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日本の高品質な社会インフラを未来につなぐために ーオムロンスマートM&S事業部が描く未来ー

​​オムロングループ全体をモノづくりからデータを活用したソリューションビジネスに進化させ、新たな成長ステージに先導するために設立された​​データソリューション事業本部。​

​​本事業部はオムロングループのデバイスやコンポーネントから得られる各事業の膨大な現場データと、2023年10月にオムロングループに加わった株式会社JMDCのデータマネジメント力、ソリューション開発力を組み合わせることで、社会的課題の解決につながる次の成長事業を創造しています。​

​​この組織において、データを軸に新たなビジネスモデル開発を担うのがデータや先端テクノロジーを活用したマネジメント・サービス(以下、「M&S」)を提供する「スマート​M&S​事業部」です。​

​​血圧計など健康機器の認知度が高いオムロンです​​が、​​駅の自動改札機を世界で初めて作ったのはオムロンです。その後も公共輸送・交通・決済など​に関連する​公共性の高い社会システムに、半世紀以上に渡りサービスを提供しています。例えば、鉄道券売機や自動改札の稼働ログ​​、飲食店の店舗環境データ​​など、そこから得られる多種多様なデータを強みにこれからどのような世界を目指し、どんな歩みを進めていくのか。​

スマートM&S事業部の​共同事業責任者を務める杉山さんと丸雄さんにお話を伺いました。​

​左 丸雄さん 右 杉山さん

​​お話を伺った方
​​杉山さん データソリューション事業本部 スマートM&S事業部 事業責任者 ​ ​
1992年オムロン フィールドエンジニアリング株式会社入社。カスタマーエンジニアとして銀行のATM保守運用に携わった後従事し、顧客営業や保守運用全般統制携わった後、2020年頃2017年から同社経営企画部にてマネジメント・サービスの企画を推進。2023年12月のデータソリューション事業本部設立と同時にスマートM&S事業部の共同責任者に着任。

​​丸雄さん データソリューション事業本部 スマートM&S事業部 事業責任者
​​米国の大学で航空宇宙工学を学び、航空機​内装品​関連の​在米日系企業に​エンジニアとして就職。在職中にMBAを取得し​、​事業企画​を担うストラテジック・ビジネスプランナーへ転向​。​2016年​に日本へ帰国し​、​コンサルティング会社​にて戦略策定関連プロジェクトに携わる。​製造業​において​の事業​企画・戦略策定に携わりたいという​想いから2021年5月オムロン株式会社へ入社​。新規事業開発をリードするイノベーション推進本部を経て、​2023年12月よりスマートM&S事業部の共同責任者を務める。​


働きがいのある労働環境を実現することで、人々の快適で豊かな暮らしを守りたい​

丸雄:​​私たちが取り組んでいるのは、​「​人手不足​」​という大きな社会的課題です。人手不足はサービス業や流通・小売業といった一部の​業界に限った​話ではありません。人々の快適で豊かな暮らしを維持するためのインフラを守るという点では、私たちの誰にも影響する深刻な問題です。​

​​私たちスマートM&S事業部はこの課題に向き合い、業務の自動化だけでは解決できない「働き手を支える新しいサービス創り」を進めています。​

​​その際、私たちが特にこだわっているのは働き手の​「​働きがい​」​です。従来の人手不足解消対策​というの​は、​「​生産性​の​向上​」といった​経営側の視点で語られることが多かったように思います。しかし、働き手の働きがいといったエンゲージメントが高まらなければ事業は継続できません。​

​​働き手一人ひとりの働きぶりや現場の課題を見える化し、現場・管理部門・経営​層​が一体となって改善に取り組むことができたら、​より​働きがいをもって働ける労働環境の実現に貢献できるのではないか。​そのような​労働環境が実現できれば、日本の高品質なインフラを守り、未来に受け継ぐことにも繋がっていくと信じ、私たちは日々取り組んでいます。​


現場課題に合わせて提供価値を広げてきた社会システム事業、スマートM&S誕生までの軌跡

杉山:​​具体的な取り組みをご紹介する前に、スマートM&S事業部の成り立ちと組織について説明させてください。スマートM&S事業部は、オムロンの事業部門のひとつである社会システム事業を支えるオムロン ソーシアルソリューションズ​株式会社​(​以下、「OSS」)​と、システム製品機器の導入、保守、運用管理を担うオムロン フィールドエンジニアリング​株式会社​(​以下、「OFE」)​と連携し​て​事業を進めています。​


​​スマートM&Sの始まりは​、​OFEが担うオペレーション&メンテナンスです。当初は設備や機器の維持・管理を主に担っていましたが、機器を中心とした前後の付帯業務プロセスも丸ごと管理するようになり、現場課題だけではなく管理・経営課題へのアプローチが必要となりました。そこで、オペレーション&メンテナンスからマネジメント・サービスへと進化させ、​取引先企業様​の現場・管理・経営層の課題にワンストップで応えられるサービスへと提供価値を広げてきました。​

​​さらにスマートM&Sでは、それらのサービスにデータや先端テクノロジーを活用することで現場の課題を可視化します。その結果、経営​層​を巻き込んだソリューション提供が可能となり、働きがいのある労働環境の実現を通して社会的課題の解決を目指しています。​


保守サービスにおけるビジネスモデル転換に向けた3つの取り組み​

​​杉山:​​保守は、コールセンターで故障連絡を受けると​​カスタマーエンジニア​​が現場へ駆けつけるというアナログな作業が多い現場です。私たちはこの保守サービス​における従来​のビジネスモデルを大きく転換したいと考え、スマートM&S事業部が​データを軸とした​ソリューションの立案をリードしながら3つの取り組みを始めています。​

​​1つ目は​、​「電話を受けて人が駆けつける」という​従来の業務プロセスを​転換​すること​で​す。例えば、​コールセンターへのチャットボット導入や自動受付による会話内容のテキスト化を行い、オペレーターに繋ぐ前に機械処理できるものを増やしています。​

​​2つ目は​、​遠隔モニタリングによる予防保守です。従来のように​「​故障連絡を受けてから現場へ駆けつける​」という形​ではなく、​「​遠隔モニタリングにより機械の状態を把握することで予兆を捉え、壊れる前に予防保守を施す」​という​保守サービスへの転換を進めています。​

​​そして3つ目は、​「取引先企業様​のシステム​管理業務の​一括サポート​」​です。人手不足を解消するため、多くの企業で機械化が進んでいます。機械化は便利な反面、使用する機器が増えるに伴ってその管理などの煩雑な業務が増え、本来のコア業務に割ける時間が減ってしまいます。​

​​そこで、私たち​オムロン​が​取引先企業様​にとってのノンコア業務である機械の導入・管理を黒子となってサポートし、​取引先企業様​には本来やりたかったコア業務に専念してもらいます。そのような取り組みを​、​まずは流通・小売業界から始めています。​

​​事業的役割と機能的役割を持つ私たち​スマートM&S事業部​がオムロンの進化をリードする​

​​杉山:​​オムロンは長期ビジョン​「SF2030」​の中で進化の方向性を「“モノ”から“モノとサービス”」へと掲げています。​

私たち​スマートM&S事業部は​、​オムロングループにおいて縦横機能となる、事業的役割と機能的役割の両方を担っています。ゆえに、その転換のきっかけを作り進化をリードしていくことと​、​事業部を横断して機能的役割を持つ​ことは我々事業部​の役目だと感じています。​

​​スマートM&S事業部が目指す世界観こそ、「“モノ”から“モノとサービス”」です。製品を買ってもらって終わりではなく、一般的に言われるBPR(Business Process Re-engineering)のように業務改革を提案するだけでもなく、製品を長く効果的に活用いただくことで​より良い​サービスを実現するためのアウトソーシングを担っていく​ことを目指しています​。さらに​、そこで得た​私たちの気づきを​改善​提案​につなげて​いくことができれば、オムロンらしいサービスを実現できると思います。​


​​丸雄:こうした新しい事業を​既存組織の中で始めようとすると、既存事業の運営や業務プロセスを逸脱しない範囲で考えてしまう傾向があります。しかし、スマートM&S事業部はOFEやOSSと連携しながらも別組織として位置付けられているため、新規事業に取り組みやすい環境である点は強み​だ​と思います。​

​​また、オムロンは大手コンビニや小売業など多くの取引先企業様にM&Sを提供しており、​その中には​長年にわた​り​取引​いただいている企業先も多くおられます。それはオムロンが​信頼​を得ている​証だと思いますし、その盤石な顧客基盤や長年の業務で蓄積したデータ量(※)はオムロンの強みと言えるのではないでしょうか。
(※:オムロンが保有するデータは各社様とのご契約内容によって異なります。)​


​機械化が進む今こそ「温もりのあるサービス」を大切に

​​杉山:​​スマートM&S事業部は様々な機械化を進めていますが、その中でも「​人との​温もり」を大切にしています。​

​​私たちのサービスにおける「人との温もり」とは、人が価値を提供する場を残すこと、人が提供するからには​​お客様​​が​​サービスを利用することで温もりを感じられる場面を作るということです。​

​​「温もり​の​あるサービス」という言葉は​、​私の30年近いカスタマーエンジニアとして​の​現場経験から生まれたものです。保守とは​、​壊れたものを直しに行くことが起点となることから、​まず​叱責を受けることから始まることが多い現場です。しかし、修理が終わって引き渡しをすると​最後は必ずお客様から​「ありがとう」と​感謝の言葉をいただき​仕事を終えることができます。​

​​私にとっては​、​それぞれの現場で​お客様からいただく​感謝の言葉は​、​仕事を続ける​上での​モチベーションであり、特に「オムロンに頼んでよかった」「杉山さんが来てくれてよかった」と言っていただけた時はとても嬉しく、お客様の温もりを感じられる瞬間でした。​

​​そう思うと逆も然りで、私たちも機械的に作業するだけではなく、お客様のために作業をする場面では絶対に温もりが必要だと思うのです。だから、オペレーション&メンテナンスからマネジメント・サービス、そしてスマートM&Sへと機械化を進める中においても、人と接する温もりは残さなければならないと考え​、​大切にしています。​


​​オムロンが掲げる存在意義を実践できる場。それがスマートM&S事業部の魅力​

​​杉山:​​スマートM&S事業部の取り組みとしては流通・小売業界から始めましたが、今後は同じように人手不足やIoT機器管理の煩雑化に悩まれている製造業界や交通関連業界、医療業界へアプローチを広げたいと考えています。​

​​そのためにはこの1〜2年で内部体制をしっかり整え、流通・小売業界でこのビジネスモデルを確立させて、​取引先企業様​に価値を認めてもらえるサービスを作らなければなりません。​

​​スマートM&S事業部の取り組みは、​取引先企業様​が優先度の低い仕事(ノンコア業務)から解放されて、本来やりたかった仕事(コア業務)に就けることで、感謝してもらえる仕事です。現場レベルで日々「ありがとう」と言葉をかけてもらえることはこの事業の面白さであり、その​一つ一つの言葉​の積み重ねが事業につながっていくことを誇りに思っています。​

​​丸雄:​​私たちスマートM&S事業部が行っている​の​は、まさにオムロンが掲げる存在意義​である​「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」を実践する事業だと感じています。​

各業界で​人手不足がますます深刻化する中、今後​は​エッセンシャルワーカーが圧倒的に不足し始めます。今は​まだ​不自由なく仕事や生活ができていますが、例えばコンビニ​などの小売り​や​流通、​鉄道​事業など​を支える人手が不足すると、遠方への買い物が必要になったり、電車​の​本数が減るなどの影響が生じることで、​私たちの​日常生活に支障が出てくるかもしれません。​

​​そうならないように、​私たち​スマートM&S事業部​が本​事業を進めることでより良い社会・生活作りに貢献できることが、この事業の面白さでもあり、私のモチベーションとなっています。​

​​さいごに​

​​人々が快適で豊かな暮らしを送るため、​「​人手不足​の解消」​と​「​働きがいのある労働環境実現​」の両立​を目指すスマートM&S事業部。​

​​今は​発足し​たばかりでその取り組みは流通・小売業界​から始まって​いますが、今後は対応領域を拡大していきます。人手不足で悩む幅広い業界で現場・管理部門・経営​層​が一体となって働きがいのある労働環境を作ることができれば、高品質な日本のインフラを​次世代へ継承​することができるはずです。​

私たちスマートM&S事業部と一緒に、そのような​より良い未来を​創る仕事に挑戦してみませんか。


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