図自分の経験の引き出しを整理して、UXデザインによる課題解決を