見出し画像

「担当者が代わることになりました」 なんで?

以前から京都の店へ足をお運びいただき、出店の打診から開業準備、その後の相談や愚痴の聞き役まで、ぼくやスタッフを最後までフォローしていただいたバイヤーの遠藤さん。
正確には、ぼくらが新宿を出ることが決まって以降もご心配いただき、陰ながら物件探しのお力添えもしていただいた。

大前提として吹けば飛ぶようなぼくの会社でもやっていけるだけの条件を用意してくださったマルイさんへの感謝も当然あるけれど、遠藤さんがおられなかったら東京で店をすることやその後の展開も、そしていまのぼくもなかった。
いくら感謝してもしきれない恩人で間違いない。

何年目かのとき、担当者が遠藤さんから代わるといった話が出たことがある。
ぼくらは「遠藤さんじゃないと困る」「遠藤さんじゃないとイヤだ」と、大人げなくゴネた。
当時は遠藤さんにもきっとご迷惑をおかけしたと思うけれど、ぼくやスタッフにとっては切実な願いだった。
結局、承諾いただき最後まで担当を務めていただけることになり、ぼくらは安堵し喜んだ。

こうして担当者が定期的に代わるのは、どの商業施設も同様かと思うけれど、これについては未だに思うことがある。
誘致する相手が大きな会社ならともかく、うちのような小さな会社の場合、条件面は無論あるけれど、バイヤーさんの熱意や人柄、信用が出店への最後の決め手となることがほとんどだと思う。
少なくともぼくはそうだった。

商業施設とテナントの関係ではあるけれど、開業前から一緒にやってきた方が退職などの理由でもなく、ほんの数年で代わることになり特段思い入れもない人がいきなり担当者になられるのは、こちらとしては戸惑うし正直困る。
商業施設に入られた小資本の方、特に職人さんの中には同様の経験や思いをされた方もおられるのではないかと思う。

金融機関である銀行の担当者が定期的に代わるのは理解できるけれど、商業施設の担当者を交代する意図がよくわからない。
大きな会社には、ぼくなどには推し量れない大人の事情があるのだろうとは思うけれど。
そういった意味でも、マルイさんは大きな会社でありながら柔軟で理解があったのも、ぼくらにとっては幸いだった。

きっと、これも遠藤さんによるご尽力あってのことだったと想像するけれど。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?