原稿用紙一枚分の物語 #2 『彼氏彼女』
「頼む!付き合ってあげてくれ!」
そう切り出したアキト。
聞けば、同じアルバイト先のヨウコに告ったら、
彼女が好きなのは俺なのだと。
だったら、他の男と付き合うよりも俺だったら許せると、
頼み込んできたのだった。
「無理だ」「頼む」の押し問答を繰り返したが、
結局は押し通されてしまった。
仕方なく俺から告り、
その一週間後にOKの返事をもらった。
学校も住んでいる場所も他県だったが、
月一回のデートと週二回の電話は欠かさなかった。
初めは愛情が湧かなかったけれど、
愛が芽生えたのか情からなのかわからないが、
だんだんと彼女のことを好きになり、
毎日がドキドキしていた。
しかし、一年を迎えようとした頃、
突然彼女から別れを切り出された。
「親友のマキから付き合ってあげてと言われて付き合ったけど、
無理だった」
混乱した。やがて合点がいった。
楽しかった日々が蘇った。
そして、涙が溢れた。
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