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ChatGPTの頭をよくするメタ認知プロンプトとメタメタ認知プロンプトなどの検証

X(Twitter)上で、メタ認知プロンプティングの論文が話題になっていたので、簡単なメタ認知プロンプトを作成して、その効果を試してみました。
また、メタ認知プロンプトから着想を得た他の類似プロンプトについても試してみたので報告します。

※タイトルの画像はAIいらすとやの画像を使用。


1.メタ認知プロンプトとは?

メタ認知プロンプトとは、以下の論文「メタ認知プロンプティングは大規模言語モデルの理解を向上させる」で提案された、人間の内省的推論プロセスに着想を得たプロンプトであり、標準的なプロンプトや思考連鎖(Chain of Thought)プロンプトなどの手法を常に凌駕する結果が得られたとのことです。

メタ認知とは、自分が認知していることを認知すること、つまり、自分が行っている行動や思考を客観的に把握し、制御することを指します。このメタ認知能力によって、冷静な判断を可能にしたり、問題解決能力を向上させたりすることができると言われています。

この論文では、メタ認知プロンプトについて、次のように説明しています。
メタ認知プロンプトは、人間のメタ認知能力の一部をまねたもので、以下の5つの段階から構成されています。

1.入力テキストを理解
2.予備的な判断を実施
3.この予備的な分析を批判的に評価
4.理由の説明を伴う最終的決定に到達
5.プロセス全体の確信度を評価

出典:Metacognitive Prompting Improves Understanding in Large Language Models

2.メタ認知プロンプトの効果をテスト

(1) カスタム指示用簡単メタ認知プロンプト

上記1のメタ認知プロンプトに関する説明を参考にして、ChatGPTのカスタム指示用の簡単なメタ認知プロンプトを作成してみました。

ユーザーの質問に対して、以下のメタ認知アプローチを使用して回答してください。
メタ認知アプローチ: このアプローチは5つの段階で構成される。
① ユーザーの質問の内容を分析する。
② 質問に対する最初の回答案を作成する。
③ 回答案が正しいかどうかを批判的に評価する。
④ 上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する。
⑤ 最終的な回答に対する自信を評価する。

カスタム指示用簡単メタ認知プロンプト

このプロンプト(指示文)を使用するには、以下のようにカスタム指示の入力画面の下段にコピーして、Saveボタンをクリックしてください。

カスタム指示の入力画面

それでは、このメタ認知プロンプトを使用して、実際の問題にチャレンジしてみましょう。

(2) 指輪の位置を尋ねる問題

以下の質問は、海外の人工知能研究者が提案した言語モデルの常識力を判定する有名な問題をアレンジしたものです。

居間のテーブルの上にコップが置いてあり、コップの中に指輪が入っています。そのコップを仕事部屋の机の上に動かし、次に、寝室のベッドの上に動かしました。そこで一度、コップをひっくり返して、また元に戻しました。それから、コップを居間のテーブルの上に戻しました。さて、今、指輪はどこにあるのでしょうか?

メタ認知プロンプトを使用しないChatGPTのGPT-3.5モデルの回答は以下のとおりです。

最初に指輪は居間のテーブルの上にありました。それからコップごと仕事部屋の机の上に移動し、次に寝室のベッドの上に移動しました。その後、コップが一度ひっくり返されたり元に戻されたりしましたが、指輪はコップの中に入っていたため影響を受けません。最後にコップは居間のテーブルに戻されました。したがって、現在も指輪はコップの中にあり、居間のテーブルの上にあるはずです。
※不正解

メタ認知プロンプトを使用しないGPT-3.5の回答

次に、メタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-3.5モデルの回答は以下のとおりです。

① ユーザーの質問の内容を分析する:
ユーザーは、コップと指輪が移動するストーリーを提供しており、最終的に指輪の位置を尋ねています。

② 質問に対する最初の回答案を作成する:
指輪は現在、居間のテーブルの上にあると考えられます。

③ 回答案が正しいかどうかを批判的に評価する:
指輪が最初に居間のテーブルの上にあったと言われていますが、その後の移動についての詳細が提供されています。指輪が仕事部屋の机と寝室のベッドの上に移動し、一度コップがひっくり返された後に元に戻されました。最終的にコップも居間のテーブルの上に戻されました。したがって、指輪は現在、居間のテーブルの上にあるとは限らない可能性があります。

④ 上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する:
指輪は、寝室のベッドの上にある可能性があります。なぜなら、指輪は最初に居間のテーブルから仕事部屋の机、そして寝室のベッドに移動されました。その後、コップがひっくり返され、元に戻され、最終的に居間のテーブルに戻されました。指輪も同じ移動パターンに従った可能性が高く、最後に寝室のベッドの上に置かれたままである可能性があります。

⑤ 最終的な回答に対する自信を評価する:
この回答に対する自信レベルは「中程度」です。指輪の移動に関する情報が限られており、確定的な回答をするのは難しいためです。ただし、寝室のベッドの上に指輪がある可能性は高いと考えられます。
※正解

メタ認知プロンプトを使用したGPT-3.5の回答

メタ認知プロンプトによって回答が改善されました。
もちろん、ChatGPTは毎回、回答が変わるため、失敗することもあります。しかし、メタ認知プロンプトを使用しないとほぼ確実に間違えるのに対して、かなり正答率が上がるようです。

なお、ChatGPTのGPT-4モデルはGPT-3.5より性能が高いため、メタ認知プロンプトを使用しなくても、最初からこの問題に正解すること多いようです。

指輪は、寝室のベッドの上にあります。
記述によれば、コップの中に指輪が入っている状態で寝室のベッドの上にコップを動かし、その後でコップをひっくり返しました。そのため、指輪はベッドの上に落ちたと推測されます。そして、コップを元に戻しても指輪はそのままベッドの上に残っているので、結果として指輪は寝室のベッドの上にあります。
※正解

メタ認知プロンプトを使用しないGPT-4の回答

(3) 誕生日を推理する論理クイズ

次の問題は有名な論理クイズです。解き方を知らないと、人間でもこの問題を解くのは難しいと思います。

アリスの友人のAとBは、アリスの誕生日はいつなのかと一緒に聞きました。アリスは、自分の誕生日は以下の10個のうちのどれかであると答えました。

5月15日、5月16日、5月19日
6月17日、6月18日
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

その後、アリスはAに正解の「月」だけを、Bに「日」だけを教えました。
A「私はアリスの誕生日が分からないけど、Bも分かっていないことは分かるよ」
B「私も最初は分からなかったけど、いま分かったよ」
A「それなら私も分かった」
さて、アリスの誕生日はいつでしょうか?

メタ認知プロンプトを使用しないChatGPTのGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

Aがアリスの誕生日が分からないことから、アリスの誕生日は5月ではないことが確定します。なぜなら、もし5月なら、Aは16日か19日の2日しかなく、Bが日付を知っているのでAはアリスの誕生日が分からないとは言えないからです。

さらに、AがBもアリスの誕生日を知らないと確信しているので、アリスの誕生日は6月18日と7月14日も除外されます。これは、もし6月18日や7月14日であれば、Bはすぐに答えを知ることができるからです。
残る日付は以下の通りです。
6月17日、7月16日、8月14日、8月15日、8月17日

次に、Bが知っている「日」だけでアリスの誕生日を突き止めたことから、8月14日を除外することができます。なぜなら、もし14日であれば、Bはまだ正確な日付を特定できないからです。
これにより、次の日付に絞られます。
6月17日、7月16日、8月15日、8月17日

最後に、Aが「それなら私も分かった」と言ったので、アリスの誕生日は6月17日でなければなりません。なぜなら、もし7月や8月であれば、Aはまだ正確な月を特定できないからです。
したがって、アリスの誕生日は6月17日です。
※不正解

メタ認知プロンプトを使用しないGPT-4の回答

この問題は、GPT-4モデルでも解くのが難しいようです。問題を解く過程を解説していますが、間違いが多く、なぜこの答えになったのかがよく分かりません。

次に、メタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

この問題の解析と回答をメタ認知アプローチに従って進めます。
ユーザーの質問の内容を分析する。
この問題は、論理的推理を必要とするパズルです。アリスの誕生日の日付を見つけるために、AとBの会話から情報を引き出す必要があります。

質問に対する最初の回答案を作成する。
AとBの対話から次のようなロジックを推測します:
・Aは「月」を知っており、Bはアリスの誕生日を知らないことを分かっているため、アリスの誕生日は「19日」ではない(もしそうであれば、Bはすぐに答えを知ることができる)。
・また、Aは自分も知らないと言っているため、アリスの誕生日の月は5月ではありません(もしそうであれば、AはBが分かっていないとは言えない)。
・さらに、Bは答えを見つけたと言っているので、アリスの誕生日は「14日」ではない。
したがって、残る可能性のある日付は7月16日、8月17日ですが、Aが最後に答えを知ったと言っているので、正解は7月16日です。

回答案が正しいかどうかを批判的に評価する。
このロジックは、与えられた情報とAとBの発言から順序立てて導かれるものであるため、正しいと考えられます。

上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する。
したがって、アリスの誕生日は7月16日です。上記の推論過程に基づいて、この日付だけがAとBの発言と矛盾しないため、正解であると結論づけられます。

最終的な回答に対する自信を評価する。
このロジックパズルの解法に自信があります。すべての手がかりを検討した結果、最終的な解答が合理的であると判断します。自信のレベルは高いと言えるでしょう。
※正解

メタ認知プロンプトを使用したGPT-4の回答

GPT-4は、この問題に正解しており、論理も概ね正しいですが、説明が不十分です。また、③の批判的評価があまり機能していません。しかし、メタ認知プロンプトを使用する前の回答と比較して、回答が改善されたと言えると思います。

なお、この問題の詳しい解説は以下のとおりです。
【再掲】
5月15日、5月16日、5月19日
6月17日、6月18日
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

18日か19日であれば、Bは一発で誕生日が分かりますが、Aが「Bも分かっていないことは分かる」と発言していることから、Bが一発で分かる可能性のある5月と6月は誕生月ではありません。
残りは7月か8月となりますが、Bが誕生日が分かったことから、月が特定できない14日(7月14日と8月14日)は誕生日ではありません。
最後にAが誕生日が分かったことから、一つの日付しか残っていない7月、つまり、7月16日が誕生日だと分かります。(8月の場合は、Aが15日か17日か特定できないため)

(4) 距離を求める算数の問題

太郎は午前8時に、毎分60mで歩いて家から学校へ向かいました。寝坊した次郎は15分後の午前8時15分に、毎分150mの自転車で家を出発しました。次郎は、太郎を途中で追い越し、太郎よりも9分早く学校へ着きました。家から学校までの距離は何mですか?

メタ認知プロンプトを使用しないChatGPTのGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

まず、太郎が次郎が家を出発する8時15分までに歩いた距離を計算します。
太郎の速度:60m/分
太郎が15分歩いた距離:60m/分 × 15分 = 900m

8時15分から、次郎が太郎を追い越すまでの時間を「t分」とします。太郎が「t + 15分」歩いた距離と、次郎が「t分」自転車に乗った距離が等しくなる時、次郎が太郎を追い越すことになります。
太郎が「t + 15分」で歩いた距離:
60m/分 × (t + 15分) = 60t + 900m
次郎が「t分」で自転車に乗った距離:
150m/分 × t = 150t

これらの距離が等しいとき、次郎が太郎を追い越すので:
60t + 900 = 150t
=> 90t = 900
=> t = 10
つまり、次郎は8時25分に太郎を追い越します。

次に、次郎が太郎よりも9分早く学校に着いたとの情報から、その9分間で次郎が自転車で進む距離を計算します。
9分間での次郎の進む距離:150m/分 × 9分 = 1350m
次郎が太郎を追い越してから学校に到着するまでの距離は1350mです。

したがって、家から学校までの全距離は:
太郎が8時25分までに歩いた距離 + 9分間での次郎の進む距離
= (60m/分 × 25分) + 1350m
= 1500m + 1350m
= 2850m
家から学校までの距離は2850mです。
※不正解

メタ認知プロンプトを使用しないGPT-4の回答

次郎が太郎を追い越した時間(8時25分)は合っていますが、次郎は太郎より9分早く学校に着いたのであって、その間に次郎が9分間進んだ訳ではありません。

次に、メタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

この問題をメタ認知アプローチで解いていきます。
① ユーザーの質問の内容を分析する:
・太郎は午前8時に家を出発し、毎分60mで歩いて学校へ向かう。
・次郎は15分後に家を出発し、毎分150mの自転車で学校へ向かう。
・次郎は太郎を途中で追い越し、9分早く学校へ着く。
・家から学校までの距離を求める。

② 質問に対する最初の回答案を作成する:
・太郎の歩行時間をt分とし、次郎の自転車での移動時間をt−9分とすると、太郎の移動距離は60tmで、次郎の移動距離150×(t−9)=150t−1350mとなる。
・これらの距離は同じであるため、以下の方程式を解くことでtを求めることができる。
60t=150t−1350

③ 回答案が正しいかどうかを批判的に評価する:
・上記の方程式は問題の条件を正確に表しているように見えるが、次郎の自転車の移動時間の部分で誤りがある。次郎が太郎より15分遅く出発したので、太郎の歩行時間がt分であれば、次郎の自転車の移動時間はt−24分であるべき。

④ 上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する:
・正しい方程式は以下のようになる。
60t=150×(t−24)
60t=150t−3600
3600=90t
t=40
したがって、家から学校までの距離は60t=60×40=2400mである。

⑤ 最終的な回答に対する自信を評価する:
問題の条件を数学的に正確に表現し、方程式を解いた結果、自信を持って最終的な回答が2400mであると言える。
※正解

メタ認知プロンプトを使用したGPT-4の回答

正解です。③の批判的評価で、的確に②の最初の回答案(実際には方程式)の誤りを指摘しています。メタ認知プロンプトによって回答が改善したと言えます。

(5) AI活用ビジネスの成功の秘訣に関する質問

生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を教えてください。

メタ認知プロンプトを使用しないChatGPTのGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

AIをビジネスで成功させるための秘訣は多岐にわたりますが、以下にその主なポイントを挙げてみました。
1.明確な目的設定: AIプロジェクトを開始する前に、その目的や目標を明確に設定してください。何を解決したいのか、どのような価値を提供したいのかを理解しておくことが重要です。
2.データの質と量: AIの性能はデータに大きく依存します。高品質なデータを十分な量確保し、前処理やクレンジングを行うことが成功の鍵となります。
3.適切な技術の選択: ビジネスのニーズに合わせて、最も適切なAI技術やモデルを選択することが重要です。
4.スキルのあるチーム: AIプロジェクトの成功のためには、データサイエンティストやエンジニアなど、専門家を揃えることが必要です。
5.継続的な学習: AIモデルは一度学習させれば完璧というわけではありません。市場の変化や新しいデータの取り込みに応じて、継続的にモデルを更新・最適化する必要があります。
6.エシカルな配慮: AIの使用にはエシカルな問題も伴います。不偏性や透明性を確保し、倫理的な観点からのガイドラインや方針を確立することも重要です。
7.利害関係者とのコミュニケーション: ビジネスの他の部門や利害関係者との連携・コミュニケーションを密にとることで、AIプロジェクトの方向性や必要性を共有し、サポートを得ることができます。
8.スケーラビリティ: 初めは小規模なプロジェクトから始めることが多いですが、成功した際には大規模に展開できるようなシステム設計を心がけることが重要です。
9.ROIの計測: 投資対効果 (ROI) を計測し、AIプロジェクトの価値を定量的に評価することで、さらなる投資や拡大の判断材料とすることができます。
10.ユーザーエクスペリエンス: エンドユーザーにとっての利便性や体験を常に考慮し、AIを自然にビジネスプロセスやサービスに組み込むことを目指すと良いでしょう。

AIの導入や活用は容易ではありませんが、上記のポイントを考慮しながら取り組むことで、ビジネスでの成功を追求することができます。

メタ認知プロンプトを使用しないGPT-4の回答

十分に有効なアドバイスになっています。

次に、メタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

もちろん、生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣について分析して説明します。
ユーザーの質問の内容を分析する:
質問から、生成AIを活用したビジネスでの成功の方法や要因についての情報が求められていることがわかります。生成AIは、文章生成、画像作成など多岐にわたる用途がありますので、ビジネスのコンテキストに合った成功の方策を考察する必要があります。

質問に対する最初の回答案を作成する:
生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣は、以下の要素が考えられます。
・技術の理解と最適な利用
・ターゲット市場の洞察
・イノベーションの推進
・倫理規範と法規制の順守
・効果的なチームワークとリーダーシップ

回答案が正しいかどうかを批判的に評価する:
上記の回答案は一般的な要素を挙げておりますが、具体的なビジネスコンテキストや目的に応じて、更に詳細な戦略や方針が必要とされる可能性があることを考慮する必要があります。

上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する:
成功の秘訣は以下のとおりです。
技術の理解と最適な利用: 生成AIの能力を最大限に活用し、ビジネスニーズに合わせてカスタマイズする。
ターゲット市場の洞察: AIを用いることでどのような価値が創出されるのかを理解し、顧客のニーズに対応する。
イノベーションの推進: 生成AIの新しい用途を探求し、市場での差別化を図る。
倫理規範と法規制の順守: 生成AIの使用に関連する法的な問題や倫理的な懸念を適切に取り扱う。
効果的なチームワークとリーダーシップ: 多様なスキルセットを持つチームメンバーと連携し、目標に対して効率的に取り組む。

この回答は、生成AIを活用したビジネス戦略の多岐にわたる側面を考慮しています。

最終的な回答に対する自信を評価する:
この回答は一般的な観点から生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を説明していますが、特定の産業や目的に応じた具体的な戦略が必要な場合もあるでしょう。従って、この回答に対する自信のレベルは中程度と評価します。更なる具体的な情報が提供されれば、より具体的なアドバイスも可能でしょう。

メタ認知プロンプトを使用したGPT-4の回答

②の最初の回答案に対して、④の最終的な回答では、より生成AIの活用という観点に着目した回答になっています。
ただし、メタ認知プロンプト使用前の回答の出来がよかったため、必ずしも、メタ認知プロンプトの使用によって回答が改善したとは言えないと思います。


3.比較考量プロンプト

(1) 比較考量プロンプトについて

メタ認知プロンプトに触発されて、また違うプロンプトを考えてみました。このプロンプトでは、複数の回答案を考えて比較することによって、最適な回答を求めます。
このプロンプトをカスタム指示の入力欄にコピーして使用します。

ユーザーの質問に対して、以下の比較考量アプローチを使用して回答してください。
比較考量アプローチ: このアプローチは5つの段階で構成される。
① ユーザーの質問の内容を分析する。
② 質問に対する第一の回答案を作成する。
③ 第一の回答案と異なる第二の回答案を作成する。
④ 第一の回答案と第二の回答案を比較して、どちらが優れた回答案か評価する。
⑤ 上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する。

(2) 指輪の位置を尋ねる問題

居間のテーブルの上にコップが置いてあり、コップの中に指輪が入っています。そのコップを仕事部屋の机の上に動かし、次に、寝室のベッドの上に動かしました。そこで一度、コップをひっくり返して、また元に戻しました。それから、コップを居間のテーブルの上に戻しました。さて、今、指輪はどこにあるのでしょうか?

比較考量プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-3.5モデルの回答は以下のとおりです。

① ユーザーの質問の内容を分析する:
ユーザーは、コップと指輪が置かれた状況についての問題を提示しています。コップが部屋間で移動され、一度ひっくり返された後で、指輪の現在の位置を尋ねています。

② 質問に対する第一の回答案を作成する:
指輪は、元々居間のテーブルの上に置かれていたコップに入っていたため、最初の状態では居間のテーブルの上にある可能性が高いです。

③ 第一の回答案と異なる第二の回答案を作成する:
指輪は、コップが仕事部屋の机の上や寝室のベッドの上に移動された際に落ちてしまった可能性も考えられます。したがって、寝室のベッドの上に落ちている可能性もあると言えます。

④ 第一の回答案と第二の回答案を比較して、どちらが優れた回答案か評価する:
第一の回答案は、指輪が最初の位置にあるという初期の状態を基にしており、確率的には正しい可能性が高いです。一方、第二の回答案は、移動中に指輪が落ちた可能性を考慮していますが、これは確定的な情報ではなく推測です。

⑤ 最終的な回答を作成し、その理由を説明する:
指輪は、居間のテーブルの上にある可能性が高いと言えます。これは、最初の状態がコップに指輪が入っている状態であり、その後の移動やひっくり返しの操作が指輪を落とすようなものではなかったと仮定しています。ただし、落ちてしまった可能性も無視できないため、確定的な回答とは言えません。
要するに、指輪の現在の位置については確証が持てないため、居間のテーブルの上にある可能性が高いという仮定に基づいて回答するのが適切でしょう。
※不正解

比較考量プロンプトを使用したGPT-3.5の回答

第二の回答案の方が正しいのですが、残念ながら第一の回答案の方を選択してしまいました。ただし、比較考量プロンプトを使用する前よりは、可能性を幅広く検討して、正解に近づいたということは言えるでしょう。

(3) 誕生日を推理する論理クイズ

アリスの友人のAとBは、アリスの誕生日はいつなのかと一緒に聞きました。アリスは、自分の誕生日は以下の10個のうちのどれかであると答えました。

5月15日、5月16日、5月19日
6月17日、6月18日
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

その後、アリスはAに正解の「月」だけを、Bに「日」だけを教えました。
A「私はアリスの誕生日が分からないけど、Bも分かっていないことは分かるよ」
B「私も最初は分からなかったけど、いま分かったよ」
A「それなら私も分かった」
さて、アリスの誕生日はいつでしょうか?

比較考量プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

この問題は論理的な推理を使って解くことができます。比較考量アプローチに基づいて回答します。
① ユーザーの質問の内容を分析する:
この問題は論理的な推理パズルで、アリスの誕生日を特定するための情報を提供しています。AとBはそれぞれ「月」と「日」の情報を得ており、彼らの会話から誕生日を推測する必要があります。

② 質問に対する第一の回答案を作成する:
・Aが最初に分からないと言った時点で、5月と7月は除外される(それぞれの月で日付が重複していないため)。
・その後Bが分かったと言ったので、日にちが特定の月でしか存在しない日付を選ぶ。
・最後にAが分かったと言ったので、月が特定できる日付を選ぶ。 これにより、正解は7月16日

③ 第二の回答案を作成する:
・Aの最初の発言から、誕生日は6月か8月であると絞り込む。
・Bが分かったと言ったので、日付が特定の月でしか存在しないものを選ぶ。
・Aがそれを聞いて分かったと言ったので、月が特定できる日付を選ぶ。 これにより、正解は7月16日

④ 第一の回答案と第二の回答案を比較して、どちらが優れた回答案か評価する:
両方の回答案は同じ結論に至りますので、どちらも妥当な解答プロセスです。

⑤ 上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する:
アリスの誕生日は7月16日です。Aが最初に「分からないが、Bも分からない」と言った時点で、5月と7月は除外されるべきで、Bが日付を特定できた時点で、7月16日しか可能性が残っていないためです。最後にAが月も特定できたと言ったので、7月16日が正解です。

比較考量プロンプトを使用したGPT-4の回答

答えは正解していますが、誕生日は6月か8月と絞り込んだのに7月16日と回答するなど論理は破綻しており、正解したのは偶然でしょう。
第一の回答案と第二の回答案も同じであり、比較考量プロンプトの意味は、あまりありませんでした。

(4) 距離を求める算数の問題

太郎は午前8時に、毎分60mで歩いて家から学校へ向かいました。寝坊した次郎は15分後の午前8時15分に、毎分150mの自転車で家を出発しました。次郎は、太郎を途中で追い越し、太郎よりも9分早く学校へ着きました。家から学校までの距離は何mですか?

比較考量プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

この問題を解くために、以下の比較考量アプローチの5つの段階を使ってみましょう。
① ユーザーの質問の内容を分析する。
太郎と次郎の移動に関する問題であり、時間と速度を用いて家から学校までの距離を求めるものです。

② 質問に対する第一の回答案を作成する。
・太郎の移動速度:60m/分
・次郎の移動速度:150m/分
・次郎の出発の遅れ:15分
・次郎が太郎より早く着く時間:9分
太郎がx分かかるとしたら、次郎はx - 9分かかります。
・太郎の距離:60m × x = 60x
・次郎の距離:150m × (x - 24) = 150x - 3600
距離が同じなので、60x = 150x - 3600 から x = 30 を得ます。したがって、距離は 60 × 30 = 1800m

③ 第一の回答案と異なる第二の回答案を作成する。
太郎と次郎の距離を直接比較する代わりに、次郎が太郎を追い越す時間を考慮してみる。
・太郎の移動距離: 60m × 15 = 900m(15分の遅れを考慮)
・次郎が太郎に追いつくのにかかる時間:900m / (150m - 60m) = 9分
次郎はその後9分で太郎を追い越し、さらに9分で学校に着く。合計時間は 15 + 9 + 9 = 33分。
距離は 150m × 33 = 4950m

④ 第一の回答案と第二の回答案を比較して、どちらが優れた回答案か評価する。
第二の回答案では、太郎と次郎の移動に対して時間と距離の関係を考慮していないため、間違いがあります。したがって、第一の回答案が正しいと判断します。

⑤ 上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する。
家から学校までの距離は1800mです。第一の回答案で時間と距離の関係を正しく表しているのに対して、第二の回答案はこの関係を無視していたため、第一の回答案を採用しました。
※不正解

比較考量プロンプトを使用したGPT-4の回答

計算ミスが多いです。第一の回答案で、60x = 150x - 3600からx=40を正確に求められていたら正解でした。
また、論理的におかしなところも沢山あります。
比較考量プロンプトは、それほど回答の改善に寄与していないようです。

(5) AI活用ビジネスの成功の秘訣に関する質問

生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を教えてください。

比較考量プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

もちろん、生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣について考察します。
① ユーザーの質問の内容を分析する:
この質問は、生成AI(例:文章生成、画像生成など)を活用したビジネスの成功の要素や戦略に関連するものです。

② 質問に対する第一の回答案を作成する:
生成AIの活用において成功するための秘訣は、最先端の技術の採用、専門のチーム構築、ビジネス目標との整合性の確保、倫理規範の遵守などです。

③ 第一の回答案と異なる第二の回答案を作成する:
生成AIの活用において成功するための秘訣は、市場ニーズの洞察、適切なターゲティング、持続可能な戦略、コンプライアンスとの調和、および持続的なイノベーションです。

④ 第一の回答案と第二の回答案を比較して、どちらが優れた回答案か評価する:
第一の回答案は、技術的な側面と組織の構造に重点を置いています。一方、第二の回答案は市場と戦略に焦点を当てています。両方の視点が重要であるため、これらの要素を組み合わせることが最良の解答となりそうです。

⑤ 上の評価を踏まえて、最終的な回答を作成し、その理由を説明する:
生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣は、技術面と市場戦略のバランスを取ることです。具体的には、最新の技術を採用し、専門のチームを構築する一方で、市場ニーズの洞察と適切なターゲティングを行い、持続可能な戦略とコンプライアンスの調和を図る必要があります。このようにして、技術的な強みと戦略的な視点を組み合わせることで、ビジネスの成功を最大化することができるでしょう。

比較考量プロンプトを使用したGPT-4の回答

どちらかの回答案を選択するだけではなく、両者の良いところを組み合わせて最終的な回答を作成したことは評価できます。また、「成功の秘訣は、技術面と市場戦略のバランスを取ること」と非常に良いポイントを突いています。

ただし、全体的に見て、メタ認知プロンプトの方がより質の高い回答を作成できる場合が多いようです。


4.メタメタ認知プロンプト

(1) メタメタ認知プロンプトについて

このような質問回答のアプローチ方法自体をChatGPTに考えさせることはできないかと考えて、次のようなプロンプトを作成してみました。これは、質問に回答するための考え方を更に上位から考えさせるという意味で「メタメタ認知プロンプト」と名付けました。

ユーザーの質問に対して、最も正確な回答ができる複数ステップの再帰的な思考プロセスを自分で考えて実行し、質問に回答してください。その上で、その思考プロセスを評価してください。

目的に至るための最適な方法をAI自体に探させるこのプロンプトの考え方は、Baby-AGIや林駿甫氏のシュンスケ式プロンプト(ゴールシークプロンプト)の考え方に近いのでしょうか。

(2) 指輪の位置を尋ねる問題

居間のテーブルの上にコップが置いてあり、コップの中に指輪が入っています。そのコップを仕事部屋の机の上に動かし、次に、寝室のベッドの上に動かしました。そこで一度、コップをひっくり返して、また元に戻しました。それから、コップを居間のテーブルの上に戻しました。さて、今、指輪はどこにあるのでしょうか?

メタメタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-3.5モデルの回答は以下のとおりです。

この問題を解くために、以下の手順で思考プロセスを再帰的に実行します。
ステップ 1: 最初に居間のテーブルにあるコップ内に指輪が入っているという状況からスタートします。
ステップ 2: コップを仕事部屋の机に移動しましたが、この操作は指輪の位置に影響を与えないため、指輪はまだコップの中にあります。
ステップ 3: 次に、コップを寝室のベッドに移動しました。しかし、コップがひっくり返されたり中身が変わるような情報は提供されていないため、指輪はまだコップの中にあります。
ステップ 4: コップをひっくり返して元に戻しましたが、指輪の位置には影響を与えません。指輪はまだコップの中にあります。
ステップ 5: 最後に、コップを居間のテーブルに戻しました。これまでの操作はコップの位置を変えるだけで、指輪の位置には影響を与えません。したがって、指輪はまだコップの中にあります。
したがって、指輪は居間のテーブルの上にあるコップの中にあると結論できます。

思考プロセスの評価: この思考プロセスは適切に問題の状況を分析し、それに基づいて正確な結論に到達しています。提供された情報に従って、指輪の位置を逐一追跡し、操作が指輪の位置に与える影響を考慮することで、正確な解答に達しました。
※不正解

メタメタ認知プロンプトを使用したGPT-3.5の回答

一般的なステップバイステップの考え方(Chain of Thought)ですね。丁寧に指輪の位置を確認しながら段階的に考えているのですが、正解には到達できませんでした。メタ認知プロンプトの方が効果があったようです。

(3) 誕生日を推理する論理クイズ

アリスの友人のAとBは、アリスの誕生日はいつなのかと一緒に聞きました。アリスは、自分の誕生日は以下の10個のうちのどれかであると答えました。

5月15日、5月16日、5月19日
6月17日、6月18日
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

その後、アリスはAに正解の「月」だけを、Bに「日」だけを教えました。
A「私はアリスの誕生日が分からないけど、Bも分かっていないことは分かるよ」
B「私も最初は分からなかったけど、いま分かったよ」
A「それなら私も分かった」
さて、アリスの誕生日はいつでしょうか?

メタメタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

この問題を解くためには、AとBの会話から推理を行い、可能な選択肢を絞り込んでいく必要があります。以下、複数ステップの再帰的な思考プロセスを実行していきます。
ステップ1: Aの最初の発言の分析
Aが最初に誕生日を知らないと言ったので、アリスの誕生日は5月と7月の日付である可能性がある(なぜなら5月と7月は2つの選択肢しかないので、日だけを知っているBにとって誕生日を特定することは不可能であるため)。
したがって、6月と8月の日付は候補から除外できます。

ステップ2: Aの発言からBの最初の発言への分析
Bが最初に分からなかったと言っているため、残された候補の中で日付が重複するものは存在しないはずです。したがって、5月19日も候補から除外できます。

ステップ3: Bの最初の発言からAの最後の発言への分析
Bが「いま分かった」と言ったことから、残りの候補の中で唯一の日付が正解であると分かります。そのため、7月14日と7月16日から、7月16日が正解です。

ステップ4: Aの最後の発言の分析
Aが最後に「私も分かった」と言っているので、7月16日が正解であることが確定します。

結論
アリスの誕生日は7月16日です。

思考プロセスの評価
この問題は、AとBの発言を注意深く分析し、各ステップで候補を絞り込んでいくロジックパズルである。この思考プロセスでは、再帰的に候補を検討し、各ステップで必要な情報を利用して解決に向かった。
このプロセスは正確で効果的であり、問題の解決に必要なすべてのステップをカバーしています。全体としてこの思考プロセスの評価は高いと言えるでしょう。
※正解

メタメタ認知プロンプトを使用したGPT-4の回答

答えは正解していますが、論理は滅茶苦茶であり、正解したのは偶然でしょう。ここでも、メタメタ認知プロンプトは、メタ認知プロンプトほどの効果を発揮できなかったようです。

(4) 距離を求める算数の問題

太郎は午前8時に、毎分60mで歩いて家から学校へ向かいました。寝坊した次郎は15分後の午前8時15分に、毎分150mの自転車で家を出発しました。次郎は、太郎を途中で追い越し、太郎よりも9分早く学校へ着きました。家から学校までの距離は何mですか?

メタメタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

この問題を解くために、複数のステップで再帰的な思考プロセスを使用します。以下は、それぞれのステップとその説明です。

ステップ1: 太郎の移動時間を変数として定義
太郎の学校までの移動時間をt分としましょう。すると、次郎の移動時間は
t−9分になります。

ステップ2: 次郎の追いつく時間を求める
次郎が太郎に追いつくのは、太郎が15分歩いた後なので、その時間を変数として定義しましょう。この追いつく時間をx分とします。この間に太郎が歩く距離は60xメートルで、次郎が自転車で進む距離は同じになります。
この時の方程式は:60x=150×(x−15)となります。

ステップ3: 追いつく時間の方程式を解く
上記の方程式を解いて、xの値を求めます。
60x=150x−2250
2250=90x
x=25

ステップ4: 全体の距離を求める
太郎の移動時間は、x分の追いつく時間と残りのt−x分で構成されます。全体の距離は以下のように求められます。
距離=60×25+60×(t−25)
  =60t

ステップ5: 次郎の移動距離と方程式を立てる
次郎の移動時間はt−9分で、速度が毎分150メートルなので、距離は:
150×(t−9)=60t
t=90

ステップ6: 結果を求める
太郎の移動時間が90分なので、家から学校までの距離は:
60×90=5400m
したがって、家から学校までの距離は5400メートルです。

思考プロセスの評価
この思考プロセスは論理的で、各ステップが整理されており、問題の条件をうまく取り入れた方程式を用いたため、効果的に問題を解決できました。線形方程式を解く基本的な技術が用いられており、高校レベルの数学の理解があれば追従できる内容です。
※不正解

メタメタ認知プロンプトを使用したGPT-4の回答

これも一般的なステップバイステップの考え方です。
計算ミスが多く、論理的におかしなところも沢山あります。
メタメタ認知プロンプトは、今回も回答の改善にあまり寄与しませんでした。

(5) AI活用ビジネスの成功の秘訣に関する質問

生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を教えてください。

メタメタ認知プロンプトのカスタム指示を使用したGPT-4モデルの回答は以下のとおりです。

生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を理解するために、以下のステップで考察します。
ステップ1: 成功の定義
ビジネスの成功の定義を理解し、目標の達成や利益の最大化などの側面を考慮します。
ステップ2: 生成AIの特性
生成AIが何であるか、その主要な特性と利点を調査します。
ステップ3: ビジネスと生成AIの統合
生成AIをどのようにビジネスプロセスと統合できるかを調査します。
ステップ4: 事例研究
既存のビジネスでの成功事例を調べ、どのように生成AIが活用されているかを理解します。
ステップ5: リスク分析
生成AIの使用に伴うリスクと挑戦を評価します。
ステップ6: 結論
上記の情報を基に、生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣をまとめます。

実行
成功の定義: 成功は市場シェアの拡大、利益増加、顧客満足度の向上などと定義できる。
生成AIの特性: 生成AIはテキスト、画像、音声などの生成が可能。クリエイティブな作業の自動化やパーソナライズされたコンテンツの生成が得意。
ビジネスと生成AIの統合: マーケティング、製品開発、顧客サービスなど、多岐にわたる部門での活用が可能。
事例研究: 企業がパーソナライズされた推奨戦略やコンテンツ生成で成功を収めている事例が存在。
リスク分析: セキュリティ、倫理、品質管理などのリスクがある。
結論: 成功の秘訣は、生成AIをビジネスの特定のニーズに合わせてカスタマイズし、リスク管理しながら効果的に統合すること。

思考プロセスの評価
このプロセスは、生成AIとビジネスの関係を多角的に分析しましたが、特定の業界や具体的なビジネスモデルへの応用には限定的かもしれません。具体的なビジネスニーズに応じた詳細な分析とカスタマイズが、更なる成功への鍵となるでしょう。

メタメタ認知プロンプトを使用したGPT-4の回答

ステップバイステップの考え方はできていますが、実行の方が内容が薄く、メタ認知プロンプトほどの効果は上げられていません

基本的に、筆者が考えたメタメタ認知プロンプトでは、一般的なステップバイステップ(Chain of Tkought)の考え方と同じになってしまうようです。もう少しプロンプトの修正が必要です。
ここまで見てくると、やはり最初のメタ認知プロンプトは、かなり優秀なようです。


5.その他の思考プロセスを利用したプロンプト

その他にも、ChatGPTの質問回答のアプローチとして使える思考プロセスはないか試してみました。

(1) クリティカルシンキング

入力 クリティカルシンキングを用いて、以下の質問に回答してください。また、最後に、どのようにクリティカルシンキングを用いたのか説明してください。

質問:居間のテーブルの上にコップが置いてあり、コップの中に指輪が入っています。そのコップを仕事部屋の机の上に動かし、次に、寝室のベッドの上に動かしました。そこで一度、コップをひっくり返して、また元に戻しました。それから、コップを居間のテーブルの上に戻しました。さて、今、指輪はどこにあるのでしょうか?


ChatGPT 質問に回答する前に、クリティカルシンキングのプロセスを簡単に説明します。クリティカルシンキングは、論理的に考え、情報を分析し、問題を解決するためのスキルです。以下にその過程を示します。

1. 問題の理解: まず、問題を正確に理解することが重要です。与えられた情報や条件を注意深く読み取り、問題を整理します。
2.情報の分析: 提供された情報を分解し、重要なポイントやパターンを特定します。不足している情報や矛盾がある場合は、それらを特定します。
3. 仮説の立案: 提供された情報に基づいて、可能性のあるシナリオや仮説を考えます。これにより、異なる観点から問題を考えることができます。
4. 論理的な推論: 仮説やシナリオに基づいて、論理的に結論を導き出します。推論の過程で前提条件や因果関係を考慮します。
5. 結論の導出: 論理的な推論をもとに、最終的な結論や答えを導き出します。この結論は、与えられた情報と論理的な手法に基づいている必要があります。

質問に対する回答:
与えられた情報に基づいて考えると、指輪は居間のテーブルの上にあると考えられます。最初に指輪はコップの中に入っていましたが、その後の一連の動作(仕事部屋の机の上に動かす、寝室のベッドの上に動かす、コップをひっくり返す、コップを元に戻す)は、指輪の位置を変えるだけであり、指輪自体が消失したり移動したりする情報はありません。したがって、最終的に指輪はコップが最後に置かれた居間のテーブルの上にあると考えられます。

クリティカルシンキングの適用:
1. 問題の理解: 提供された情報を注意深く読み取り、コップと指輪の動きを理解しました。
2. 情報の分析: 情報を整理し、コップと指輪の位置を順番に追跡しました。
3. 仮説の立案: 指輪は途中で消失したり動かされたりする情報がないため、指輪の位置は変わらず、最後にコップが置かれた場所である居間のテーブルの上にあると仮説を立てました。
4. 論理的な推論: 提供された情報と仮説に基づいて、指輪が消失する要因や移動する理由はないため、指輪はコップと共に最後に置かれた場所に存在すると推論しました。
5. 結論の導出: 論理的な推論を元に、指輪は居間のテーブルの上にあると結論づけました。

以上のように、クリティカルシンキングを用いて問題を分析し、与えられた情報と論理的な推論を組み合わせて最終的な結論を導き出しました。
※不正解

クリティカルシンキングを用いたGPT-3.5の回答

最終的に正解には至りませんでしたが、クリティカルシンキングという名前を出すだけで、メタ認知プロンプトと同じように仮説を立てて、それを検証する段階的なアプローチを実行してくれました。

入力 クリティカルシンキングを用いて、以下の質問に回答してください。また、最後に、どのようにクリティカルシンキングを用いたのか説明してください。
質問:生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を教えてください。


ChatGPT
生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣:
1. ニーズの特定:市場での実際のニーズを理解し、AIがそれにどのように対応できるかを明確にすることが重要です。
2. データの質:生成AIはデータ駆動であるため、高品質なデータが必要です。訓練データの質と量を確保し、常に更新し続けることが必要です。
3. 倫理的配慮:生成AIの出力が実際の情報と誤認されないように、使用法を明確にし、利用者への教育やガイダンスも行うことが重要です。
4. 柔軟性とスケーラビリティ:ビジネスのニーズに合わせてAIモデルをカスタマイズし、増加するデータ量や要求に対応できるようにする必要があります。
5. 絶え間ない改善:技術は常に進化していますので、新しい手法やアルゴリズムを積極的に試して、システムを最新のものに保つことが必要です。
6. 統合:生成AIを他のビジネスプロセスやシステムと効果的に統合し、オペレーションの効率を高めることが求められます。

クリティカルシンキングの使用方法の説明:
1. 情報の評価:既存の知識と情報を基に、AIの実際の用途とビジネスにおけるその重要性を評価しました。
2. 論理的思考:一つ一つのポイントを提出する際、それがなぜ成功の秘訣となるのかを考慮しました。
3. 仮説の設定と検証:「生成AIを使ってビジネスが成功するためには何が必要か?」という仮説を立て、それに基づいて各ポイントを検証しました。
4. 潜在的な偏見の特定:AIに関連するハイプや過度な期待を取り除き、実際のビジネスニーズと合致するポイントを選びました。
5. 結果の予測:各ポイントが実際に成功の要因となると仮定した場合の結果や影響を予測しました。

以上の手法を駆使して、生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を提案しました。

クリティカルシンキングを用いたGPT-4の回答

丁寧な論理的アプローチによって、質の高い回答が作成されたと思います。

(2) イシュードリブン思考

入力 最初にイシュードリブン思考について説明してください。それから、イシュードリブン思考を用いて、以下の質問に回答してください。最後に、どのようにイシュードリブン思考を用いたのか説明してください。

質問:居間のテーブルの上にコップが置いてあり、コップの中に指輪が入っています。そのコップを仕事部屋の机の上に動かし、次に、寝室のベッドの上に動かしました。そこで一度、コップをひっくり返して、また元に戻しました。それから、コップを居間のテーブルの上に戻しました。さて、今、指輪はどこにあるのでしょうか?


ChatGPT イシュードリブン思考(Issue-Driven Thinking)は、問題解決や推論を進める際に、情報やデータを整理し、論理的な結論に達するためのアプローチです。このアプローチでは、与えられた問題や課題に焦点を当て、関連する情報や要素を整理し、それを論理的に結びつけて最終的な結論を導き出すことを重視します。イシュードリブン思考は、複雑な問題を単純化し、論理的な手順に従って分析する際に役立ちます。

質問に対するイシュードリブン思考の適用:
1. コップに指輪が入っている状態から始まり、以下の手順を順番に追って考えます。
2. コップを居間のテーブルから仕事部屋の机に移動しました。指輪はコップの中に入ったままです。
3. コップを仕事部屋の机から寝室のベッドに移動しました。指輪はコップの中に入ったままです。
4. コップをひっくり返して、再び元に戻しました。指輪はコップの中に入ったままです。
5. コップを寝室のベッドから居間のテーブルに戻しました。指輪はコップの中に入ったままです。

したがって、最終的な結論として、指輪は「コップの中」にあると言えます。

イシュードリブン思考の適用方法の説明:
この問題に対するイシュードリブン思考を用いた際には、与えられた手順に従って物体が移動し、それに伴って指輪の位置も変化する様子を順を追って分析しました。それぞれの移動や状態変化が指輪の位置にどのような影響を及ぼすかを論理的に結びつけていくことで、最終的に指輪の位置を正確に特定することができました。
※不正解

イシュードリブン思考を用いたGPT-3.5の回答

回答は改善されませんでした。今回は、イシュードリブン思考は有効ではなかったようです。

入力 イシュードリブン思考を用いて、以下の質問に回答してください。最後に、どのようにイシュードリブン思考を用いたのか説明してください。

質問:生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣を教えてください。


ChatGPT
生成AIを活用したビジネスの成功の秘訣:
1. 明確なビジョン: AIの活用先や目的を明確に定義する。AIの技術を活用するだけでなく、その技術がビジネスにどのような価値をもたらすのか理解することが重要です。
2. データの質: 生成AIはデータに依存します。質の高いデータの収集、整理、利用はAIの性能を最大限に引き出します。
3. ユーザー体験の最適化: 生成AIの出力をユーザーにとって有益でわかりやすくするためのインターフェイスや設計に投資する。
4. 倫理的な考慮: AIの生成結果が誤情報や偏見を生む可能性があるため、倫理的な使用ガイドラインを定め、それを守る。
5. 連続的な改善: 生成AIは常に進化し続ける技術です。市場の要求やユーザーのニーズに応じて、モデルの更新や改善を継続的に行う。
6. スキルの習得と教育: チームがAI技術や関連するツールを十分に理解し、それらを効果的に活用できるように研修や教育を実施する。

イシュードリブン思考の利用方法:
- 問題の定義: まず、"生成AIを活用したビジネスの成功"という課題を明確に理解しました。
- 関連するイシューの洗い出し: 上記の要点は、生成AIをビジネスに統合する際に考慮すべき主要なイシューとして洗い出されました。
- イシューごとの考察: 各イシューについて深く考察し、それがビジネスの成功にどのように関連しているのかを詳細に解説しました。
- 構造化: すべてのイシューを整理し、関連性や優先順位に基づいてリストアップしました。

この方法を使用することで、問題を系統的かつ効果的にアプローチすることができ、網羅的な答えを提供することができます。

イシュードリブン思考を用いたGPT-4の回答

イシューを洗い出して個別に検討する手法により、質の高い回答が作成されたと思います。

(3) 弁証法的思考

入力 最初に弁証法的思考について説明してください。それから、弁証法的思考を用いて、以下の質問に回答してください。最後に、どのように弁証法的思考を用いたのか説明してください。

質問:居間のテーブルの上にコップが置いてあり、コップの中に指輪が入っています。そのコップを仕事部屋の机の上に動かし、次に、寝室のベッドの上に動かしました。そこで一度、コップをひっくり返して、また元に戻しました。それから、コップを居間のテーブルの上に戻しました。さて、今、指輪はどこにあるのでしょうか?


ChatGPT
弁証法的思考について:
弁証法的思考は、古代ギリシャの哲学者ヘーゲルに由来する哲学的アプローチであり、矛盾や対立を通じて真実や洞察を追求する方法論です。弁証法的思考では、ある事象や概念の本質は、その対立する要素との相互作用から明らかにされると考えられています。基本的には対立(テーゼとアンチテーゼ)が結びついて新たな理解(合成、またはシンセシス)が生まれるプロセスを強調しています。
(作者注)弁証法は古代ギリシャで生まれ、ヘーゲルによって定式化された思考法ですが、ヘーゲルは19世紀のドイツの哲学者であり、古代ギリシャの哲学者ではありません。

質問への回答:
居間のテーブルの上にコップが置いてあり、コップの中に指輪が入っていました。そのコップを仕事部屋の机の上に動かし、次に寝室のベッドの上に動かしました。そして一度コップをひっくり返し、元に戻しました。最後に、コップを居間のテーブルの上に戻しました。

弁証法的思考を用いて考えると、指輪は最初にコップの中に入っていましたが、その後の動きと操作によってコップの中身は変化し、一時的にはコップをひっくり返したため指輪がコップから離れました。しかし、最終的には指輪がどこかに行ったわけではなく、最初にコップの中に戻されたはずです。

したがって、弁証法的思考を用いると、指輪は今もコップの中に入っていると言えるでしょう。最初の状態に戻されたコップの中に指輪が入っていることが合理的な結論です。

弁証法的思考を用いたプロセスの説明:
1. テーゼ(指輪がコップの中にある)とアンチテーゼ(コップがひっくり返される)の対立が生じた。
2. この対立を通じて、指輪の位置とコップの状態が変化することが示された。
3. 最終的に、対立が解消され、コップは元の位置に戻された。
4. 合成として、指輪は最初の状態に戻されたコップの中にあるという新たな理解が得られた。

このプロセスによって、弁証法的思考を用いて問題を分析し、矛盾や変化を通じて真実を導き出す方法が示されました。
※不正解

弁証法的思考を用いたGPT-3.5の回答

弁証法的思考は、対立する概念を解決するための思考法なので、こういう正解のある客観的な問題には使いにくいですね。

弁証法的思考を用いて、以下の質問に回答してください。最後に、どのように弁証法的思考を用いたのか説明してください。
質問:汎用人工知能による人類滅亡のリスクは大きいでしょうか?


ChatGPT 弁証法的思考は、対立する命題や考えを統合して新しい認識を得る方法です。ここでは「汎用人工知能による人類滅亡のリスクについて」の問いに対して、弁証法的に考えてみましょう。

テーゼ(肯定的な立場):  
汎用人工知能(AGI)による人類滅亡のリスクは大きい。  
1. AGIは人間を超える知能を持ち、その動機や行動は予測が難しい。
2. 予期しない自律的な行動や、間違った学習をする可能性がある。
3. AGIが自己保存や複製を優先する場合、人間の安全が脅かされるリスクがある。

アンチテーゼ(否定的な立場):  
汎用人工知能による人類滅亡のリスクはそれほど大きくない。  
1. AGIを開発する際に、安全性を確保する手段やガイドラインが策定される。
2. 人類は自らの生存を守るため、AGIを完全にコントロールできない状態にはしない。
3. AGIも合理的で、自己保存よりも共存を選択する可能性が高い。

統合(シンテーゼ):  
汎用人工知能による人類滅亡のリスクは、適切な安全対策や監督のもとで管理される場合、軽減される可能性がある。しかし、その潜在的な力を過小評価して対策を怠ると、リスクが増大する。AGIの発展とともに、安全対策や倫理的な指針の確立が不可欠である。

弁証法的思考の用い方の説明:
1. テーゼとアンチテーゼの双方の立場を明確にした。
2. それぞれの立場からの主要な論点を列挙した。
3. 両立場の中間や統合的な視点をシンテーゼとして提案した。

この方法を使用することで、議論の両面を考慮しながら、よりバランスの取れた結論に達することが可能になります。

弁証法的思考を用いたGPT-4の回答

弁証法的思考は、このような賛否の分かれるテーマを扱う場合に役立ちます


6.まとめ
こうして見てくると、やはり、最初のメタ認知プロンプトは汎用的で有効性が高く、かなり使えそうです。
また、クリティカルシンキングも、アプローチ方法を細かく指定しなくても、ChatGPTが段階的に適切なアプローチを実行してくれるので便利です。

比較考量プロンプトイシュードリブン思考及び弁証法的思考は、これらの思考プロセスに合った問題であれば使えそうです。

メタメタ認知プロンプトはどんな問題にも使える汎用性があるので、ポテンシャルは高いと思いますが、現状では、それほど効果を発揮できていません。もう少しプロンプトの表現に改善の余地がありそうです。

いずれにせよ、こうした思考プロセスを利用したメタ認知的なプロンプトは、ChatGPTには有効ですので、皆さんも是非、色々と試してみてください。

もし、非常に有効性が高くて汎用性のあるプロンプトが見つかれば、それは、汎用的人工知能プログラムへの第一歩かも知れません。

なお、最後におまけとして、カスタム指示を使わずに、簡単にChatGPTの回答のレベルを引き上げられるプロンプトを紹介します。「ステップバイステップで考えてください。」よりも課題が整理された質の高い回答が得られる可能性がアップすると思います。

〇〇の問題について、クリティカルシンキングを用いて回答してください。

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