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THE 解説:映画ザ・バットマンの謎解きを英語原文でスクリプトを読みながら

本作を劇場で観ていて日本語字幕が微妙に感じる部分が多かったのですが、最大の原因はナゾナゾのせいだと思います。言葉遊びですから英語で考える必要があります。それを翻訳して文字数が限られた日本語吹替や日本語字幕に反映させるのは至難の業です。(なので結構ばっさりカットされたり、翻訳者によって日本語のダジャレに変更されることが多いです)

しかも本作では全ての問題をバットマンが速攻で解いてしまい、それはそれで観客は日本語の謎解きの意味を考えて理解する必要があるので、日本語話者の観客が日本語と英語をそれぞれ考えて理解するための時間が殆どありませんでした。

なので私は3月に映画館で観ているときは謎解きは諦めて、雰囲気だけ楽しむことにしました。しかし最近になって、4月にスクリプトが公開されていたのに気づいたで、この記事でじっくり読み解いて行きます。

■1問目:

頭をカーペット剥がし器でかち割られた市長の死体に残されていたカードです。封筒には「To Batman」と書かれていました。

From your secret friend. Whoo?
Haven’t a clue?
Let’s play a game, just me and you.
君の秘密の友達からのメッセージ。僕はだ〜れだ?
手がかりが無いって?
じゃあゲームをしよう、僕と君だけでね。

●問題:
What does a liar do when he’s dead?
嘘つきが死んだときにやることってな〜んだ?

●正解:
He lies still.
彼は(ずっと横たわっている/まだ嘘をつく)

●解説:
lieライという動詞には2つの意味があります。
1)横になる
2)嘘をつく
その掛け言葉になっているんですね。

死んだら人は倒れライるし、生前から嘘をつく人ライアーは死んでもまだライをついてる。となるわけですね。

この問題に関しては、私はリアルタイムでライの掛け言葉だとギリギリ理解できていました。

逆に言えばライの掛け言葉になっていると理解できないと、バットマンが「嘘つきは死んでも嘘つきのままだ」と非情なことを言っているだけになってしまうと思います。(笑)(※劇場公開時点で日本語字幕がどうなっていたかは、3ヶ月前に一度観ただけなのでもう記憶にありません)

基本的にはバットマンは根は善人だと思いますので、彼には「バカは死んでも治らない」みたいな冷酷な立場は取ってほしくないと私は思いますけどね。(笑)

原文にあるstillは「状態が続いている」ことを示す副詞で、「ずっと」とか「まだ」と日本語訳できます。このstillは正直あってもなくても良いかな…と一瞬思わせるのですが、実はこの謎解きには暗号文も一緒に載っていて、こちらの文字数を合わせるためにstillが必須になります。(なお今回画像を検索して知ったのですが2020年8月時点で予告編映像をもとに既にファンによって解読済みだったようです。笑)

Redditでの2020年8月24日の投稿より引用

そして、この文字の変換表は第2問の暗号解読のためにも必要になります。

■2問目:

市長の殺害現場に残されていたもう一つの暗号文です。ブルースがコンタクトレンズに仕込んだカメラの映像からプリントアウトして、事件の翌朝にブルースとアルフレッドが協力して解読しました。適切な文字だけ残すとDRIVEという文字が現れたやつです。

[lead detective] There’s a cipher too.
主任刑事)暗号文もありました。
[Gordon] Any of this mean anything to you?
ゴードン)何かわかるかね?
[camera shutter clicking]
スクショを撮る音パシャリ)
[Alfred] The killer left this for the Batman?
アルフレッド)殺人鬼はバットマンに手紙を残していたんですか?
[Bruce] Apparently.
ブルース)そのようだ。
[Alfred] You’re becoming quite a celebrity. Why is he writing to you?
アルフレッド)随分とセレブになったものですな。なぜあなたに手紙を?
[Bruce] I don’t know yet.
ブルース)まだ分からん。

●問題:

暗号文。画像がネットに落ちてなかったので省略。

●正解:

DRIVE(=つまり駐車場の車を見ろってこと)

●解説:

台詞で説明されているので引用しながら解説します。

Some fresh berries there.
よし、だいぶ進んだぞ。
What are you doing?
何してる?

Just reminiscing about my days in the Circus. [inhales sharply] This is actually quite elusive.
かつてザ・サーカス(MI6:英国秘密情報部)に在籍していた時のことに思いを馳せていただけですよ。(深呼吸して)これはなかなか難しそうですな。
Where’d you get those O’s?
このマル印はどうやってつけたんだ?

[Alfred smacks lips] “He lies still” is only a partial key. It only gives us H, E, L, I, S, and T. So, I’m looking for any double symbols to start, trying letters, see where it leads.
(唇を鳴らして)「死んでも嘘をつく」は部分的なキーです。この文章にはHとEとLとIとSとTだけが使われています。だからまずは同じ記号が続く箇所を探していたんです。他の文字を特定するために。そうすれば何か見えるかと思いまして。
That’s interesting.
興味深いね。

キーというのは暗号を解く手掛かりですのことです。

現時点までにリドラー暗号のアルファベットの大部分はファンによって解析されたようですが、映画の中でアルフレッドはまだ6文字だけだったので、残りの20文字を特定するべく昔ながらの解読方法(2つ続く文字は基本中の基本)でトライしていたということでしょう。

Redditでの2022年2月19日の投稿より引用

しかしブルースはそうは考えませんでした。

What if it’s not a partial key?
もし部分的なキーじゃ無いとしたら?

What do you mean?
どういう意味ですか?
What if this is the whole key? Ignore the symbols we don’t have letters for. Use only the letters from “He lies still” and leave the rest…
もしこれでキーが全て揃っているとしたら?他の文字を全部無視するんだ。「死んでも嘘をつく」に含まれる文字だけを使って、残りの文字は…

Blank. Yeah, I understand. But that would leave most of the cipher unsolved. I don’t see how that’s gonna… Oh.
空白にするんですな。なるほど理解しました。しかし、この手の方法は大抵の暗号を解決してしまうものです。今回はどうなるでしょうか…おお!

6文字以外の余計な文字を消すと、画面にババーンと「DRIVE」という大きな文字が現れます。

この解き方は完全に私の記憶から消えていました。おそらく劇場でリアルタイムでは理解していなかったと思います。「なんか上手いことやって文字をチョイスしたらDRIVEという単語が浮かび上がったのかな」くらいの認識でした。

なぜ私は当時理解しなかったのか。

それはこの解き方が難しすぎるから?

いいえ、違います。

その逆です。この解き方が簡単すぎるからです。(笑)

「死んでも嘘をつく」の文字が6文字だと気づいて、その文字にマルをつけた時点でうっすらDRIVEが浮き上がってきそうなものでしょうが。そういう『素直な解き方』を最初からすれば良いもののを、アルフレッドが「このキーは部分的だから他の文字をゴニョゴニョ」と喋っていることで話がゴチャゴチャになっています。ロジカルじゃなさすぎて『ちょっと何言ってるのか分からない状態』(サンドウィッチマン)に私はなったようです。(笑)

もしくは、これはアルフレッドがブルースを気持ち良くさせるために、わざと解けてないフリをして、美味しいところをシャワー上がりのブルースに渡した?という妄想や二次創作に使える案件かもしれません。(笑)

そもそも、この映画では暗号文や謎を短い時間しか映さないので、観客に謎解きすることを基本的には求めません。つまりブルースがアルフレッドやゴードンやセリーナそしてリドラーと相手を変えながら会話するのが本作の見どころであり、本質的にはバディ物の萌え要素だけで突き進んでいく映画なんですよね。ここらへんが「本作はスリラーとして凡作だ」と評価する人が一定数いる理由でしょう。

さて、この場面は「ブルースとアルフレッドが協力して暗号を解いた」ことさえ理解できれば十分な描かれ方だったので、私は雰囲気だけ楽しんで、謎のカラクリについては真剣に考えていませんでした。なので、こうして後からよく読んでみたら想像以上に楽勝な問題だったので呆気に取られています。(笑)

■3問目:

市長殺害の翌日に、ヒ素(ネズミ用毒団子に使われる薬剤)を首筋に注射されて、ネズミの集団に顔をかじられて絶命したピート警察本部長が座っていた椅子…と一緒に残されていた手紙です。

“I’m mad about you. Want to know my name? Just look inside and see.”
僕は君にゾッコンなんだ。僕の名前を知りたい?封筒の中を見てくれたら分かるよ。

●問題:

Follow the maze until you find the rat.
Bring him into the light, and you’ll find where I’m at.
ネズミRATを捕まえるまで迷路を進め。
そいつを灯りLIGHTに持っていけば、僕がどこにAT居るか分かるよ。

●正解:

URL rataalada

●解説:

ネズミが走り回った迷路に彫られた暗号を解くと、「You are El Rata Alada」になるので、前半をURLと読み替えて、そのウェブサイト(rataalada.com)にアクセスすることでリドラーと通信できるというものでした。

ただし、映画では回り道をしているので順を追って解説します。

最初にバットマンはカードに書かれた文章から考察を始めました。

ネズミRATには裏切り者というニュアンスがあります。たとえばUrban Dictionaryでは「A person you can not trust(信用できない人物)」と書いてあります。

この謎解きを見つけた直後のゴードンとバットマンの会話が楽しいです。

[Gordon] The hell is that? “Bring him into the light”? “Find the rat”?
なんじゃこりゃ?「灯りにネズミを引っ張り出せ」?
[Batman] I don’t know.
分からん。

バットマン正直すぎるやろ。(笑)

そんな折に、失踪したルームメイト探しを口実に強引に協力させたセリーナが侵入したナイトクラブで、タイミング良く検事がネズミの話をします。

都合良すぎるのも笑えますが、映画を観ているお客さんのために状況を説明してくれるバットマンも面白いです。

[Colson] I mean… there was a rat. We had an informant. We had big-time information on Salvatore Maroni. That’s how we got him out of the drops business.
つまりネズミがいたのさ。スパイさ。マローニの情報を大量に仕入れた。それがマローニをこの麻薬ビジネスから追い出せた秘訣さ。
[Batman] He’s talking about the Maroni case.
こいつ、マローニのことを喋ってるな。キラーン👀

さらに居合わせたカーラという女から失踪したルームメイトの話題が飛び出しました。全員、口が軽すぎるのよ。(笑)

[Colson] But if this guy knows, it’s gonna come out. And when it does, this whole city’s gonna come apart.
もしリドラーがネズミが誰か知ってるなら、もうすぐ世間に知られるね。そしてそうなったら、この街はバラバラになっちまうぞ。
[Carla] Okay, I don’t wanna hear this. This is the kind of pillow talk that got that Russian girl disappeared.
オーケー、もう私は聞きたくないわ。そういうのはピロートークでするもんよ、もっともそれであのロシア女は消されちゃったけど。

そのままセリーナが検事をそっちのけでルームメイト捜索に突っ走ってしまい、バットマンが持たせた通信機能付きコンタクトレンズもトイレに捨ててしまったので、仕方なくバットマンはゴードンを呼び出します。

[Batman] What do you know about a confidential informant in the Maroni case?
マローニ逮捕のために潜入捜査した警察官について教えてほしい。

[Gordon] Yeah, sure, there was.
そうだな、まあ、確かにいたよ。
[Batman] That’s the rat we’re looking for. Somehow Riddler knows who he is. If we find the rat, maybe it’ll lead us to him.
そいつが俺たちが探しているネズミだ。リドラーは何らかの方法でそいつが誰か知っている。つまりそいつを見つければ、リドラーに近づくことができる。

[Gordon] Where are you getting this?
お前、その情報をどこから仕入れたんだ?
[Batman] I have a source who spoke to the DA tonight.
今夜、検事さんとお話した情報源だよ。ドヤッ

いやいや、ゴードン、あんた鈍感すぎるやろ。あと色々ゆるすぎる(笑)

私、これが映画館じゃなかったら、ゲラゲラ笑いながら観たかったです。(笑)

ゴードン、大丈夫なのでしょうか。陰謀と犯罪が渦巻くゴッサムシティで彼は今後うまくやっていけるのでしょうか。ネズミのことを裏切り者だと言われるまで気づかなかったとか、市長と警察本部長がマローニ逮捕のことで危険な橋を渡っていることを知らなかったとか、実はコルソン検事も汚職に手を染めているのを把握してないとか。これって70年代のテレビシリーズのバットマンのノリなのかもしれませんね、実直で真面目だけど少し天然で間抜けなゴードンのキャラクターが。周りの腐敗を把握した上で知らんふりを続けるノーラン版(ゲイリー・オールドマン)や、時には裏社会の人々を利用して捜査を進めるドラマ版ゴッサムのゴードンが、少し現代的で頭が良すぎたのかもしれません。

結局ナイトクラブにセリーナが潜入する必要ゼロだったんですよね、ゴードンがもう少し頭が良い男だったら。映画的には、これだけ長い尺を使って、新情報ゼロなんですよ。だってゴードンが自分で話してるし、政治家や警察官や司法関係者が汚職まみれであることはバットマンは最初から知っていたんですから。

つまり、ナイトクラブの格好良い照明と音楽の中を、セクシーな衣装で、胸のあたりを男性客にジロジロ見られながら(それをブルースが驚いてるのかいじってるのかよく分からないリアクションあり)、肩で風を切って歩くセリーナ(ゾーイ・クラヴィッツ)…のビジュアルを映画に入れたいだけで撮られたシーンだと言っても過言ではありません。こんなことしてるから3時間に膨らむんだよ。(笑)

[Batman] These guys have a little problem with eye contact, don’t they?
なんかコイツら人と目を合わせるのに問題がありそうだな。(*ちょっと男子、いま胸見てたでしょ!最低!)

[Selina] Feels good, doesn’t it?
あら、いい気分じゃない?

そんな骨折り損のくたびれ儲けの翌朝、またしてもアルフレッドがヒントをくれます。ブルースがセリーナとナイトクラブでバーチャルデートに興じている間に、アルフレッドは警察本部長の顔に固定されていたネズミの迷路に彫られた暗号を解読していました。

[Alfred] I’ve taken the liberty of doing a little work on this latest cipher. The one from the rat maze. I’m afraid his Spanish is not perfect, but I’m fairly certain this translates to, “You are El Rata Alada.”
最新の暗号に取り組む時間がありまして。ネズミの迷路に彫られていたやつです。犯人のスペイン語は完璧ではないと思うのですが、まあでもこの翻訳であっていると思うのですが、「お前がエル・ラタ・アラーダ」になりました。
[Bruce] Rata Alada? “Rat with wings”?
ラタ・アラーダ?「翼のあるネズミ」?

[Alfred] It’s slang for “pigeon.” Does that mean anything to you?
これは「ピジョン」のスラングです。何か心当たりはありますか?
[Bruce] Yeah. A stool pigeon.
ああ。スツール・ピジョンのことか。

スツール・ピジョン。直訳すると「椅子の鳩」「切り株の鳩」ですが、アメリカ英語ではスツールに「狩猟に使うおとりの鳥」という意味があり、ここから転じて「おとり捜査官」という意味になります。この言葉を知らないと厳しい会話です。私も辞書を引きながら理解しました。(笑)

もし私が字幕・吹替担当者だったら「警察用語でハトはおとり捜査官のことだ」って日本語訳しますかね。(*日本の警察だと「身体拘束者がこっそり連絡すること」なので紛らわしいのですが)

これだけ謎解きを仕掛けてくる犯人がスペイン語に弱いと推定するアルフレッドがまた素っ頓狂で可笑しいです。…実は後からこの推察は間違いだったと分かるのですが。(笑)

ここでブルースは市長の葬式に出掛けます。そこでコルソン検事が首に爆弾を巻かれた状態で現れます。リドラーから電話がかかり、ネズミが誰なのか暴露するように要求されますが、家族の無事を優先するコルソンは拒否して爆死します。名前を出すくらいなら死んだほうがマシなほど恐ろしいネズミとは誰なのか。再びバットマンとゴードンの会話。

The Rata Alada.
ラタ・アラーダ。

The what?
らた、はっ?
Riddler’s latest.
リドラーの最新の謎解きだ。

The cipher in the maze.
迷路にあった暗号のことか。
It means “a rat with wings.” Like a stool pigeon.
「羽のあるネズミ」という意味だ。スツール・ピジョンのような。

A penguin’s got wings too.
ペンギンにも羽があるな。
Time for me to have another conversation with him.
ここは一つ、ヤツと直接話してみよう。

普段から謎解きが好きな人達から見たら、イライラするくらいフワっとした考えで行動していませんか、この二人。(笑)

What about the Riddler? He’s gonna kill again.
ちょっと待てリドラーのことはどうするんだ?また殺しをやるぞ。
It’s all connected. Like it or not, it’s his game now. You want to find Riddler, we gotta find that rat.
全ては繋がっている。望むか望まないかに関わらず、これはヤツのゲームだ。リドラーを見つけたければ、ネズミを見つけるんだ。

謎解きのロジックの説明もそこそこに、いまなぜペンギンに会いに行くのかを強引に(映画を観ているお客さんに)説明するバットマンなのでした。(笑)

It’s a drug lab. Drops. This is a buy. Looks like they got Maroni’s operation up and running again. Or they never shut it down at all.
麻薬の製造工場だ。ドロップだな。これは売買の取引だ。マローニの生産ラインをめしあげて、自分たちで再開したらしい。もしくは、そもそも一度も止めずにずっとやり続けてきたのか。

[Gordon] What are you saying? The biggest drug bust in GCPD history was a fraud?
ちょっと待て。ゴッサム市警で最大の麻薬摘発がフェイクだったのか?

ゴードンの脳みそお花畑と、70年代テイストの頭が悪そうな会話に、もう私の笑いは止まりません。

さて。こうしてペンギンを見つける過程で、ペンギンがマローニの麻薬ビジネスを後継していたことも分かったので、二人は確信を強めました。激しいカーチェイスの末にペンギンを捕まえて、廃墟で足を縛り付けて怒鳴りつけてと強気で尋問します。しかし残念ながら、それらはどれも見当外れな言いがかりばかりで、スペイン語が堪能なペンギンから二人は逆にバカにされるのでした。

There’s only one problem with your little scenario, okay? I ain’t no rat!
お前らのくだらねえシナリオには一つ問題がある。いいか?俺はネズミじゃねえんだよ!
Oh, you don’t wanna talk about rats, huh? Maybe we can talk about what they did to my partner’s face.
ほほう。ネズミの話はしたくないのか。だったらネズミが私の同僚の顔に何をやったのかについて話そうか。

Holy God, what are you showing me here?
うげえ。なんだよこれ、お前何を見せてるんだよ?
This was around his head!
これは同僚の顔だよ!

Come on!
勘弁してくれよ!
Open your eyes! Are you El Rata Alada?
ちゃんと見ろ!お前がエル・ラタ・アラーダなんだろ。

El Rata Alada?
エル・ラタ・アラーダ?
Yeah, a “rat with wings.” A stool pigeon. That’s not you? The symbols in the maze, right here. It says you are El Rata Alada.
そうだ。羽のあるネズミ。スツール・ピジョン。それがお前なんだろ?迷路に記号が書いてある、ほらここに。書いてあるぞ、お前がエル・ラタ・アラーダって。

“You are El Rata”? It says that?
「お前がエル・ラタ・アラーダ」って書いてあるのか?
Why, you got something to tell us?
そうだ。何か言いたいことがあるのか?

Yeah! It’s, like, the worst Spanish I ever heard.
おうよ!これは酷いスペイン語だぞ。
What?
なんだと?

It’s “La.” “La” rata.
「ラ」だよ。ラ・ラタ・アラーダ。
What, is this Riddler stupid or something?
え?リドラーが間違えたのか?

Jesus! Look at you two. World’s greatest detectives! Am I the only here knows the difference between “el” and “la”? Jesus! No habla español, fellas?
神よ!この二人の間抜けヅラをご覧ください。これが世界で最高の警察コンビです!私だけが「エル」と「ラ」の違いが分かるようです。神よ!あなたはスペイン語をお話しにならないのでしょうか?

スペイン語の冠詞は「ラ」です。「エル」ではありません。

お気づきでしょうか。2問目に引き続き、またしてもアルフレッドにしてやられました。(笑)

[Alfred] I’ve taken the liberty of doing a little work on this latest cipher. The one from the rat maze. I’m afraid his Spanish is not perfect, but I’m fairly certain this translates to, “You are El Rata Alada.”
最新の暗号に取り組む時間がありまして。ネズミの迷路に彫られていたやつです。犯人のスペイン語は完璧ではないと思うのですが、まあでもこの翻訳であっていると思うのですが、「お前がエル・ラタ・アラーダ」になりました。

いや、彼にしたって「リドラーはスペイン語が苦手のようですなー」みたいなことを言っていました。しかし、それを甘く見たブルースと、バットマンの言葉を鵜呑みにしたゴードンが悪いのです。(笑)

しかしここまで見当違いな思い込みでペンギンのことを散々痛めつけたくせに、バットマンは一瞬でシカトを決め込んで謎解きに夢中になります。リドラーは間違いじゃなくてわざとエルにしたってことは…You are エル…ひょっとして…URL…ってこと?

You are El Rata Alada
→ U R L  Rata Alada
→ U R L  www.RataAlada.com

すぐにゴードンのPCを取り出して、URLにrataalada.comを打ち込んでアクセスする二人なのでした。いやいやいやいや。お前らセキュリティ意識低すぎやろ!つい先日怪しい親指USBをぶっ刺してパパラッチ写真をメールで警察やらマスコミやらに大量自動送信されてしまったのを忘れたのかよ!(笑)

ということで、ペンギンはあらぬ嫌疑をかけられて、危険なカーチェイスに巻き込まれて死にかけて、ゴードンとバットマンに恫喝されて、足を縛られた状態で廃墟に放置されます。ゴードンとバットマンの方がよっぽどヤクザです。これも制作の舞台裏を考えれば、どうしてもカーチェイスのシーンを入れたくて無理矢理入れてきたとしか考えられません。こういうことをしてるから映画が3時間に膨らm(以下略)

ただし、足を縛られてピョコピョコ歩くコリン・ファレルは本物のペンギンみたいで可愛かったですね〜。カーチェイスは文句なしに格好良かったです。だからまあ、許してあげても良いでしょう。(笑)

===
余談ですが、このウェブサイト(ラタ・アラーダ・ドットコム)は実際に作られて、そこの謎問きをクリアするとジョーカーの削除シーンが観られるというプロモーションも実施されていました。

そして現在はそのキャンペーンは終了していて、蓋絵には「ゴッサム市警G C P Dによって」と書かれて謎解きには挑戦できない状態です。芸が細かいですね。

■4問目:

時間がやや戻りますが、コルソン検事が首に爆弾を巻かれた状態でテレビ電話で出されたものです。

Now, ever since I was a child, I’ve always loved little puzzles. For me, they are a retreat from the horrors of our world. Maybe they can bring some comfort to you too, Mr. Colson.
さて。私は子供の頃からいつも謎解きをしていた。私にとって謎解きは、この世界の恐怖から逃れるための手段だった。おそらく謎解きはあなたにとっても安らぎを与えてくれるだろう、コルソン検事。
You want me to do puzzles?
私に謎解きをしろと言っているのか?
Three riddles in two minutes. You give me the answers, and I’ll give you the code for the lock.
2分間で3問。あなたが正解できたら、私は首輪の解錠コードを教えよう。

●問題4-1

“It can be cruel, poetic, or blind, but when it’s denied, it’s violence you may find.”
残酷で、詩的で、もしくは目に見えなくて、でも否定された時には、暴力的になるもの、な〜んだ?

●正解4-1

“Justice.”
正義。

And you were supposed to be an arm of justice in this city, along with the late mayor and police commissioner, were you not, Mr. Colson?
あなたはこの街の正義の武器となることを期待されている。先日亡くなった市長や警察本部長と同じように。そうでしょう、コルソン検事?

バットマンが速攻で解いてたんですけど、これについてはどうしてこの正解に辿り着くのかスクリプトを見てもよく分かりません…(笑)

●問題4-2

“If you are justice, please do not lie. What is the price for your blind eye?”
もしあなたが正義を貫くなら、嘘はつかないで。あなたが目を瞑るために幾ら掛かったの?

●正解4-2

“Bribes. (Ten grands a month.)”
賄賂。(1ヶ月につき1万ドル=120万円)

[Colson] I get a monthly payment just not to prosecute certain cases.
特定の事案を起訴しないことについて毎月賄賂をもらっていたよ。
[Batman] What cases?
どの事案だ?

[Colson] He didn’t ask me that!
それは訊かれてないだろ!
[Riddler] That’s my answer. It’s ten grand! Okay. Okay. Okay. Don’t lose your head, Mr. Colson. Just one more to go before your time runs out.
正解だよ。1万ドル。おっけ、おっけ。怒らないで(頭を無くさないでルーズヘッドしないで)、コルソン検事。あと1問、制限時間内に解いてね。

どさくさに紛れて詳しく聞き出そうとするバットマンに草。

●問題4-3

“Since your justice is so select, please tell us which vermin you’re paid to protect.”
あなたの『正義』はよく選び抜かれたものですね。あなたがお金をもらって守ったネズミは誰ですか?

●正解4-3

“Falcone.”
ファルコーネ。

この問題はコルソン検事は答えられず爆死します。注目すべきは、この時のバットマンとコルソンの会話です。正義を標榜するバットマンがリドラーと一緒になってコルソン検事を追い詰める形になっています。マジで狂ってますよね。(褒めてる)

The informant you all protect from the Salvatore Maroni case. What’s his name? He’s gonna kill you.
マローニ捜査であなたが守った情報提供者だ。彼の名前を言え。殺されるぞ。

I’m a dead man either way. You’re talking to a dead man, okay? If I go out this way, it’s just me. But if I give over that name, I have family, people I love. He’ll kill them too.
私はどちらにしろ死んだも同然だ。君が話しているのは死人だよ。いいかい。もしこのまま爆発したら、死ぬのは私だけだ。でももし名前を出してみろ、私には愛する家族がいるんだ。言ったらそいつに家族まで殺されてしまう。
Who will?
誰がそんなことをするんだ?

People are watching.
見てる人達さ。
What people?
どの人達なんだ?

It’s so much bigger than you could ever imagine. It’s the whole system!
君が考えているよりずっと大きいんだよ。この街の全てさ!

言えないって拒否してるのに「Who will?」って問い詰めるバットマンがマジで鬼畜です。(笑)

●解説:

あのさ、20年程前にナイティナインのバラエティ番組内のコーナーで、出演タレントに恥ずかしい暴露をさせるクイズ番組のパロディがありましたよね。クイズ・マジオネアって言うんですけど。それと完全に同じ流れですよね。ご存知ない方は適当に検索してください。(笑)

コルソンが4-3に正解する前に頭を爆破されてしまったので、バットマンがリドラーに接触するチャンス(手掛かり)は消えてしまいました。しかし、偶然にも次の5問目の謎の正解が4-3の正解にも繋がるというラッキーが起きます。失敗しても別のルートを残してあげる優しいリドラー。(笑)

■5問目:

3問目の正解であるウェブサイトで出題された謎解きです。

●問題:

I grew up from a seed, tough as a weed. But in a mansion, in a slum, I’ll never know where I come from. Do you know what I am?
僕はタネから生まれて雑草のようにタフに育った。しかしスラム街のマンションで、僕はどこから来たのかを知ることはない。僕は誰でしょうか?

●正解:

An orphan.
孤児。

●解説:

まず「どこから来たのか分からずに育った」ということで「親を知らない=孤児」となります。

また「スラム街にある(孤児が育った)屋敷」ということで、過去に焼け落ちたウェイン財団の孤児院ということになります。

Any idea?
わかるか?
Yeah. It’s an orphan. A mansion in a slum. He’s talking about the old orphanage.
ああ。孤児だ。スラム街のマンション。古い孤児院のことだ。

The one that burned down?
あの焼け落ちたやつか?
It was part of the Wayne estate. They donated it after they built the tower.
ウェイン財団の資産だった。タワーの後に施工された。

Let’s go.
よし、行こう。

そこでゴードンとバットマンは、無実の罪で尋問(拷問)していたペンギンの足首を縛ったまま放置して、現場に急行します。(この二人マジで鬼畜なんだが。笑)

■6問目:

ゴードンとバットマンが孤児院跡に向かったときに、すでに次のターゲットであるブルース・ウェインにはリドラーから小包みが届いていました。ウェインタワーでアルフレッドが開けた瞬間に小包みは爆発し、その中に耐火包装紙で保護されていたバットマン向けのメッセージカードの問題です。

Dory! I need to speak to Alfred!
ドリー!アルフレッドと話をさせてくれ!

Oh, Mr. Wayne…
おお、ウェイン様…
Listen to me! Something terrible is gonna happen!
聞くんだ!とても良くないことが起こる!

I’m afraid it already has, sir.
もう起きてしまいました、ウェイン様。
[Gabriel Faure’s “Requiem: In Paradisum” continues playing]
(BGMはガブリエル・フォーレの『
レクイエム』)
About an hour ago. I’m so sorry. I’ve been trying to reach you.
1時間ほど前に。申し訳ありません。ずっとご連絡しようとしておりました。

●問題:

See you in hell.
地獄で会おうぜ。

●正解:

Arkham Asylum.
アーカムアサイラム。

●解説:

これは厳密には『謎解き』ではないかもしれません。

元々のリドラーの計画としては、

  1. 小包み爆弾でブルース・ウェインを殺す。

  2. 爆破現場にバットマンが現れて手紙(See you in hell)を読む。

  3. ウェイン家の過去(マーサ・ウェインが精神異常者だったことと、それを知った記者をトーマス・ウェインがファルコーネに暗殺指示したこと)をリドラーがSNSで暴露する。

  4. その暴露を証拠にファルコーネが逮捕されるタイミングで、リドラー自身がライフルでファルコーネを射殺する。(実はリドラーはナイトクラブの隣のアパートに住んでいた!)

  5. リドラーが警察に捕まってアーカム精神病院にぶち込まれる。(3問目の謎解きの「裏切り者RATを見つけて灯りのところに連れて来い、そしたら僕のことを知れるよ」にも繋がる)

でした。

なので、捕まってアーカムに収監された自分に、バットマンに会いに来るように、一種の招待状として贈られたメッセージでした。だから敢えて謎解きとして扱うなら、『地獄』の正解はアーカム精神病院ですね。

ちなみに、本来はブルースが死んでからウェイン家の過去が暴露される段取りだったので、ブルースは「母の両親に不幸があり入院したことと父が殺人を指示した事実」を知らずに済んだはずだったので、その点では同じ孤児であるブルースに対してリドラーはある程度の優しさを持っていたと言えるでしょう。結果的には小包爆弾が失敗して生き延びてしまったから、ある意味でもっと大きな苦しみを与えることになりましたが。

当初の想定VTR
お前の母は精神異常者で父は人殺しだ!だからお前はその罪を受け継いで死んだんだ!はーはっはっは。

変更されたVTR
お前の母は精神異常者で父は人殺しだ!お前はこの罪を受け継いで責任を取れよな!はーはっはっは。

この一連の暴露はブルースの両親について謎を残したまま終わります。これについては長くなるので別記事にまとめました。この映画の裏テーマの核心をついた文章になっていると思いますので、興味がありましたら、そちらもご確認ください。

■箸休め(偶然のラッキーについて):

コルソンが4-3の回答を拒否したため、バットマンはファルコーネに辿り着けなくなりました。

しかし偶然にも、セリーナがルームメイトのアニカを拉致した汚職警官ケンジーを拘束したら運よくセリーナのスマホが無事に回収できました。(なぜケンジーはさっさと捨てるなり壊すなりしなかったのだろうか;セリーナとアニカの秘密のニャンニャン動画でも入っていたのだろうか;笑)

そこで録音を聴いたケンジーがあっさりと真相をしゃべります。(コルソンは家族に危険が及ぶからと言って黙秘を貫いたのに薄っぺらい男だ)

After Thomas Wayne died, they all went after it like vultures. The mayor, Falcone, Maroni. Everyone got in on it. It was perfect for making bribes, laundering money. A huge charitable fund with no oversight. Everybody got a piece. But Falcone wanted more. So he orchestrated a play to take Maroni down big. He’d rat out his drops operation, make the careers of everybody that went after him, then install them all as his puppets. You think this goddamn election matters? Falcone’s the mayor. He’s been the mayor for the last 20 years.
トーマス・ウェインが死んでから。奴らは全員ハゲワシのように集ったのさ。市長も、ファルコーネも、マローニも。みんなさ。賄賂を作るときのマネーロンダリングに最適だった。間違いなしの慈善目的の巨大な基金だ。誰もがおこぼれにあやかった。だがファルコーネはもっと欲しがったんだ。それで奴はマローニを失脚させたんだ。それでマローニのドロップ稼業を盗んで、みんなに仕事を与えて、みんなを奴の操り人形にしたのさ。この市長選に意味があると思ったか?市長はファルコーネだよ。この20年間ずっと、奴が市長だったんだ。

この録音とケンジーの証言が決め手となってゴードンはファルコーネの逮捕へと動き出しました。

ちょっと待って。

これって、、、

もう謎解き全然関係ないところから情報出てきた〜〜!(笑)

謎解きの意味!(笑)

もうさ、セリーナが居なかったら、どうなってたんだよ!(笑)

ケンジーがもう少し頭が良くて、さっさとスマホを処分してたら、どうなってたんだよ!(笑)

それ以前に、たまたま殺された市長の愛人の若い女にルームメイト(しかもバイセクシャルの恋人)がいて、それがセリーナだったから、ここまで協力してくれただけですよね。それって市長は一体どんな確率のレアガチャ引いたんだよ?(笑)

しかし。

実はセリーナが居なくても、リドラーの暴露VTRの中でファルコーネの名前は出てるので、バットマンなら単独でナイトクラブに押し入ってファルコーネを脅迫しながら尋問とか普通に出来たと私は思います。当然、同じことはケンジーに対しても出来たでしょう。

つまり、映画にセリーナが登場する意味を持たせるために、すでに出来上がった物語に後から都合よく核心部分として彼女の活躍が盛り込まれた感じがすごく強いのです。このためにバットマン(とゴードン)の活躍の場が奪われ、むしろ2人がマヌケに描かれることになってしまったのが個人的には残念に思います。セリーナの必要性については別記事にも丁寧に書いたので興味がある方はそちらもどうぞ。

ケンジーの告白を聴いて逆上したのかセリーナは、ケンジーから奪ったピストルを握りしめて「ファルコーネを殺しに行く」とバットマン達の静止を振り切って飛び出してしまいます。「彼女より早くファルコーネを確保しないとリドラーに会えなくなる」と懸念したバットマンはゴードンに警察を手配させて、間一髪のところでセリーナの父親殺しを阻止して、警察は無事にファルコーネの身柄を確保しました。

しかしナイトクラブを出たところで、向かいのアパートに潜んでいたリドラーにライフルで撃たれファルコーネは絶命。すぐに逮捕されたリドラーから面会を求められたバットマンはアーカムへ接見に向かうのでした。

さて、それでは最後の謎解きに参りましょう。

■7問目:

接見に訪れたバットマンから、「俺とお前は違う」とはっきり断言されて激昂するリドラー。それまでの崇拝する態度から打って変わってバットマンを侮蔑するようになります。

This is not how this was supposed to go! Ahhh! I had it all planned out! We were gonna be safe here. We could watch the whole thing together.
こんなはずじゃなかったのに!ああああ!全部計画したのに!僕たちはここなら安全に、ここから一緒に全てを見守るはずだったのに。
Watch what?
何を見守るって?

Everything! It was all there. You mean, you didn’t figure it out? Oh, you’re really not as smart as I thought you were. I guess I gave you too much credit.
全部だよ!全て整ってる。え、もしかして、何のことか分かってないの?な〜んだ、思ってたほど頭が良くはないんだね。ちょっと君のこと買い被ってたみたいだよ。
What have you done?
きさま、何をしたんだ?

●問題:

What's black and blue and dead all over?
黒くて青くて死んでいるものってなんだ?

●正解:

You.
お前だよ。(バットマンのこと)
If you think you can stop what’s coming…
ただし、もし君がこれから起こることを止められると考えている場合に限る。

●解説:

これも厳密には謎解きではないですね。すぐに正解を発表してますし。

黒くて、青くて、死んでいるのが、バットマン。

黒いのは服装で、青いのは水死体だから、かもしれません。

ただし条件付きです。ただしイケメンに限るみたいなノリでこう続けます。「もし止められると思ってるならね」と。

つまり、今から起きること(堤防爆破による洪水)を止めようと抵抗すれば巻き込まれて死ぬよ、と警告しているだけです。

逆に言えば、大人しくアーカムの中にいれば命の危険は無いということですね。最後まで優しいリドラーでした。

この後、もちろんバットマンはリドラーの謎の計画を阻止するために動きます。手掛かりを探すためにリドラーのアパートを調べて、カーペットの下から地図を見つけますが、結局は時間切れで、ゴッサムシティを囲む堤防は爆破されてしまいます。そしてバットマンは新市長候補を助けるために現場に急行し、そこでリドラー部隊に殺されそうになる、という流れです。(結果的にはセリーナの助けもありバットマンは死なずに済んだ)

= = =

■まとめ:

はい、そういうことで、リドラーの謎解きを全て解説してきました。

この記事が皆さんの謎解きの理解の助けになれば幸いです。

個人的には、この映画は謎解きとしてはあまり上手くないというか、解釈がいくらでも出来てしまう粗悪な問題が多かった気がします。

それゆえに映画の展開でもミスリードが結構多くて、登場人物がマヌケな思い込みで行動する場面も散見され、しかも謎解きに全く関係ない人物(セリーナとアニカとケンジー)からポンと有力情報が提供されてしまうなど、割と肩透かしの展開が多くて(奇を衒いすぎたか、もしくは強引な脚本変更が足を引っぱったのか)純粋なミステリーとしてはあまり高品質ではないと思いました。

まあでも映画全体では、衣装とか美術とか照明とか画面構成などの雰囲気作りはバッチリで、あまりシリアスに考えないで観ていれば大いに楽しめる映画だったと思います。つまりダークなヒーロー映画としては十分ちょうど良いチューニングだったと言えるでしょう。

続編があるような雰囲気だったし、マット・リーヴス監督が続投するなら、次はミステリーで頑張ろうとしないでアクションとか世界観にもっと振り切って制作してくれたら嬉しいです。

了。

*この記事の中で特に言及がない画像は全て映画『ザ・バットマン』の公式予告編から引用しました。

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