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331☆誰も全貌を把握できていない?イタリア旧市街の水道事情

ぼんじょーるの!
朝から晴れて気持ちの良い日差しがさんさんと降り注ぐ日曜日。
洗濯機を回しつつコーヒーを飲みながらPCに向かう静かな休日。
ホントは畑に行く予定だったけど、まだ風が残っていて寒いので断念しました。

昨日のオンラインサロンの生配信はブラッチャーノの近郊の小さな町チェルヴェーテリから。
無事に路線バスで現地に到着、エトルリア博物館や旧市街の散策をしましたけど、やっぱりこの生配信を楽しみにしてる人が多いみたい。
料理やチーズより、気軽に旅行できない今、生のイタリアの町や人の様子を直に感じられるのが良いのだそうです。

さて私は久しぶりにチェルヴェーテリへ行き、2017年、旧市街の家へ引っ越した時の水道問題を思い出しました。
というのも、ブラッチャーノの水道を管轄しているACEAという水道会社のオフィスが、ブラッチャーノではなくここにあるから。

長くなるけど、問題が解決するまでの約半年についてnoteに残しておこうと思います。

市から委託された水道会社ACEA

古くから水に恵まれてきたブラッチャーノ。
なんせローマ市民に水を供給するため、ローマ水道の水源にまでなったほどですから。

そんな事情もあってかどうか知りませんが、水に対して無頓着なままブラッチャーノ市は過ごしてきたらしい。

水道管理が市の財政を圧迫するに至り、市として水道の管理・運営をACEA(あちぇあ)という水道管理会社に委託することを決定。
これが2015年前後のことです。

私はブラッチャーノ旧市街の築1400年の家へ引っ越して1か月が過ぎるというのに、正式な水道の開栓がまだできていませんでした。
引っ越し当日、2017年6月1日の夜、大家が封印の針金を切り、無理やり開栓したまま1か月が経過。

それでもACEAからは、ウンともスンとも言ってきません。
このまま使い続けて、あとで違約金でも発生したら大変だからと、直接、ACEAに出向こうということになりました。

それでチェルヴェーテリへ行くことになったのです。

早くいかないとすごく並ぶことになるからと、朝8時にはブラッチャーノを出発。
現地に8時半ごろ着いたけど、すでに数人が並んでいました。

私たちも番号札を取り、待つこと20~30分ぐらい。
その間、もちろんバールで時間をつぶす(汗。

イタリアあるあるですが、番号札があるからって、順番が来たら係員が呼んでくれるわけじゃありません。
並んでる人たちが自己申告で番号を管理、自分の前の人をしっかり覚えておき、その人の次に入っていくという何とも原始的なシステムなんですー(汗。

そうこうするうちに私たちの順番が来て、大家夫婦+私の3人でACEAチェルヴェーテリ支局の事務所のなかへ。
私はもちろんオマケです。
何を言うわけでもなく、一部始終を見ていて、契約主としてサインが必要な時のために待機してるという感じ。

そして、大家夫婦はダンナが主導権を握るタイプなので、奥さんもオマケ。

この大家ダンナがホントに強烈でねぇ。
我が強い、押しが強い、何でも思い通りにしたいタイプ。
悪い人ではないんですけどね。
おかげであの家に住んでいた時には、色んな面白い体験ができました(笑。

管理名簿に名前が載っていない

そんなわけで、ここでも大家ダンナが状況説明する間、私はヒマなので周りの様子を観察してました。

職員は3人。
L字型のカウンターの向こう側に座り、接客してます。

私たちの隣で話の終わった老夫婦、なぜか、感謝感激した面持ちで大騒ぎしていました。
大げさなほどお礼の言葉を繰り返していて、最後には担当職員にコーヒーをごちそうしたいと言う。

よほど助けてもらったんでしょうかねぇ。
日本じゃ、ゼッタイにないシチュエーションですよね。

さて、水道は日本と同じように戸ごとに契約することになってます。
管理の方法としては、住所+契約番号で識別しているようでした。

でもねー、この記録がどうやらグッチャグチャになってまして(汗。

というのも、1400年前の家でしょ?

イタリアの家はわりと大きなつくりで、そのなかを区切って分譲することも多いです。
一つの家=同じ住所なのに、1階と2階とで持ち主が違うとか。
さらにその2階部分は、また別の数人に分譲販売されていたりとか。

そのうえ、ブラッチャーノ市の管理がお粗末だったようで、ACEA曰く、引き継いだ水道管理リスト自体が、相当あやしいものだったのですって!!

イタリア人って割と同じ名前が多いんですよ。
おじいちゃんやおばあちゃんの名前をもらったり、聖人の名前を付けたりしますから。

その上、旧市街は先祖代々ずーっと同じファミリーで住み続けるだけでなく、没落した家の物件を買い取って賃貸に出すこともあったりして、大家の苗字が被ることも多いです。

こうして名前も苗字も同じ別人ということもあるわけで、こうなってくるともう、ホントに把握のしようもありません。
そりゃあ、水道名簿も知らず知らずのうちにグチャグチャになるでしょう。

どうやら私の住む家の水道は、この複雑怪奇なブラッチャーノ旧市街の水道リストに載っていなかったんですね。
だから問い合わせをしても、なかなか作業員が派遣されなかったらしい。

今回は大家と間借り人の私とそろっていたので、その場で管理票を作成、管理リストに載せてもらうことに成功しました。

イタリアにバールが欠かせないわけ

ここまでで、約1時間の時間を要しました。
たったコレだけのことなのに。

リストに名前がないなんて、まったくの想定外だったのでしょうね。

でも、これは当時、ブラッチャーノ旧市街で多発していたようです。
市役所管理の時は水道代の請求書が来ていたけど、管理がACEAに変わって以降2年間、請求書を1度も受け取っていない、でも水道はちゃんと使えてる、という家もありました。

きっと一人暮らしの老人とか、よく分からない事情のお宅は、悪気なく今でもタダで水道を使っているに違いありません。
というのも、水道メーターの管理がメチャクチャになっているから。
これは長くなるので、また後日。
そう、私の水道問題は、これで終わったわけではなかったのです!

さて、無事に管理リストに名前を入れてもらい、コンピューターの中にデータを打ち込んでもらう、というところまでこぎつけ、最後に大家ダンナは言いました。

コーヒーでもいかがですか?
皆さん、どうぞ!さぁ、遠慮せず!!!

こうして、順番待ちの時間をつぶしてたバールに戻り、職員3人+警備員1人、計4杯分のコーヒーのお金を払い、出前をお願いして、私たちはチェルヴェーテリを後にしたのでした。

バールの人たち、戻ってきた私たちを見てすぐに言いましたよ。

ACEAの分のコーヒー?って。

あの職員たちはきっと、1日のコーヒーはお客さんからおごってもらった分で済ませているにちがいなーい!

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