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共感小説 【婚姻届とお寿司屋さん】

作者 泉ひかり

主人公 えりか

夫  さとし


2016年2月2日の出来事だった。


今日は、待ちに待った婚姻届を


市役所に持って行く日。


まだ少し肌寒く、窓は室内との温度差で


少しくもっていた。


えりかは半袖のTシャツに長袖のポロシャツを着て


花柄のリュックを背負い


さとしが準備するのを


ニコニコしながら待っていた。


さとしは、鏡の前で左の口角を


少し上げながら横髪を整えている。


「さとし〜まだ〜?」


「はやくっ! はやくっ!」


さとしの周りをウロチョロしている。


さとしは無言でトイレに入り、すぐ出てきた。


「準備できたぁ?」


「よし!いこうか!」


靴を履いて玄関を出た。


2人は手をつなぎバス停まで歩いた。


バスに乗ってしばらく進むと


(次は市役所前〜市役所前でございます。お降りの方はボタンを押してバスが完全に停止するまで席を立たぬようご協力お願いいたします。)


ピンポーン


えりかが押した。


「つぎ、停車します」


バスを降り、市役所に着いた。


「さとし〜着いたねぇ〜」


「うん」


そして


市役所で婚姻届を無事に出し終わった。


「手続き終わったからそこの寿司屋にでも入るか」


「え!?やったぁ!!」


2人は寿司屋に入り


メニューに書いてある


おすすめコースを頼んだ。


しばらくすると


美味しそうなお寿司がテーブルに並べられた。


「いただきます」


「いただきま〜す!」


食べた瞬間


2人は真顔になった・・・


さとしは無言で食べ終わったが


えりかは泣き出した。


そして


最後のコーヒーが出てきて飲んだ。


さとしは無言で全部飲み


そのあとコップいっぱいの水を飲み干した。


えりかは一口だけで


そのコーヒーは飲みきれなかった。


レジでお金を払い店を出た。


えりかは真顔でさとしに訪ねた。


「ねぇ・・・今のお寿司わさびが効いてたよね?」


「さとしは辛かった?」


すると


「ネタと同じくらいわさびが入ってな」


「よかったぁ〜私だけ辛いのかと思ったぁ〜」


と言いながら笑った。


さとしも頭をかきながら笑った。


波乱万丈の結婚記念の1日は幕を閉じたのだ。


数日後、お寿司屋さんは無くなっていた。


おわり

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