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【読了】2020年6月30日にまたここで会おう - 瀧本哲史伝説の東大講義


Intro

形式どうする?

初めての読書記録。
本の感想や要約などをマトモに書いたことが無いので、まだ形式をどうすべきか悩んでいる。両方書く、というのもアリだが。
そもそもの目的に立ち返ると自分のために学びをstockしておく場所、というものがあるが、channelをnotion(記事等のlearningはnotion上で記載している)にせずnoteに設定したのは、”人に読まれる”文章の書き方を学習するという目的もあったからだ。
ということは大前提自分の学びをすぐに読み返せることが最上位目的、次に人に読まれる文章であることが求められる。
そうなると要約という形式が最も適している気がするので、それでやっていく。しかし単なる要約はAIでもできるので、個性を加えるという意味で感想的なモノも混ぜ込んでいくことにする。

前も読んだ

そもそもこの本は大学4年生頃に一度読んだもので、当時は起業家とかVCとかの本を読み漁る中でたまたま触れた本だった(と思う)。殆ど記憶に残っていなかったが、他にも読んでいた人が周りにいたり、そこそこ良書なのだと思いまた読み返すことにした。当時からこれ系はなんとなく胡散臭い、「俺すごいだろ」っぽさがあると斜めな印象を持っていたので、今回は出来るだけそういう穿った視点を排除して読むようにした。

本書について

本書は瀧本哲史が2012年6月30日に東大で講義をした際の記録となっており、そのまま(?)記載されているため文体は口語だ。「~笑」とかも入ってる。生徒の参加資格は29歳以下限定、約300人とのこと。途中に生徒からの質問も記載されている。

瀧本哲史氏について

有名なエンジェル投資家で経営とかも諸々されているらしく、すごい人。
東京大学法学部の出身で、卒業後は大学院助手をされていたらしいがそのまま残らずにMcKinseyに入社してからビジネスの道を歩んだとのこと。
wikiを貼るなと言われるかもしれないが、間違った情報では無さそうなので以下参照。
wiki

Summary

第一檄 人のふりした猿にはなるな

檄って。と早々にダルくなっていた自分を抑える。
彼の話は所々飛んだりしつつも、総じて彼の目的と主張は一貫しており、1ページ目からそれが語られる。構図にすると以下のようなイメージである。

本講義もこの戦術の1つという考え方。

まず日本は衰退してきているが、残存者利益があるからチャンスがあると考えているとのこと。そこでどのような戦略をとれば日本を良くできるのか?
瀧本氏曰く、1人の突出したリーダーが頑張る「カリスマモデル」というのは失敗しやすく、「皆が自分で考え自分で決めていく世界をつくること」が成功しやすいと考えたとのこと。他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく、自らが明かりになれという考え方(仏教の"自燈明")である。
具体的な戦術としては、「武器としての教養」を配ること。これはジョージ・ソロスが共産主義国家を倒すためにコピー機をバラまき、東欧の国々がソ連から独立する一助となったことに影響されたとのことで、「武器としての交渉思考」や「思考の整理学」を出版することにした。しかし本を読んだだけで行動しない人が多いので、本講義を開いてアジテーションに及んだとのこと。

第二檄 最重要の学問は「言葉」である

そもそも、なぜ教養を学ぶべきか?哲学者アラン・ブルームは「教養の役割とは、他の見方・考え方があり得ることを示すことである」と書いた。瀧本氏によるとそもそも学問や学びというのは、答えを知ることではけっしてなく、先人たちの思考や研究を通して、「新しい視点」を手に入れることである。と説く。だから何かの正解を伝えることをけっして良いと思っておらず、その意味で"正解を教えてくれる"聖書やカリスマを否定することが彼の世界観の根幹である。教養やリベラルアーツとは、蘊蓄や知識をひけらかすためにあるのではなく、自分自身を拠りどころとするために存在するのである。
次に、教養のなかで何を一番に学ぶべきか?との問いに瀧本氏は答える。
彼は「言語」が最も重要であると述べる。言語には「ロジック」と「レトリック」の2つの機能がある。ロジックとは「誰もが納得できる理路を言葉にすること」であり、このロジックを鍛えるには言葉の正しい運用の仕方や論理の構築の方法をしっかりと学ぶ必要がある。「武器としての決断思考」においてディベートの考え方を書いたのは、まさにディベートこそ言葉のロジックを最大限に活用することで、自分の主張の正しさを的確に伝える行動であるからだという。次にレトリックとは修辞のことであり、「言葉をいかに魅力的に伝えるか」の技法を指す。オバマ大統領が優れていたのはまさにこのレトリックであり、大衆の中に大きな熱狂を生み出すことで大統領選を勝ち残った。日本においても明治維新は言葉の力で国を動かした好例である。言葉によって正しい認識にいたり、言葉を磨くことでその認識の確度を上げ、言葉を使って相手の行動を変えていくことで、世の中を変えていくことが可能だと述べる。

第三檄 世界を変える「学派」をつくれ

この章は他と比べても話があっちこっちに行っていた章だったと思う。一応本筋ともつながっているとは思うが。
一人ひとりが武器を身に着け、個人として正しく物事を決められるようになったとしても、現実は変わらない。なぜなら人生に関する殆どの問題は個人間で解決可能だが、社会に関する問題は集合的な意思決定がさけられず、民主主義ではそれを多数決で決めていく必要があるからである。しかし旧世代と新世代の人口比がざっくり2対1であるため、旧世代を1人説得すれば勝ちだと述べる。具体的には「政策」がキーとなる。
日本では政権交代の無い霞が関の官僚が発言力を高めているが、アメリカでは政策をつくる人間も選挙のたびに入れ替わり、日本における霞が関の代わりにさまざまな分野のシンクタンクがブレーンとしてアドバイスしている。瀧本氏はそういったアメリカのシンクタンクのような民間組織を日本でもたくさんつくることで、政策立案に影響力を与えられる参入ルートを増やしたいと述べる。
僕は霞が関の人が何をしているのか、あまり知識が無かったので以下のような簡単な本でも読んでみようかと思う。

ここからは国内政治や、アフリカに対するODA(政府開発援助)などの援助が非合理を温存することについて軽く説明した後、そのような世の中を変えていくためにはパラダイム・シフトが重要であると述べている。
パラダイム・シフトの真実とは世代交代である。天動説から地動説に変わった理由は「旧世代である天動説派が死んで、少数派であった地動説派が多数派となったこと」であり、東大法学部においてもかつて行為無価値派と結果無価値派とで同様のことがあったという。つまり世の中が変わるかどうかというのは、若者である私達とそれに続く世代がこれからどういう選択をするか、どういう「学派」をつくるかで決まる。だから瀧本氏は次世代に向けてメッセージを送り続ける。

第四檄 交渉は「情報戦」

この章は武器の1つとして、交渉のテクニックを伝える。相互の利害関係を分析すること、アンカリングについて、非合理な人間との交渉の仕方、セグメンテーションなど...
サイボウズの話は面白かった。実際にそうであるかどうかは知らないが。

第五檄 人生は「3勝97敗」のゲームだ

最初に述べられた戦略のとおり、瀧本氏は誰かひとりのリーダーをぶち上げるのではなく、複数のリーダーをつくることを推奨している。そして今は小さいけれど志と静かな熱を持った「新しいつながり」「新しい組織」が、若い人間を中心にゲリラ的に次々と生まれていると述べる。計画された失敗とは、その中で失敗する人が多いとしても、それは計画に織り込まれており悲観する必要はなく、一部が成功することを狙うゲームのことである。
仲間がいない、どうしようも無いと言う人もいるが、仲間を探すことを諦めるなと述べる。大学というものは本来様々なバックグラウンドの人が集まり、それぞれが事由に研究を進める中で刺激を与え合い、新しい知を生み出す場所のこと。「ユニバーシティ」とは多様な知恵や人材が一つに結びつく理想の場のことである。
ヒトデはクモよりなぜ強い、アノニマス、ファイト・クラブ、フリーメイソン。様々な例を取り上げながら、誰が中心なのかわからないが、何かがその周辺で確実に起きている、そんなゆるやかでしたたかな「見えない結社」型の組織が強いと述べる。
そして目的のためにつながること。みんなの立場はそれぞれ違うから全員を一つの意見に統一するのは難しい。でも、ある一つの重要事項に関しては、自分らと意見も思想も違う人達、敵対するような人すら仲間にしながら世の中を変えていく。

第六檄 よき航海をゆけ

この章は参加した生徒からの質疑応答であり、本講義に関することからそうでないことまで様々な質問が飛んだ。
個人的に記憶に残ったのは以下である。

  • 弱者を支援する理由:
    講義で述べた武器モデルは、成功する人もいれば失敗する人も多く出てくる。成功した人は「自分はたまたま成功したに過ぎない」と思って、同じように才能があったのに「たまたま失敗したに過ぎない」人を助けてあげて欲しい

  • 投資を成功させている要因
    事業が全く上手くいかなかったとしても、誰かがその会社を買収したくなる会社にしか投資しない。それはテーマとメンバーであり、まずやっていることが非常にユニークでどこかのパクリではないということ、加えてそれを実現できるようなチームだけでやっていること。

  • 若い革命家を支援する
    30歳ぐらいになったら自分の人生のチップをどのへんに置けばいいかが見えてきている。そういう人たちは「大人」として、自分より若い人たちをバックアップすること。政治にしろビジネスにしろ、っ革命の裏には大人の支援者がいて、見込みのある若者を助けてあげている。

最後に、瀧本氏は印象的な挨拶を述べている。
「bon voyage(よき航海を)」とは船長同士の挨拶である。自分の船を持っている船長はリスクを取っている意思決定者であり、その立場にない船員はこの挨拶を使わない。船長同士は、お互い挨拶をする際に「あの船あちこちネズミに喰われてるな」とか「そっちは嵐じゃないか?」と思っても余計なことは言わない。
「俺たちはお互いに自分の判断でリスクを取っている」ということに対する敬意があるから、ただ「よき航海を」なのだ。そういう、自立した人間たちの挨拶なのである。

Thought

共通点

森岡さんとか、Sさんとか、弊社出身メンバーで優秀とされていた方との共通点が多いな、と感じた。これが言葉の力である、ロジックとレトリックを磨いた人たちの強さなのかもしれない。
加えて歴史含め幅広いインプットをされているので、主張に対する根拠や具体例がいちいち面白かったりする。そういった背景もあり、自分がこの本で述べられていた内容の中でも最も共感できたのはこの「言葉の力」の部分だったようだ。大抵よく聞く誰かの主張というのは何かしら小手先のテクニック、戦術を磨くことに拘るが、賢い人はもっとメタ的な部分、戦略から違うということかも。

自分に通じそうなこと

正直自分は日本を良くしたいとか、あまり大きなことは考えられない。自分ごとで捉えられない。ただ日々の生活の幸福度を上げたいとしか思えない。それでも本書で言う武器は、万人に共通して強く作用するものだと思う。「武器としての決断思考」とか次また読んでみたい。

要約について

読み返してみて驚いたのは、ついこないだ読んだのにもう忘れている内容が多かったこと。思い返した&記録できたことはすごく良かったと思う。あまりうまくは出来なかったし、本書を読んでいない人にとってわかりよい要約にはなっていないと思うけど、この調子で続けていって上手くなれたらよいな。脳の整理の仕方というか、仕事にも通じてきそうな部分がある。そして語彙を身に着けてイケてる文章書いてみたい…
あと画像も1つつけてみたけど、もっとこういうの駆使してグラレポ的に示せるようにしていきたい。がんばろー

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