見出し画像

『練習の質』を上げると、強い相手には勝てない

スポーツをやるほぼ全員が、“自分より強い相手”を追い抜く必要に迫られる。
いやいや自分はすでに最強だから、という人も少ないながらもいるかもしれない。
しかしそのカテゴリのチャンピオンでも、『その先』はある。
地区チャンピオンならば全国大会、日本チャンピオンであればアジア大会や世界大会。唯一、世界チャンピオンだけは自分より強い相手がいないと言えるだろう。
しかしそれは優勝したその時だけであり、その後も自分が最強という保証ではない。
すなわち、スポーツで勝利を追い求める行為とは、常に自分よりも強い可能性が高い相手に勝利することを目指す在り方を意味する。

この記事を読んでくださっている方は、おそらくかなり頭を使ってトレーニング方法なども工夫し、一般的なレベルよりも高い精度でご自身を研鑽されていると思う。
だからこそ問いたい。
『自分より確実に強い相手』に勝つ為の行動をとっているか。
注意してもらいたいのは、ここで問いたいのは対戦が決まっている強豪を分析しその弱点を突く、という意味ではないという点だ。


私の言いたいことを簡単に言い換えるならば、『時間の使い方』と表現できる。パフォーマンスの向上と時間の概念は非常に深い関係にある。
大会など試合の日が決まっていることで、今この瞬間から試合までに使える時間は”完全に”同じだ。
もちろん自分と相手のスタート地点は異なる。自分の方が強いこともあるし、相手の方が強いこともある。

いずれにせよ相手の方が強いと位置付けて『使える時間』の過ごし方を考える方が当然妥当である。



つまり、同じ期間で自分より強い相手よりも成長しなければならない。ということがタスクとなる。そうでなければ”その日”までに相手との差は縮まらない。
(相手が調子を落としてくれれば縮まることは可能かもしれないがそんなことを願う人はここの読者にはいないだろうし)


コーチはその期間で相手よりも早く成長する練習を提供しなければならない。
選手自身はその期間で相手よりも早く成長する練習と日常の過ごし方を実行しなければならない。
私の立場(身体操作の指導)であれば、、、これは結構重要なので後述する。


『同じ期間で相手よりも早く成長する』というタスクは思っている以上に難しい。
試しにそのために実施することを列挙してみてほしい。

選手のパフォーマンスアップをサポートする立場の人は、これが出来ないといけないのは異論ないはずだ。




『誰よりも練習した』は無意味

『練習量』がその項目に入ってきた人もいるかもしれない。
もちろん疲労や集中力などを考慮した上で成長する効率を最大化できる練習量は不可欠だ。
しかし、これは”相手よりも”という前提では武器にはならない。
なぜなら相手も同じレベルいやそれ以上のレベルでやっている可能性が極めて高いからだ。
『誰よりも練習した』というフレーズはよく目にするが、自分以外の全員の練習量を知ることは不可能なので、これはあくまでもキャッチフレーズ以上の位置付けにはできないはずだ。

相手の方が練習量が同じかそれ以上ならば、『練習の質』を上げることで、と考えた人もいると思う。
もちろん、質は必ず相手を上回る必要がある。
たぶん、練習やフィジカルトレーニングで質を考えない人はいないはずだ(と思いたい)。

しかし質とはそもそも何だろうか。

辞書:
そのものの良否・粗密・傾向などを決めることになる性質。




『練習の質』のまま扱ってはいけない

練習やトレーニングにおける『質』をしっかりと定義しないまま、『練習の質を上げよう』としていないだろうか。
中身を定義しないで『練習の質』というパッケージのまま扱ってはならない。抽象的すぎるからだ。

質を担保するものとして集中力があるが、集中力だけで質が上がるすなわち成長が早められるのであれば苦労はないし、集中している状態(例えばボールに集中している)が絶対的にハイパフォーマンスと言えるかどうかは競技の構造によって大きく異なる。
パフォーマンスを上げるための集中力については、その競技の構造に合致した『適切な集中状態』を選択した状態を保つ必要がある。
この部分は本題ではないのでまた別の機会で。
急ぐ人&方法を知りたい人はコチラご参照を。



ここまでの話をまとめる

・スポーツの構造上、誰もが自分より強い相手に勝つことがタスクとなっている。
・自分より強い相手に勝つために、限られた期間で相手の成長速度を上回る。
・『練習の量』は使える時間の上限の制約および自分の集中力や体力の制約を受けるため、相手よりも成長を速度を上げる有効な武器とは確定できない。
・『練習の質』を上げる行為は使える時間の制約を受けないため有効な武器となり得る。しかし多くの場合『質』の定義が曖昧なまま集中力と同義にされている傾向がある。
・集中力は種類が複数あり競技構造に合致しなければむしろ質を下げることにも繋がる。



我々は練習/スポーツの質をどのように定義すればいいだろうか

私の場合は、『状態』と定義している。
もう少し具体的には『各々の練習やトレーニングを実行する際の心身の状態』

『状態』はパフォーマンスの発揮そして向上に非常に大きく影響する。
例えば、よく言われるのが『練習の時も試合の時の緊張感を持って』というものだ。
これはつまり練習の時と試合の時の『状態』が異なると自分が持つパフォーマンスが発揮されないことを意味している(練習時パフォ>試合時パフォの場合)。
しかしこの考え方は『パフォーマンスを向上する』という観点だと不十分だ。
なぜなら試合または練習時においてパフォーマンスの高い方を基準としているから。
これではパフォーマンスを上げる、相手よりも早く成長するというタスクを満たすには明らかに足りない。





ではどうすれば『状態』がパフォーマンス向上と密な繋がりを形成できるのか。

身体の状態

高いパフォーマンスを発揮する際に強烈に働かせたり急激に脱力したりする必要のある部位は、どのような個性の選手であっても共通項が存在する。
同様に、強く働かせると上手くいかない部位も存在する。”力み”はこちらが優位になってしまった状態である。


精神/意識の状態

心の部分、要するに意識も、ハイパフォーマンスを発揮するのに適した『状態』が存在する。強く緊張していたり不安を感じている状態は決してハイパフォーマンス発揮に適している意識状態ではないことには誰も異論はないだろう。


この2領域は両者が強く影響し合う。
良い状態の身体からは良い意識が生まれる。逆も然り。

私が代表を務めるJARTAでは
これを『心身未分』とし身体作りの方向として位置付けている。


要するに、練習中/トレーニング中のすべてのタイミングでこの心身のハイパフォーマンスが発揮できる『状態』を維持できれば良いのだ。

『状態』はあくまでも前提であり、ハイパフォーマンスが発揮できる前提のこと。


同じ練習量でも心身が高いパフォーマンスを発揮できる状態でその量をこなすのかによって得られるもの=成長速度が変わる。
競技構造を前提に、選手のレベルやカテゴリーに合わせて心身の最適な状態を丁寧に定義し、いかにその状態を作り込めるかが差を生む。強者との差を縮める。




私の解決策

私の場合は身体の『状態』を作り維持するための方法としてアロースというテクニックを用いている。
要するに働かせるべき部位が働きやすい状態になるように刺激を入れる技である。
身体にはその構造上、どんな選手にも競技にも共通して使うべき部位は存在しているため、覚えてしまえばどの競技にも応用だ。

アロースのメリットは『短時間』で変化が生じることだ。
数秒の刺激で直後に筋の働きが変わる。それを『働くべき部位=ハイパフォの前提部位』に用いることで簡易的に身体の『状態』を作ることができる。
もちろんトレーニングは動きのクセとのせめぎ合いでもあるので、頻繁に刺激を入れることが重要である。
数秒で実施可能なのことから、私は練習であれば隙間時間、トレーニングであればセット間での実施を指導している。
方法は簡単であり、誰にでも習得可能なのでぜひアロースを使ってご自身の『状態』の変化を体験してみてほしい。

①アロースのメカニズムを学ぶ/状態の変化を体験する

コチラ

②アロースのパーソナル指導を受ける

コチラ


自分よりも強い相手を倒す必要のある方はこういう観点も頭の片隅において試合への準備を進めてほしい。



全てはパフォーマンスアップのために。



中野 崇 

YouTubeトレーニングラウンジ|”上手くなる能力”を向上
Instagramhttps://www.instagram.com/tak.nakano/
Twitterhttps://twitter.com/nakanobodysync

怪我の下部構造の解消技術を体系的に身につける方法
■JARTAの身体操作を体系的に学ぶ方法

1980年生
たくさんのプロアスリートたちに身体操作を教えています
戦術動作コーチ/フィジカルコーチ/スポーツトレーナー/理学療法士
JARTA 代表
プロアスリートを中心に多種目のトレーニング指導を担う
イタリアAPFトレーナー協会講師
ブラインドサッカー日本代表戦術動作コーチ|2022-
ブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチ|2017-2021
株式会社JARTA international 代表取締役

JARTA
Home Page
トレーニングオファー
あなたの状態と目標のギャップを埋めるための身体操作トレーニングを指導しますトレーナーカレッジ|トレーナーのためのハイレベルオンライン学習
ホームGym|自宅で動画を見ながらできるトレーニングプログラム
サッカー戦術動作アプローチ|サッカー競技動作の分析に特化したコース

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?