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「生きづらさ」を飼いならす

これは、10代半ばから,10年間死にたい気持ちを抱えていた人のnoteだ。

10年間,「死にたい」気持ちがあることが当たり前だと思っていたけれど,大学・大学院で,心理学の勉強をする中で,自分がどうやら「生きづらい」らしいこと,「生きづらい」考え方をしていることに気づいた。
それに気づくまで,心理学の勉強を始めてから8年間。

そこから,2年かけて「死にたい」はだんだん薄らいでいった。
「なんでこんなしょうもない世界のために,わざわざ痛い思いをして死ななきゃいけないのか?」

でも,今度は,「生きづらい」を自覚してしまったことで,余計に「生きづらく」なってしまった。

「死にたい」は,たまにしか出てこなくなったけど,「生きづらい」だけはしっかり残ってしまった。
この世界でどうにかこうにか生きていくために、未だに試行錯誤している。

「生きづらさ」というものは、そこに存在するときには、呼吸するくらい自然なものとして、当たり前なものとして、そこにいる。
存在しないときには,全く感じないのだが,「うまくいかなかった」「自信をなくす」「羨ましい」ことが起こると,ひょっこり現れる。

「やぁ,『生きづらさ』久しぶりだね」
それは,眠れない深夜の時間に現れたり,朝日が登る前の白んだ時間に現れたりする。

心をわぁーっと引っ掻き回して,過去の同じような「生きづらさ」を経験した私を連れてきて,「あの時も失敗したでしょ。あの時も何か,他人とズレてたよね。あなたは,何も成し遂げられていない。だから,あの人にもフラれたでしょ。だから,あなたは何にもできないダメな人間なんだよ」と嬉しそうに並べ立てる。

「また来たか…」と私はベッドの中で,「これは眠れそうにない」と絶望する。
それでも,「また来たか…」と思えるくらいには「生きづらさ」に飲み込まれていないし,「ちょっとくらいなら飲み込まれてもいいけど,今は,どっぷりは浸かりたくないかな」と思えたりする余裕はある。

ベッドサイドの本を読んで,眠気が再び訪れるのを待つ。
眠気が来なかったら,思い切って諦める。呼吸に集中する。
眠れる頃には,「もう起きなきゃ」という時間だったりする。

その不眠イベントは,「生きづらい」がピークだったときは,「うまくいかなかった」と感じる度に発生していたが,今は,月1回くらいだ。

ぼちぼち気づき始めたこととして,そんなに毎日,試験に受かるとか,告白が成功するとか,仕事で認められて給料があがる,とか,劇的な「うまくいく」ことが発生するわけがない。結局は,大したことない,ちょっとした出来事の積み重ねが,「うまくいった」に繋がったり,繋がらなかったりするのだ。

その過程では,「うまくいかない」が発生する可能性の方が,はるかに高いのだ。それにいちいち反応してしまって,「自分はダメな人間」のラベルを張ってしまうのが,「生きづらさ」だ。

月1回の,「なんか私だけ損している気がする」という気持ちが発生してからの不眠イベントを終えて,まだまだだな,なんて思いながら,背伸びをした。

***************
「生きづらさ」は感じないときには,本当に気づかない。
高い山に登って、酸素が薄くなった時に感じた辛さも、
地上に降りれば、どんな感じだったっけ?というのに似ている。

しかしながら、また山に登れば、その息苦しさを思い出すように、
「生きづらさ」は、ふとした時に、そこに居る。

「やあ,最近会っていなかったね」

時々息苦しくなっている。
それでも、自分が苦しいことに気づけるようになっている。
この息苦しい空間が,自分で作り上げた山頂であることに気づけている。

苦しいことにさえ,気づいていなかった時は,
その苦しい場所で生きるしかないと思っていた。

私は,その苦しい場所にいなきゃいけない人間だと思い込んでいた。
「自己肯定感が低い」,その通りだと思う。

自己肯定感を上げるために書かれた本はたくさんある。
片っ端から読めば,自己肯定感は上がるのかもしれない。

でも,自己肯定感を上げるために何かをするというのは,違和感がある。
もし,自己肯定感というのが,何かしらの達成にくっついてくるものだとして,自己肯定感上げるために,何かしらの達成をし続けなければならないのだとしたら,価値がなくなった瞬間に,自己肯定感も一緒にだだ下がりである。

それは本末転倒ではないか。

「生きづらい」がだいぶ薄くなった今だって,自己肯定感が高いかと言われれば,高くはないと思うし,「自信を持て」と,未だにいろんな人に言われ続けている。

ただ,「自分って,こういう奴」みたいな感覚が,背伸びしすぎず,卑屈になりすぎず,そこにいる。

「だめなところもあるけど,わるい奴じゃないよ」

「生きづらさ」を飼いならす試みは続く。









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