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そして僕は途方に暮れる

〇月〇日

 お正月は時間があると思っていたが、読もうと思っていた本がぜんぜん読めていない。理由はわかっている。観ようと思っていたDVDを観ているからである。DVDを観ていると、本が読めない。
 あっという間に一日が暮れる。そして僕は途方に暮れる。
 それでもブックオフに行くのである。正月早々、20パーセントオフのセールを開催しているからだ。休日の古本屋巡りは、私の生活の一部である。いや。古本屋巡りを中心に生活が回っていると言っても過言ではないくらいだ(ブックオフ以外にも、古本屋巡りをしている)
 ただ、近年のブックオフは、100円コーナーが100円から200円コーナーに変わったことを始めとして、全体的に価格設定が高くなっているような気がする。

〇月〇日

 吉祥寺に行く。古書店「百年」「一年」がセールを開催しているのである。吉祥寺には、「バサラ・ブックス」「よみた屋」「古本センター」「古書 防破堤」等の古書店があり、「ココナッツ・ディスク」(中古レコード店)もある。私が捜しているのは、文学を中心とした芸術関係、サブカルなので、ぴったり。
 これらの古書店には、ブックオフにはないコアな本が揃っている。
 リチャード・エルマン「ジェイムズ・ジョイス伝」1・2「ゴンクール日記」(岩波文庫)上・下他を購入。実はゴンクールの日記、下はすでに持っているのだが、セット売りなので、下も購入せざるを得ない。欲しいかった本なので、仕方がない。みなさんは、こういうとき、どうしているのだろうか。
 他の古書店で買った「回想のブライズヘッド 」(岩波文庫)もそうで、すでに下を持っていて、上を捜していた。こちらも上下のセット売り。欲しかった本なので、購入。
 散財の気分はあるが、同じ本を2冊持っていても、残念に思わない人間なのである。

 いつものようにくぐつ草でカレーと珈琲。
 美味しいし、創立380年になる「江戸糸あやつり人形劇団 結城座」の劇団員の手により、1979年春に開店。「人形つかい」は「傀儡師」と呼ばれているため、店名にも「くぐつ」が使われた。当時、吉祥寺に稽古場があった「結城座」の劇団員が、オープンから10~20年くらいの間は、公演の少ない時期に、スタッフとして働いていたとのこと。
 以来、40数年間変わることなく営業している、という歴史が、かつて演劇にかかわっていた私には、ぐっとくる。


 
 

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