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上質な公共空間整備がもたらすもの

隅田公園(墨田区)、篭田公園(岡崎市)、トヨシバ(豊田市)と最近芝生があって綺麗に整備された公園(公共空間)で、さまざまな活動がうまれ、地域の価値を高めていると評判の公共空間整備がなされている。このあとも福山やリニューアルを遂げた和歌山市の本町公園などが注目されるプロジェクトである。
この流れは、てんしば、や南池袋公園などの成功で、いままでの日本人の公共空間とのつきあいかたを転換するものとして認識された上に、あらたに整備がすすんだものと捉えることができる。
なんとなくこれらの空間が「芝」をそなえていて「スケール感」が適当にあり、「運営」が従来型のものとはちがうことである種の上質さを備えていると思われるのだが、さて、この上質さはきちんと定義されうるものなのか。

利用者目線の上質さ

質の高い公共空間の尺度が、整備する側の権威性や管理しやすさよりも利用者の使い勝手に重きを置いている点で、従来の上質スケールとは違う。特に利用者が寝そべったり、身体性にもとづいて「自由さ」が担保されていることや、スポーツなどの大きな面積の「排他独占的な利用」が制限されていることが上質さを生んでいて、なおかつ安心してその場所にい続けられるということが重要である。スケールの問題も、芝の問題も運営の問題もここにすべて帰着する。

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効果とどう向き合うか

整備がなされると、その効果が気になるものだ。昨今の自治体財政を考えると、真水を投入しての都市環境整備は、財務担当者の理解を得ることができにくい。経済効果はどうなのか、問われる局面が多い中、多くの事例でその効果への注目が集まっている。整備面ではなんとかなりうるが、運営面では行政負担は絶望的だ。そこで、民間活力活用、となるわけだが、民間としても季節要因やボラティリティなど参入することに躊躇する要因は大きい。ましてや開業前の閑散とした状況から、開業後の賑わいを想像することはとても大変だ。

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官民連携の必要性

官民連携の必要性は、官と民の投資効果の長短の目線の違いからも重要だ。行政が民と同じように行政投資の効果をはかりはじめたら、たぶんこの効果をつくっていくことは難しい。民が民の投資目線で公共空間の運営に参入すると、多くの齟齬が生じるのだが、そこにはきちんとした理由があり、だからこそチームで進める必要がある。
多くの地域でこの課題を乗り越えようとしていることに、これからも注目していきたい。

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