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【投資】"幅"ではなく、"率"でみる

本日(2024年3月11日)、現時点で日経平均株価は前日比1,100円超を超える下落となっています。今年最大の下落幅だとか。先般より史上最高値を更新している日経平均株価指数ですが、指数の数字が大きくなれば当然、同じ率で上下したとしても、結果としての上下幅は大きくなります。今後はおそらく、「史上最大の上げ幅」「史上最大の下げ幅」って言葉、よくメディアを通して目にするようになると思いますが、そこで気分が影響されることなく、「率でみたらどうなのか?」考える癖をつけておいたほうがいいかな…という話です。


変化幅(量)と変化率

時系列のデータ推移を分析する場合に、その変化について幅(量)で見るのか率で見るのか、それぞれ目的に応じて適切に使う必要があると思います。例えば、株価が10%上昇した場合の影響度については:

  • 100万円投資をしている人にとっては、10%上昇(率)は10万円(幅)になります。

  • 1億円投資をしている人にとっては、10%上昇(率)は1,000万円(幅)になります。

10万円(幅)も1,000万円(幅)もそれぞれの人にとっては重要な変化量ですが、基本同じ株価の変動率です。

株価指数についても、結果としての影響度合い(幅/量)は人それぞれ。でもその影響度合いに共通するのは「どれだけの率動いたか」という"率"が重要になります。

指数が大きくなれば…

また過去との比較においても、共通して比較できるのは"率"になります。"幅/量"に関しては、指数の数字が大きくなれば当然、変動幅も大きくなります。同じ10%の上昇でも、株価が10,000円の時には1,000円の上昇幅、でもそれが40,000円の株価になると同じ10%でも4,000円の上昇幅になります。

今、日経平均株価が史上最高値圏にある中、当然ですが今後、過去に見てきたような変動率であったとしても、結果として「史上最大の上げ幅」「史上最大の下げ幅」というニュースを耳にするようになってしまいます。

過去の最大下落幅、最大下落率を確認してみる

では、日経平均株価のこれまでの1日の最大の下落幅(量)と下落率はどれくらいだったのでしょうか?以下のサイトで確認すると、下落幅/下落率ともに米国ブラックマンデーの翌営業日1987年10月20日。下落幅で▲3,836円、下落率で▲14.9%。ブラックマンデーを除くと、次に来るのは下落幅が1990年4月2日で▲1,978円(率で見ると▲6.6%)、下落率が2008年10月16日で▲11.4%でした。こうしてみると、ブラックマンデーを除くと、下落幅で上位に来るのはバブル崩壊後、まだ日経平均が高値圏にあった頃ですね。ただ下落率でみると、その時期、あまり上位には来ていません。幅(量)で見るのと率で見るのとで、まったく景色が違うといういい例ですね。

日経平均4万円を基準に考えると?

では過去にあったような下落率が起こると、今後日経平均はどれくらいの幅変動する可能性があるのでしょうか?日経平均4万円として考えると:

  • ブラックマンデーと同じくらいの下落率(▲14.9%→▲15%として)が起こったとすると、下落幅は▲6,000円。

  • その次の下落率▲11.4%が起こったとすると、下落幅は▲4,560円になります。

  • ブラックマンデーを除いて、次の最大の下落幅が▲1,978円。4万円対比で下落率は▲4.9%程度。

▲5%程度の下落率、幅で言うと▲2,000円ほどの下落幅は今後も普通にあってもおかしくはないですね。そうなった時には、メディアも「日経平均株価2,000円暴落、ブラックマンデーを除くと史上最大の下げ幅!」なんて報道する姿が目に浮かびます。

もちろんそれは嘘ではないのですが、そういった報道を目にした時には、「率で見るとどうなのか?」っていう癖はつけておいたほうがいいですね。同様の議論でいうと、世界最大の機関投資家であり、日本国民のための年金資金準備金を運用しているGPIF。現在その運用残高は200兆円を超えてますが、例えば3%の損失でも額で言うと6兆円の損失。そして報道も「6兆円の損失」っていうのだけが前面に押し出されるって感じになります(少なくとも過去はそうでした)。

変化幅(量)と変化率。それらを混同することなく、正しく数字を理解していきたいところです。

#日経COMEMO #NIKKEI

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