見出し画像

【読書感想】結局人間が1番怖い。貴志祐介のヒトコワホラー😱

あらすじ

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく、死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに・・・・・・。
恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だかつてない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。

感想


貴志祐介の『黒い家』(1997)は、第4回日本ホラー小説大賞を受賞し、100万部を超えるベストセラーを記録した作品です。

俳優の内野聖陽主演で映画化もされ、菰田幸子役の大竹しのぶの怪演が話題となった作品としても有名です。

私は映画は見てないですが、観た人のレビューを見ると「原作の方が数倍怖い」という声が予想以上に多くて、それだけ多くの読者に凄まじい恐怖体験を体感させるこの作品の素晴らしさは既に証明されていると言えます。

少々グロテスクな描写も多少あるんですけど、それを差し置いても、Jホラー特有のジメジメとした雰囲気や読むだけで嗅覚や触覚など五感を刺激する筆者の筆力に圧倒され、ページをめくる手が止まらなかったです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※ここからネタバレ注意

この作品を語る上で2つのテーマがあると思います。

①保険金
②サイコパス

①保険金

本作の主人公若槻は保険会社で働くサラリーマンで、会社の顧客である菰田重徳は自傷行為により多額の保険金を請求する常習犯であった。

その菰田重徳に対応していた若槻は、1人で調べていくうちに陰湿な保険金請求の黒幕が妻の幸子であると勘づき、菰田家に狙われてしまう。

というのが物語の序章です。

本作では、保険会社の業務に忙殺される主人公や、保険の仕組み、保険の死角など、「保険」にまつわることが事細かに描かれています(現在より20年以上前の話ではあるが)。

近年、傷害保険や生命保険による事件の検挙件数は徐々に減ってきてはいるが、年に数件発生しているのが事実。民間保険会社によるさらなる対策の必要性は十分高いと思います。例えば、保険契約の際は、個人や法人に対して、保険金がその経済・経営状態に見合った金額であるのかどうか厳格にチェックする、などがあると思います。

まぁ自分の意見はここまでにして、このように「保険」について学ぶことが出来るという点もこの作品の読む価値というのがあると思います。

②サイコパス

主人公若槻の彼女黒沢恵は、大学の研究室で心理学を専攻していて、若槻は研究室の助教授金石に菰田夫妻のプロファイリングを依頼した。

すると、その診断によって菰田夫妻が「サイコパス(精神病質者)」である可能性が高いことが分かり、その後さらなる最悪の結末へと向かっていくことになる。

まず「サイコパス(精神病質者)」の定義とは、自分以外の人間に対しての感情が一部欠如している人のことであり、きわめて自己中心的に振る舞う傾向がある、らしい。

「サイコパス」になる要因としては、未だ解明されてない部分もあるが、先天的なものと後天的なものがあり、そもそもサイコパスと判断する線引きが難しいという問題もある。

現在でも「サイコパス」については完全に解明されていない部分が多いので、今言えることはもう、そういう人と関わるな、しかないです笑


 

上記の2点の他にも「夢」についてのことなど、様々な要素がこの作品には詰まっているので、それらが重なり、混ざりあっていくことで生まれる化学反応があの背筋も凍る恐怖感を生み出しているのだと思います。

まだ梅雨が控えていますが、これからどんどん暑い季節になっていきます。そんなときにこの作品を読んで、1人で夜の街を歩けないぐらいの恐怖体験を味わってみるのもいいんじゃないでしょうか😏


あなたの家の近くにも「黒い家」があるのかも、、


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?