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骨折をした、学んだ、脳細胞が成長した!

怪我の影響で1ヶ月以上の休職になったので週に約7日間は図書館に通っている。

せっかくの機会だから普段は読まない本を読んでみようと思って、手に取った本が高坂正堯さんの「文明が衰亡するとき」と「世界地図の中で考える」の2冊。

ローマとベネチアの繁栄と滅亡まで、そして、国際政治のテキストをもとにした説明とそこからの鋭い考察。初心者にも分かりやすく、読みやすい本だった。その中で特に印象的な文章がある。

つまり、われわれは一方では大量の情報の氾濫によって頭を混乱させられ、不安感に悩まされながら、他方ではきわめて複雑で、雑多な現象を「イメージ」という形で単純化しているのある。〜「世界地図の中で考える」より〜

これは現在にも当てはまることであると思う。そして、最近何かと話題の弔問外交にもこの論理は見事に当てはまるだろう。外交に関してこのように記されている。

外交とは完全な友人同士の交際でもなく、完全な敵対同士のにらみ合いでもない。その中間の灰色の領域なのであり、相手を少しは疑い、戦争が起こったときの準備をしながら、しかもできるだけ友好関係を保つことが要請される場所なのである。そのような性質を持つ対外関係を持つ必要は政治全般に暗い影を落とさずにはいられない。〜「世界地図の中で考える」より〜

弔問外交に関する資料を積み上げれば瀬戸内海が埋め立てられる位の量になるかもしれない。だから、私達はそのイメージをそれぞれが勝手に膨らませる。そして、それを元に「コスパがいい!」、「目当ての人物は来日しない。」等の議論をするが、それらはお互いの「イメージ」で論点が少しずつズレているので上手く噛み合わないことがこの本を読んだことで納得できた。更に議論する際の注意点も教えられた。

偉大な国家は高貴な、英雄的な行為だけによって作られるのではなく、また、それが主体になるのではなく、「中庸、注意深い勇気、適度の利己主義」に学ぶのも良いことである。〜「世界地図の中で考える」より〜

同じ国の国民同士でも意見が合わないのに異国の異なる文化を持った国民との関わりは難しい。そして、アメリカの占領政策は日本では成功して、ベトナムでは撤退に追い込まれたのかも非常にわかりやすく解説されていた。

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