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インドア男子が、チイキにカオ出す1秒前。

鳥取でさまざまな方とのご縁と悩み事に恵まれた、インドア大学生の「遺言」シリーズです。

初回『5秒前』はこちら:(生い立ち・高校篇)

前回『2秒前』はこちら:(大学1年終~2年前半、「ギャラリー巡り」篇)

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インドアな」イメージの強い美術部で学生時代を過ごしてきた僕が、

美術部ではできない経験や、
会えない人との出会いをしたいと、

インドアなりに足掻いて

キャンパスライフを過ごしてきましたが
(第3回『3秒前』を参照)、

あろうことか美術部での活動がきっかけで、
大人と出会える「アートギャラリー」と出会い、

そして毎月のように、学生以外の方々とお話しする機会を作れてしまいました。(前回参照)

しかし、僕の中では、
学内で「インドア系以外」の顔を持った時と同様に、

次第に「アート以外の」大人と話す機会も欲しくなっていました。

また、2年生になると、

毎日見るもの会う人が初体験だった前年とは違って、
ライフサイクルや出会う人のパターンも固まり、

それなのに、後輩の面倒を見たり、
サークルの運営に自ら携わる機会も増え、

そのなかで何度も
「アイデア」が求められることが増えていきました。

しかも美術部のほうでは、秋から部長を務めることにもなりました。


(ここでの体験談は、また別の機会に書くと思います。)

なので、僕はいつもソワソワしていました…
「学生が思いつくもの以外」のところで、
アイデア・ヒントはどこかに落ちていないか
と。

何か刺激が欲しい!
こういう取り組みをしたいという意欲よりも

このままでは、
頭の凝り固まった、昔の自分に逆戻りしてしまうんじゃないか…という

漠然とした危機感のほうが強かったです。

とはいえ僕も、頭では「大人と話したい!」
と思っているとはいえ、

おしゃれな光を放っている夜のバーや、
お酒も入ったノリノリな交流会とは無縁、
むしろ避けている人間です。

(のちに、ひとりBarもできるようにはなりました)

また、一分野に特化した
一般のディベートやワークショップに僕が参加しても、

経験豊富な大人たちの前に、
何も言えずに終わってしまう予感
しかありませんでした。

(のちに、そういった集まりにも抵抗はなくなりますが…笑)

2年生になったそんな時、
Facebookを見て目に留まったのが、

「トリの話しba」(以下、話しba)という、
鳥取市街地で有志団体が主催しているイベントでした。

年齢肩書き関係なく、
誰もがフラットに話せる機会
を作ることを目的とした、
参加型のトークイベントです。

毎回、1~3つのテーマが設けられ、

(「今年やってみたいこと」「映画」「まちなかの思い出」など)

飲み物(ソフトドリンク)やお菓子が置かれたテーブルに、
4人前後でざっくばらんに対話をし、
ワールドカフェという方式をベースにしたものです)

時間が経つと今度は
メンバーを変えてそれを繰り返します。

すなわちこれに参加すると、

テーブルに居合わせた3人×3~4回=10人前後の人の考え方に、触れることができます。

なにかテーマを与えられたワークショップだと、


話し合いの中で出たアイデア、そのグループ内での結論などといった、

「結論」や「成果発表」を求められることが多いのですが、

仕事帰りの社会人、放課後の学生、さらには主婦など、
いろんなテンションの人が集まる話しbaにおいては、

「こんな考え方があるんだ」「そんなものがあるとは知らなかった」

といった、「自分の外」に気付くこと自体が成果と考えているため、

成果発表などはなし
そもそも話の方向がテーマからずれてもOK。


「多様な考えがあるからこそ結論を求めない」
というのを一貫し、

成果は参加者が各自で持ち帰るというものでした。

僕にとって、
「まずはキャンパスの外の人の考え方を聞いて、
昨日の自分よりも少しフレッシュに」
なるためには、

これでもかというくらい親切設計な場所でした。

鳥取にも他にいろんな
「交流イベント」や
「様々な肩書の人が集まる場」があり、

僕も顔を出してきましたが、

話しbaには他と違って、

一緒の空間にいるのが不思議なほど、
「ノリ」が様々な人が共存していました。

しかも、参加者間には
「お店側とお客様」のような一方的な関係はなく、

対話という双方的な関係が必須なのが話しbaです。


自分が何か言ったら、それで終わり!ではなく、

相手の話も自分の耳に入ってくるセッティングがされています。

参加者個々の発言には、
自然と「軽くともゼロではない」責任がつきます。

なので、ただ「自分が楽しい」ことが好きな人は、
対話する姿勢を必須とするこの場には入れず、

結果的に、ノリが様々でも知的な話もできる場が、話しbaでした。

話しba初参加で、覚えた「味」

以前に参加したことのあるという、
国際交流サークルの先輩から詳しい話を聞いてから、

テーマが「理想と葛藤」の回で、
僕は初めて話しbaに参加しました。

県内で活動されている、
カラーセラピストさんのゲストトークを冒頭で聞き、

その後、同じテーブルにいた4人で、

テーマに関係のあることも無いことも
ざっくばらんに話をしました。

(席替えをして、これを3回行いました)

当時の僕は大学内でこそ、
「先輩」と呼ばれはじめた立場ではありましたが、

鳥取市街地で行われている話しbaの参加者の中で、

当時21歳の僕にとって、
ほとんどの参加者の方が「先輩」です。

周りは、公務員、自営業、何か自分から取り組みをしている大学生など…。

インドア大学生は、目に見えて緊張しっぱなしでした。

しかし、同じテーブルに入った、

学校教員をされていた方が自然な流れで、
僕に話を振ってくださいました。


僕が話す番になって、
「普段何をしているのかわかりにくい」イメージの、
美術部の話題に。


僕がありのまま、部員目線で話すと、

テーブルに入った「先輩方」は、

「なんだよ、若いんだからもっと外に出なさいよ」と返してくるのかと思いきや、

「へえ~!そんな部活の時間の過ごし方があったんだね!運動部だったから羨ましい!!」

と、返してくださいました。

ビックリ。

話しbaに参加してみて、
単にいろんな人から情報収集することができた喜びもありましたが、


それよりも僕にとって大きかったことは、


自分にとっての「当たり前」は、
世代や出身地などの異なる人などにとっては
「新鮮」に映る
ことへの気付きでした。

インドア人間にとって、
この「味」を知ることができたのは、かなり大きかったです。

話しbaで得た気づきを、

サークル活動の内容に、直接還元することはできませんでしたが、

日頃の雑談の引き出しを増やすことができたり、

聞き上手な「先輩」のクセを参考にできたりはしたので、

それらを個人単位で、
学内で身近な後輩などと話す際には今も盗用しています(笑)

最近は、僕の行動範囲を知っている周りの人から、

「君は、話しbaに参加しているから話せるようになったんだね」

と勘違いされますが、

実際は、

自分の知らない世界の考え方を聞くことへの抵抗が少なくなった

というほうが近いです。

話しbaの「参加者」から、「運営メンバー」に

話しba初参加から半年後、

僕は3年生になり、

部活のタスクなどでちょっとだけ
「背負うもの」ができたぶん、

意識はどうしても、学内のほうに向いてしまいます。

そんな毎日なので、気を抜いたら
今の僕の原動力の一部となった、
人と話す機会が減ってしまうかもしれない…

そう思い、3年生になっても、
月一回で開催される話しbaには時間を作って参加していました。


ある日、市内の喫茶店で、
話しba運営チームが主催する公開ミーティングがあり、

僕も興味本意で参加していました。

(参加者は10人程度でした)

その後、Facebookを通じ、

主催のひとり
(30代のグラフィックデザイナーさん)から、
運営メンバーへのお誘いをいただきました。

当時の僕は美術部を引退した頃で、

「これからは肩書きは関係ない、『井澤大介』として自分は見られるんだろうな…自分は周りから見たらどういう人間なんだろうな…

そう思っていたところに、声をかけてもらったので、

上の問いの答えを探す機会にもなるかと思い、

(僕に近いバックグラウンドや目線の学生を、個人的に話しbaに誘いたかった目的もありましたが)

当時では唯一の、学生の運営メンバーになりました。
※学生枠というのはありません

学生の発想を、話しbaにも取り入れられたら…!
と思って、

後日行われた本格的なミーティングに、意気揚々と参加しましたが、


現実を見て、度肝を抜かれました。

個人事業主、公務員、教育関係者などが互いの知恵を持ち寄ってきた、

運営チームの話のレベルは、

学生目線の話し合いに慣れてしまった
僕からしたら、「次元の違う」領域
でした…

僕と歳の近いメンバー(社会人)でも、
バンバンアイデアを出してくるので、

僕がこの中にいる意味はあるのだろうか…
そう思った頃もありました。

しかし、その場にいる全員は、
ノリは個々で違いつつも、
いろんな角度の声を聞くことに肯定的

「先輩方」でした。

僕の率直なインドア目線の意見を聞いてくださり、

僕のアイデアも、次第に話しbaの中で採用されていくうちに

少しずつですが、「学内では得られなかった」自信をつけていくことができました。

この後、ギャラリー巡りで仕入れたネタを
時には話しbaに還元したり、

入ってきすぎたいろんな考え方を処理できなくて、大学を休学をしたりしたこともありましたが、

この期間でも、
話しbaとはずーっとお付き合いをしていきます。

こういった場とは無縁そうなインドア人間が、
なによりそれを自分で選んだからではありますが。


2017年の11月の回をもって、話しba自体は

「設立当初の役割を終えた」ために、定期開催を終了します。


ここで得られたもの、この場を起点にして出会えた方々から得られたもの、
もちろん、ギャラリーで出会えた方々から得られたもの…

挙げるとキリはありませんが、

インドア人間でも、地域に顔を出して学ぶことができたこと。その1つは

「対話」する大切さを知ることができたことだと思います。

…そういえば、
毎回このホワイトボードを描くのが、僕のお仕事になっていました(笑)

読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、鳥取のアートシーンで活動されている方々を応援する際に使わせていただきます。