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江戸っ娘の着物日和 vol.14: 野球観戦

先日、久しぶりに野球観戦に行ってきました。学生時代以来なので、本当に何年ぶりだろうという感じです。
ペナントレースも終盤、朝晩は涼しいけど、昼は暑い・・・そんな時に大活躍の着物です!
もちろん、着物のカラーは応援チームカラー。
ユニフォームをまとうのもいいけど、こういう着物の着方も楽しいな、と個人的には感じました。

だが、しかし!そんな私の気分とは裏腹に試合が動かない、動かない(苦笑
これも野球の醍醐味と言えば、醍醐味なのですが、やっぱり「どこが優勝するのか⁈」「クライマックスシリーズにはどこが出るのか⁈」という命運がかかった試合なので、打ち合って盛り上げてほしいのが観客目線。
そういう意味では、7時を回り、8時が過ぎても寒くならずに済んで着物チョイスは正解でした!

ちなみにこの日のコーデは浴衣の下に襦袢という下着を着て、着物風の着付け。
昼間は30度近くまで気温が上がったため、なるべく薄手のものを選びましたが、やはり歩いていると暑かったです。
帯も夏帯、足袋も夏用の麻布です。
その日の天候にもよりますが、季節の変わり目は洋服同様になかなかコーデを決めるのは難しいです。

スッキリ、小ぶりに

一方で気温以外で着物を着るときに気になるのが「においがつく場所か?」「場所は外か?」です。
これによって昔ながらの生地のものを着るか、浴衣やポリエステルなどの自宅で洗える着物にするかを個人的には決めています。
今回は昼間のお出かけはともかく、野球場は席の状態がわからない、前後にどのような人が来るかわからない、など不確定要素が多かったのも浴衣にした理由です。

浴衣・ポリエステル以外にも麻・木綿などは家で洗えますが、絹は呉服屋さんにもってってクリーニングしてもらうしかなく、場合によっては完全にシミが取れないこともあるので要注意です。
なので、自分で買ったものは案外大丈夫なのですが、意外と譲っていただいたものは証紙(反物についている産地やどの職人さんに作られたかが書かれた札)が無かったり、ご本人も覚えてなかったり、様々なハプニングがあります。
知り合いの中には一部糸を切り取って燃やしてみるという方もいます。
これは絹の場合、タンパク質でできているため、植物性の生地とはにおいが違うからです。
とはいえ、大事なお着物を傷つけたくないのも本音。
そういう時は変に度胸見せて家で選択してしまい、生地が縮んでしまうと取り返しがつなかいので、絹である前提で扱うのが無難だと思っています。

そんなわけでこの日は薄手の襦袢に浴衣、夏帯という限りなく夏に近いコーデとなりました。
帯結びも周りの人にひっかけられたりしないよう、コンパクトな箱舟結びです。

帯締めはリボンに
箱舟結び

この日は休日だったせいか、江戸っ娘以外にもお着物の方と多くすれ違いました。
割と着慣れた方が多く、もちろんお太鼓の方もいますし、吉弥結びなどのペタンコもしくはコンパクトな結び方の方も多くいらっしゃいました。
その時一緒だった連れは着物を着ない人だったのですが、江戸っ娘が着物を着ているので周りに人も気になったらしく、なぜお太鼓じゃない人が多いのか、訊かれました。

江戸っ娘の推測ですが、一つには着物を着ない人が増えたため、着物を着る人が自己保身のために行っているケースも多いと思います。
特に最近はながらスマホで歩いたり、片手にスマホ・もう片手にはテイクアウトのコーヒーという人も多いので、何かの拍子に引っ掛かってほつれたり、間違って飲み物が掛けられることがないように対応しているということが言えると思います。

またもう一つには自己満足的な側面が強いのですが、こなれている感を出したいという方もいらっしゃると思います。
最初に習うのはお太鼓ですが、慣れてくると違うことをしてみたくなるもの。
帯結びを変えるだけで印象もがらりと変わるので、お太鼓のフォーマル感ではなく、銀座結びで粋な演出をしたり、貝ノ口や道行太鼓でカジュアルな雰囲気にしてみると同じ着物と帯でも楽しいものです。

あとは、単純に楽だからという理由もありそうです。
お太鼓を結ぶときには、山をつくるために帯枕というアイテムを使います。
でも実際にはお太鼓を使わなくていい帯結びもたくさんありますし、場合によっては帯揚げすらいらず、帯締めだけで済む場合もあります。
また浴衣などを着るときに結ぶ半幅帯は前で結べるので、形を整えやすいという利点もあります。
もちろん、お太鼓も前結びで結ぶ方法もありますが、個人的にはちょっとコツがいると思っています。

ある意味で着物にとっての帯は、洋服でワンピースを着るのか、スーツにするのか、パンツスタイルにするのか、パンツスタイルならジーンズなのか、といったところを簡単に変えられるツールなのかなと思っています。


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