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2200冊のSF本を手放したお話

今日、学会の最中に某古書店の方に出張買取に来ていただき、実家のSF本を手放しました。約2200冊。段ボールで40箱近くになりました。正確な数はカウントできませんが、だいたいとして、ハヤカワSFシリーズ378冊、ハヤカワSF文庫329冊、ハヤカワJA文庫223冊、創元SF文庫88冊、サンリオSF文庫56冊、世界SF全集35冊、SFマガジン47冊、SFアドベンチャー32冊、SF宝石12冊、SF関係文庫本278冊、筒井康隆単行本49冊、SF関係単行本67冊、SF関係ノベルス67冊、SF関係コミック173冊、SF関係ジュブナイル17冊、SFペーパーバック95冊、SF関係その他15冊、あとは一般書もついでに200冊くらいという感じかな。


SF書籍の蒐集は中学時代から始まり、高校時代は定期的に当時は隆盛を誇っていた早稲田の古書店街を漁り、月に一度のビックボックスの古書市で狂喜乱舞し、大学に入ってもそれは続きました。社会人になって財力がつくとともに時間がなくなり、古書店巡りも乏しくなり、100円均一以外も買うことができるようになってお宝探しが面白くなくなり、少しずつ鎮静していきました。ただ、たまにお宝が見つかると手が出て、例えば横須賀からの営業帰りの16号線沿いの初見の古書店でハヤカワSFシリーズが均一品山積みされているのに驚愕し、200冊くらいをトランクに積み込んで帰ったこともあります。一時期、広尾に住んでましたが、広尾商店街に当時は一軒の古書店があり、外人がSFのペーパーバックを定期的に売りに来るのです。新しいのが棚に並ぶ都度に自分が買っていたので、いつか売主に遭遇したいなぁと思っていましたが、逢えずに浦安に転居することになります。その古書店もなくなってしまいました。
昔は蒐集した書籍は自分の分身のような気がしていたのですが、手放しても不思議と感慨はありませんでした。ただ、いくつか手元に残しています。1つは、ディック作品のすべて。「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」だけで六冊持ってます。ハヤカワSF文庫の表紙が変わる都度に買わざるを得なく、ハヤカワSFシリーズとペーパーバックを合わせると六冊になってしまうのです。そんなこんなでディックだけで100冊は手元に残しています。あとは雑誌「奇想天外」のすべても残しました。第一期、第二期、第二期の別冊、マンガ奇想天外、すべて揃っています。100冊弱かな。アンチSFマガジンだったので、この「奇想天外」という雑誌が大好きで、編集部にも一度、お邪魔して、大きくなったらここに就職したいと思っていました。でも、私が社会に出る前の1981年に廃刊となりました。あとは、じいちゃんの形見のSFマガジン創刊号も手元に残しました。貴重です。広瀬正全集もあえて単行本は手放し、文庫の方を手元に残しました。


古書店の方が実に良い方でした。書店員にもあこがれていましたし、古書店をやりたいとも思ったこともあります。本に囲まれていれば幸せだった頃もあります。頑張れば本って1日に何冊読めるんだろうと思い、大学4年の時に1日17冊という記録を創ったこともあります。大学の卒論は「日本SF史」でした。指導教官からは「読み物として抜群に面白かったが社会性に乏しい論文だ」と講評されました。社会学士をいただきました。確かにもっと社会性を入れる手はありました。大阪万博って岡本太郎ばっか脚光浴びますが、実はSF作家の多くが企画に携わってるんですよ。そういうと、社会人になってから、営業から人事に異動になったあと、勝手に読書報告を毎週、全部員に送り付けていたりもしました(こちらはほとんどビジネス書でしたが、週に1冊以上ビジネス書を読了していたとは、昔の自分は立派でしたね)。今は読書量もずっと減りました。
一歩、一歩、年をとっているなぁと実感します。大きな幸せはないですが、生きててまんざらでもありません。書籍を手放す日とキャリアデザイン学会の日程が重なっちゃったのも何か意味があるのかもしれません。


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