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【エッセイ】成長したい、おじさんになりつつあっても

まだ20代前半までは、己の成長など考えたこともなかった。

特に上昇志向もなかった僕は、面倒なことや大変なことから何となしに逃げていた。

それでもそこそこ楽しく、比較的充実した日々を送れていたように思う。

ところが30を過ぎると、何だかそれも退屈になってしまい

気がつくと毎年のように、もっと言うとシーズンごとに何かしら新しいことに挑戦をするようになった。

もっと趣味が欲しいな、とか、もっとできるようになりたいな、とか
できないことを無くす、もしくはやってみたかったことをやってみる
そんな調子でどんどん新しいことに挑戦するように、自然と足が向かった。

バイオリンを練習してみたり、ポートレートを撮ってみたり
ダンスを習ってみたり、バンドを組んでライブをしてみたり
小説を書いてみたり、絵を描いてみたり、と
全体的に芸術表現の方に行きがちではあったが
どれもやはり新鮮で楽しく、また難しく挑戦的であった。

一つできるようになる度、一つ自分のことを認められるようになった気がする。

誰に見せるわけでも、認められるわけでも基本的にはないのだが
自分の時間を使うにはどれもそれなりの価値のあるもののように思えた。

時間と少しばかりのお金が手に入った今、やってみたいことに挑戦するって
なんて楽しんだろう、と30を過ぎてやっとのこと
大人としての時間を謳歌できるように、自分の人生の舵を取れるようになってきた。

来年の6月には32歳になる。

32歳になったら漫画を描いて、自分の会社から出版してみよう。

そんな目標を秘かに胸にしたため、そこに向けて絵の練習を繰り返す日々。

何とも忙しく、何とも愉しみに溢れた日々になっている。

有名でも優秀でもない、何者でもない僕だけど
それでも日々楽しく生きていけている。
何とも幸せなことである。

今の日々が当たり前じゃないってことを常に頭に置きながら
感謝と歓喜を胸に、しっかりと生きていこうと思う今日この頃。

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